去るは何方
前作→『遺書日誌』
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車窓を見つめる
通り過ぎる日々と変わらない日常が映っている
駆け抜けているのは此方なのに
去り行く景色ばかりに心を奪われて消耗する
青いシートに凭れて執筆する私は
数分前にはパンを齧りながら泣いていた
けれど涙痕はない
予防線を引くために脳が錯覚を起こしたのだ
現実の私は涙を流すことなく
無機塩類を混ぜたチョコレート味を飲み込みながら
この頃の変化と永遠の命題について考えていた
助けて、を、助ける方法
どうにもならない現実、という言葉を破りたい
世の中には必ず法則がある
社会の仕組みも宇宙の正体も
十進法が欠陥品で人間が生物だから見えてこないだけ
法則には必ず穴があり、この世界は不完全で
何が矛盾しようと破れようと、あり得ない事はない
エネルギーの存在がその証明になる
だから必ずあるんだ
救えない事物をそうでない事物に変化させるルールが
絶望、破壊、昏睡、透明、が解ける
その瞬間の必要十分条件があるはずだと
明日のことを考えていた
バイオレンスな私が息を潜めて
生きることを考えられるようになる予感がした
焦ってはいけない、無理はしない
結果何かを落としてもそれは必要経費で
きっとこの予感の火種が消えたら最後だから
守って大事にして考えて失敗して
何度も戻りながら学ばなければいけない
人生と向き合いたいなら
この時間を蔑ろにしてはいけないんだ
だからまだ泣かないし、窓から目を逸らせない
重なり合った世界から導きを得るまで
己の顔を、外側を、内側から見つめなければいけない
現実に追いつくまで、また二話ずつ3:00に投稿予約
URLもうどうしたら貼れるのでしょう。
コピペしたのに無理とか、ここには貼れないのか?