我らが相補性
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何気ない一言に変わらない質をみて好意を再認する
私が彼女を殺せる日は来ない
そして私が彼女を手放せる日もきっと来ない
何処までも空想的で非凡な私と
いつまでも現実的で頑固な彼女
否、いつまでも掴めない深淵に手を伸ばす私と
何処までも未来を掴もうと足掻く彼女
深く闇に浸る私とその上で軽やかに踊る彼女
灰色の世界で主張する彼女とそれを愛する私
きっと中身がなんだって構わないんだ
成分や過去や思想や生活は関係がない
なんだか、そこでそうしていてくれたら、いい
なんだっていいから、此処にいてほしい
無理ならそれでもいい
そういうものなんだ、私にとっての彼女は
理屈で説明してしまえるような
言語化できてしまうような理ではない
愛しているわけでも恋しているわけでもない
もうそんな言葉ではどうにもならないくらい
可愛くて、尊くて、妬ましくて、儚くもあり
私には到底理解できない感情だ
きっと彼女もこんな私の心を理解できない
けれど似たような何かを抱えているはずだ
だって今度は彼女から私に心を求めたのだから
お互いに持て余したまま魅かれ続けるのだろう
ホログラムに記述されているのなら愛しい
先天的な運命か、後天的な因果か
私にとっては本望だが、彼女を可哀想だと思った
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