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降り積もるカロテノイド
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認識の齟齬に気づいていた
どの様な齟齬かも容易に分かった
けれどわざと分からないふりをした
青空の真ん中に灰色の雲があった
それを退けて青空を通したら
何処までも行けそうだと思った
人は重力に縛られている
自ら時計に縛られている
ネクタイにも縛られている
法律にも縛られている
そうして実態を保っている
縛られているという自由
摂理なき世に自由はない
あるとすればそれは混沌
失った同一性を求めるゾンビ達の世界
何処までも行きたくて歩んだ
何処へも行きたくなくて歩んだ
風が冷たくて指先が痛んだ
だけど、分からないふりを続けた
冬に溶けてしまいたい
けれど君が冬は好かないと言うから
躊躇いを覚えてしまった
また死ねない理由が増えた
歩道の隅にしゃがみ込んで俯いた
ここからは逃げられない
足に絡んだ鎖が鳴った
重たくて、重たくて、重たくて
諦めを感じた
何処へも行けない
足場がなければ踏ん張れない
助走をつけないと飛べない
フラミンゴを思い出した




