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ルービック・バトル  作者: レイ
第1章 学校編
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第8話 絶対絶命

「ちっ....この男……できる……」


 俺は地面に突っ伏していた。


「おいおいどうしたの⁉︎さっきまで威勢良かったのによ!」


 俺の腹がヤクザのパンチによって悲鳴を上げる。

 吐きそうだ。


「うるせぇ……ヤクザが……。あと俺の髪、引っ張んじゃねぇ……。それと……四肢から腕、離しやがれ……」


 雹がいない今、ここにいるのが恋歌だったら能力行使は容易(たやす)かったのにな……。

 俺は残念なことにまだ査定中。肉弾戦では、もちろんあのヤクザの方が上……だと最初は思ったんだけど。

 なんと意外なことに、ただの高校生の俺と互角だったんだ。

 けど、さすがはヤクザ。


 ナイフ出してきたよ〜‼︎


 怖いよ〜‼︎


 と逃げ回っているとボコボコにされて今に至る。


「ははははは!ナイフ持ったらビビるとか、さすが雑魚の極みだな!」


 こいつ、言いたいように言いやがって……


「俺をどうする気だよ?」


 俺はとりあえず探りを入れてみる。

 まぁさらに状況が悪化しただけだけどね‼︎


「ん?殺すけど?」


 終わった〜‼︎俺の人生‼︎

 いやけど流石に軽口叩いてる暇じゃねぇなこれ。

 だったら……


「殺されるって聞かれて、逃げねぇバカはいねぇんだよ!」


 咄嗟に男の腕を振り解く。


「な⁉︎」


 男は慌てたようで、続いて両足を振り解いた俺を呆然とみているだけだ。

これはチャンス‼︎一気に逃げるぞ‼︎

 このまま視界の外へ逃げて……


「待てやこのクソガキ!」


 まあ当然あのヤクザも追ってくるよね……

 あと、なんかキレてるし‼︎

 と、俺は、この地域の近くにドラゴンがいたことなどとうに忘れて、一枚ミステリーサークルの写真を撮り、(かなりブレていたと思うが)とにかく逃げた。

 まぁ元々限界超えてたし、持久力はすぐ尽きるけどね⁉︎


 ――――――――恋歌サイド―――――――


「ヒィィィ⁉︎」


「なんでドラゴンがこっちに⁉︎」


 何故?あのドラゴンは先輩が身を投げ打ってまで遠くに逃したはず。

 もしかして、先輩は山を降りたのか?いや、なんらかの手段であのドラゴンと結託?いやいや、最悪、先輩は……

 死んだ?

