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落莫たる一夜花

空漠たる彼の地は理想郷ではない

しかし安寧の地でもない

例えば、陽だまりで微睡む在りし日の追慕

例えば、鳴蜩の目覚めを待つ彼誰時

例えば、風に舞う錦に見惚れる冬隣

例えば、珈琲を片手に見つめる夜の氷雨

例えば、眠る私を撫ぜる手のひら

例えば、眼裏を眺め君と語る夢現

そういう刹那に咲く別世界

超新星残骸に根を張って

事象の地平面に咲く、落莫たる一夜花

廃材アートに根を張って

透明な隔たりの境を裂く、ナイトクイーン

それは部屋の隅とか、枕元とか、遠くの街とか

日常のあらゆる場所に芽を出すけれど

地続きのこの世では咲いていられない概念

好きな人とするキスの向こう側にある

漠然としているが確信的な何かが

きっと彼の地である、此処ではない何処か

ブラックホールを裏返すまでは私にも理解できない

イデアに似た浄土のこと

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