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暖色の雨

痛い、多分これは痛みだ

夏なのに指先が冷たくて

赤黒いのが滑らかに肌を伝う

ビリビリと痺れる

上手く手に力が入らないけれど

やっぱり何もないより余程いい

ほら、真っ白なキャンバスがあれば

それを汚したくなるだろう

時には目を逸らしたくなるし

時には描かずにはいられなくなるだろう

新雪を踏む様に、乙女を散らす様に

汚れたものはそうでないものを汚したくなる

否、そうではない

私の手は美しくない

それを可視化したいが為に赤を求めるのか

塞がった傷跡を見て悲しくなるのは

偽りの罪の意識に苛まれるからか

新雪を踏んだと、乙女ではないと、白地ではないと

罪を自白したくて、その証拠が欲しくて

こんな事を毎度してしまうのか

なんでもいい、そんな事はどうでもいい

切りたければ切ればいい

問題はこの心の充足感だ

ミミズ腫れや躊躇い傷に癒やされた

この幸福感についてだ

私は、まだ、死にたいのか

死にたくて生きようとしているのか

違うだろう、違う、と思う

だって、そうでなくては困るんだ

生きる理由はない

しかし死んではいけない理由ならある

だから、そうでなくては困るんだ

切り付けた痛みに安息を見出していては

きっといつかまた味を占めた私が

真っ逆さまになってしまう

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