表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/164

擬似餌の真似事

丑三つ時に青年は自転車で山道を走った

山奥に引き篭もる偏屈爺さんの所へ

とある荷物を届けるために

ハンドルに掛けたライトが揺れて

平衡感覚が危うくなる

歪んだガードレール、剥き出しの道路

トタン壁の廃屋を通り過ぎて

溜池の方へ来た時に

黒尽くめの影が目端を過る

怪しく思いブレーキをかけて

スタンドを下ろして声をかけた

懐中電灯で照らせば、眉を顰めた黒い影

パーカーを着た少年は、池に生肉を撒いていた

獲れたて新鮮なのだけど、見た目以上に骨ばかり

これでは明日には足りなくなると

ため息混じりに呟いて、

肉を千切千切、池に投げる

指を肌色にめり込ませ、ブチブチ音が鳴り響く

少年の爪は痣色で、肉を断つ度、色を変える

居た堪れない青年は、何のためにと、ふと問うた

この溜池のピラニアは、いつも腹を空かせてる

肉を食わせてやらないと近づくもの皆食らうだろう

水面を弾く音の中、少年の声が奇妙に響く

それにしてもなんだってこんな夜更けに餌をやる

得体の知れない闇の中、獣が潜む山の奥

好奇心に身を任せ、その青年は問うていた

先無い祖父では足りないが、これで数日困らない

嘗て遺棄されたピラニアは

突き落とされたデザートを

少年の歌を聴きながら心ゆくまで味わった

水面を弾く音の中、少年の声が奇妙に響く

ピラニアが住まう池の側

少年は歌う、ボブディラン

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