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価値
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君を書き尽くしてしまったら
もう何も詩に出来なくなってしまったら
数秒前まではあった何かが漂って
私の意図しない形で失われてしまったら
君を書き尽くしてしまったら
君との事を忘れてしまったら
涙が止まってしまったら
ここへも、ここではないどこかへも
何もかもがなくなってしまう
友人と絶縁した時のことを思い出した
顔が腫れ上がるまで泣いたけど
私が言葉に出来たのは理屈だけだった
それ以上言いたいことはないか、と問われても
無い、と断言して、怒りさえ湧く始末だった
君から、あの時の友人と同じ香りがした
私はまた泣いて、言葉に出来たのは理屈だけで
だけど怒りも諦めも湧かず
ただザワザワと凍って震えている
君は私の唯一だった
それ以前の恋とか、依存とか、愛とか
そんなのとは別の次元にあったんだ
だから計り違えただなんて笑い話にもならない
ザワザワと凍って震えている
君を書き尽くしてしまう事を恐れている
そんな現実逃避に浸る自分自身を心から軽蔑している
君に愛されたくて詩に縋ってる
何もかもが間違っている
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