空を飛ぶ
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淡くて実体がない
痛みの様に硬質ではなくて
曖昧だからと懐疑的になって手放す
幸せは、純度が高いほど白昼夢に似る
否、白昼夢こそが紛い物か
暖かい痛みは爛れて感覚を麻痺させる
過去は過去でしかないのに、跡が疼いて堪らない
いつも背を向けている
否定の言葉を捨てて己を振り返れば
欠点だらけの思考回路が明白になる
変えたくないのは間違えたくないからだ
間違えたくないのは世界が恐ろしいから
恐れて蹲るから何も掴めず何も得られない
愛は硝子のように鋭利だ
心は幻に怯えて、縋り付くことも頼ることもしない
黒塗りの砂漠でアリジゴクに沈む
掻き分けて進むが何もなくて死んでしまう
思う未来は無垢な闇らしい
不都合を墨汁で塗り潰してきた国民性か
それに準ずる忘却の悪癖の為か
死に方を知ってしまった、辞め方を知ってしまった
静かに心臓が動きを止める瞬間を感じてしまった
私の物語におけるマクガフィンは絶命だ
だから望めない、生き続ける苦しみを
痛みが恒常化してそれが無いと不安になった
死ねない事が悔しくて、強要される生を逆恨みした
中途半端に壊れていく体が疎ましくて
夜に紛れ、部屋の隅に身を潜めた
幸せはいつも眩くて苦しいから
幸福を得るより白昼夢を見ていたい
ノンフィクションより
生々しいフィクションに浸りたい
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