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幻海仮不可

暗くて、低くて、静かで

太陽の光も、誰かの声も、触れる感触も届かない

暗くて、低くて、静かで、何もない闇底へ

沈んで、沈んで、沈んで、落ちて

潜って、探って、探って、探って、探って

一枚のコインを見つける

それは過去の遺物

現代で意味をなさない鉄の塊

歪んだ古代人の顔が見つめ返してきた

右手には鈍色の刃

左手には金塊に転じうる金属の塊

同じ時代を生きたそれらが何故

同等の価値でないのだろうか

笑う、微笑う、嗤うひとが、砂煙を食う

あわぶくに混じる錆色の狼煙

きっとここにいれば食べてもらえる

今にも遠くから押し寄せてくるフカが

きっと私を殺してくれるはず

そう願って切りつける

狼煙が一筋増え、また一筋増え

朽ちた心がふやかされ

皺寄せた機微が曖昧に溶けて無くなって

深海の黒に巻き取られていく

そうやっていつか私は私を忘れ

届かない光に怯える何かだけを抱えた

過去の遺物として、泥砂に沈んでいく

海底にめり込んで、岩肌にキスをする

貝に微笑みかけ、魚に指先を食わせる

植物に抱かれ、闇に問いかける

此処は海底、海の底

何故、彼は来ないのと

幻と戯れる私がいる此処は何処にあるの

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