62/164
ゆりかご
ー
ー
真夜中 雨上がりの空 雲の切れ間
温かい道路に寝そべって
虫の声 迫り来る星々を渡る人工衛星
それは夜 透き通った湖の底に煌めくシーグラス
まるで眠らない暗闇を見つめる
私を覚えていないこと
中身のない幸福を口にすること
欲望が絡まないこと
さようならの日に
ああ、もう全てがダメなんだ
そういうところの何もかもが
君が私に恋をしていなかった証拠なんだ
風に戦ぐ青芒 電線と蠢く気配 生活音
滑るアスファルトと怪物の狭間で
日常を聞く安堵感
幕間に似た放心に平衡感覚を失って
湖に溺れてコンクリートにめり込んで
凪いだ心の様相を見つめていた




