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貝/他人の距離
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恋が色付くと詩が増える
痛みが走ると詩が増える
夢の中を駆け抜けている
死がつきまとう現実の中
黒タイツを破いてしまう
ニットは案外脱ぎにくく
誰でもいいなら体だけで
心からの叫びが偽物なら
無感情に宙を見つめたり
隣の背に興味は湧かない
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もう大人だからねと笑う君が悲しかった
もう子供じゃないからと
声を殺して泣く君が憎らしかった
あの日私に泣いて良いよと言った君は
私に涙を見せてくれたけど
確信はお互い心の底に秘めたまま
手を離して、漂って、巡り合って
時が経った今も秘めたまま
お互いに指先で創をなぞり合うだけ
それでも私は愛しかった
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