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業務スーパーの鶏肉を侮辱する
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骨になった父を想像する
時を止めた母を想像する
しかしどの様な気持ちか、言葉にならない
一言にあらわせずとも良いけれど
泣けばいいのか、喜べばいいのか、無感情に俯くか
それすらよく、分からない
長さの違う箸で骨を拾った
縛られ樽に詰められ、土に埋められた故人もいた
羨ましかったなど、口が裂けても言わない
しかし、嗚呼、なぜこれが私ではないのだろうと
死を見るたびに思ってしまうのだ
寂寞か、叶わぬ夢か、冒涜か、幼い心か
スーパーで買った生肉を焼きながら考えた
魚の脳と心臓を取り出しながら考えた
小骨を皿の縁に並べながら考えた
人肌の蛙をシャープペンシルで開きながら考えた
名札の針で、貼り付けた虫をばらしながら考えた
どうしてこれが、私じゃないのかと
何度も何度も何度も繰り返す
死を受け止めるには、生を受け止めるには
頭が足りない




