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建て付けの悪い二重窓の寓話
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どうせいなくなる他人だ
手を離されることを恐れて誰の手も取らずにいた
人生に拗ねているんだ
つまりきっと気を許しているんだ
永遠のような、しかし有限である時間を
突然のものと過信して甘えているのだ
詩歌には開放がある、数学には盲点がある
物理には未知がある、貴方には秘密がある
鍵穴がずれてズリズリ言っている
天変地異が起きたから仕方ない
歪なくせフレームは生きているから
硬いのにいつまで経っても定まらない
リキッドモダニティが加速させる
ガラスは液体だ、ちょちょぎれた涙だ
隔たる二重窓の隙間が無限を錯覚させる
雨が空間を切り取るように、私を閉じ込める
経験が私を大袈裟に囲ってる
向こう側へ行きたいのに
私は人生に拗ねている
いつ終わるかも分からない命に胡座をかいている
不可逆の人生を、鮮度のある感情を、無駄にしている
せめて亀裂を入れたくて鍵を振りかぶった
躊躇った
新しい涙は誰が支払うのだろうかと
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