 いや、それは……ない、と信じたい。

 元々タフネス以外は優秀な先輩だ。


「そんなことより!」


「どうしたの?恋歌さん?」


 しまった。思考が漏れてしまった。だが、

 ここではこれをチャンスと思おう。


「雹さん‼︎」


「何よ⁉︎」


「ちょっと耳、塞いでもらってていいですか?」


「はぁ?突然何……」


「いいから早く‼︎」


 もう、5分くらい走り続けて、体力も限界。なんなら、目の前には大きい倒木もあり、普通に進んでいてはゲームオーバー。

 だが、雹が耳を塞いでくれないと、能力のことを知られてしまう。

 そうなっては、まずい。

 無能力者ならまだしも、もし、ルービッカーで、軍に入っているのならば、私の能力は絶対に欲しがられる。


「わかったわよ………………。ほら、塞いだわよ!」


 なんて想像は意味がなく、雹はおとなしく塞いでくれた。だったら……


「いきます。【強制認識(きょうせいにんしき)】からの、【あのドラゴンは10秒後、私たちと反対方向へ進んでいく!】ついでに、【目の前の倒木は粉砕する!】」


 あとは小声で嘘をつくだけだ。


「ちょっと?何か言った⁉︎」


「いや⁉︎ただの独り言……ですよ!」


 目の前の倒木は跡形もなく壊れた。

 だが、まずい。

 意識が飛びそうになる。

 頑張れ私。あと5秒だ‼︎

 4、

 3、

 2、

 1‼︎


「ギャルゥゥゥゥ⁇⁇」


 なんとか、ドラゴンは、進行方向を変えた。

 だが、思ったより負担が大きかったようだ。


「う……ガハッ‼︎」


「れ、恋歌さん⁉︎どうしたの‼︎急に吐血なんかして‼︎」


 代償……ですか。

 まずい。普段運動してなかった分も相まって、思ったより酷いですね....。

 これ以上血を出したら、倒れ……

 恋歌の意識は、そこで途絶えた。


「……さて、どうしようかな……」


 雹の不安げな顔を残して。


 ――――――――ロウラ――――――――


「チッ。どこに逃げやがった⁉︎あのクソガキ‼︎」


 あんたが手を置いてる木の上だよ⁉︎

 と、ツッコミを入れたところで、俺は状況を整理する。

 ここは、山頂から少し下ったあたりか……

 ......それにしても、俺の持久力でよく相手をまけたもんだ。

 そういえば、恋歌の方は大丈夫だろうか。

 そう考えていると、なにやらヤクザは、ぶつぶつとなんか言い出した。

 暇だし聴くか。


「ったく、あの幹部の野郎が最重要任務とか言うから来てみたのに、なんだよ!あのミステリーサークルを守れ!?俺たちにとって、これは本当に重要なのか⁉︎」


「あれなんかすんごい情報口にしちゃってない⁉︎」


「あ?…………」


「…………」


 しまった。思わず口に出しちまった!


「みーつけたぁ‼︎」


 まずいまずいまずい‼︎


「お前。そんなとこにいたのか‼︎さらに……お前、ついてるな!本当なら見せちゃいけないんだが……むしゃくしゃしてるから見せてやるよ!【筋力強化】‼︎」


「な⁉︎」


 そういうと、男の体が一瞬でムキムキになった‼︎

 …………

 ……

 めっちゃデジャヴなんですが‼︎

 何?この世界のルービッカーって、全員筋肉ムキムキにならないと気が済まないの?

 っつーかこのヤクザ、ルービッカーなの⁉︎

 俺が動転しているうちに、そのヤクザは、俺が乗ってる木を一瞬のうちに投げ飛ばした。

 勿論俺は乗ったままだ。


「ぐえぅっぷ‼︎」


 聞いたことない声で俺は頭から倒れ込む。


「おいザコいの!よーく聞けぇ。さっき俺が話してたこと、全部忘れるならこれ以上の追撃はしねえぞ?」


「もちろん、ノーだけど?」


「だったら記憶と存在消す手伝いしてやるよ!」


 さっきの、あいつが焦ってる様子からして、なんかあるっぽいな。

 まじだからと言っても特に重要そうな単語はなかったけど。


「さて?どんだけ耐えられるかな?雑魚ぉぉぉ‼︎」


 雑魚っぽい口ぶりなのはあんただけどね⁉︎

 俺は突進してきたヤクザのパンチをどうにか見切り、ガードする。しかし、奴の発言とは正反対で思いの外……いや、異常なほど強い。

 まるでゴリラとプロレスラーを足して2で割ったかのような技術力とパワーだ。

 俺は弾き飛ばされ、漫画みたいに木を貫通し、岩に激突した。


「あぁ?でたらめすぎんだろ……え?」


 そして、飛ばされた時に気づいた。

 頭から血が大量に出ていることに。

 しかも、多分骨、何本かいってる。


「嘘だ……ろ?」


 だが救いもあった。


「ロウラ⁉︎あんた何してるの⁉︎」


 吹っ飛ばされた先に、恋歌を抱えた、雹がいたのだ。


 まぁ、悪くいえば巻き込んだだけなんだけど。

 つーか、恋歌はどうして倒れてんだ?


「なんだ?援軍かぁ⁉︎」


 だが、思考は大量出血によってブラックアウトする。


「すまん……雹。あとは……たのん……」


「なんとな…………状況は……できたわ。……言われなくても…………てるわよ‼︎」


 そんな雹の声を聞きながら、俺は倒れた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「ん……がはっ‼︎」


 俺は目を覚ました。

 ここは見覚えがある……

 て言うか西高校の保健室じゃん‼︎

 なんで⁉︎

 俺は倒れる前の記憶を呼び戻す。


「え?てことはあいつ……もしかして俺をここまで連れてきたのか?」


 雹のやつ、能力もなしに、本当にナイフだけで倒したってのか……?

 今度会った時に聞いてみるか....。

 そんなことを考えていると、一つの声が聞こえてきた。


「やっと目を覚ました?じゃあ診察しますね。佐座見君。」


 …………いきなり診察?まぁ妥当だけど……

 というか恋歌はどこに行った?

 

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