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ルービック・バトル  作者: レイ
第1章 学校編
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第7話 Dragon breath

「んで?雹はここで何やってんの?」


 雪で呼んだことに対してついにキレられ、頭に拳骨を食らったが、それには構わず――――


 いや、強がるのはやめよう。

 ごめんめっちゃ痛い。

 ほんとにこの人JKかな⁉︎

 俺の目には雹がプロレスラーかボクサーにしか見えないよ⁉︎


「ていうか、なんであんた制服なの?」


「質問を質問で返すんじゃねぇ」


「確かに……先輩の違和感の正体はこれでしたか……」


 恋歌〜。違和感感じてんなら気づくの遅いぞ〜。


「まぁ、一応部活での活動だからな。部長だけでも着ておこうと思ったんだ。」


「あぁ。そういうことだったのね。こっちの恋歌?って子は私服だけど。」


「まぁそれはいいんだよ。少なくとも俺のけじめってやつだ。んで?何でここにいんの?」


 「あー、実は私、明日友達とここで肝試しする予定で、下調べしてたとこなのよ。けど、これは場所変更せざるを得ないわね......あ、あんたたちは何しに来てたの?」


 さらっと場所変更すると言い出す雹。

 ごめん、なんかあったの?

 だが俺は話を続ける。


「俺たちはここでミステリーサークルがあるって聞いてここまで遠路はるばる来たんだよ。」


「またあんたはそんなこと言ってるのね……。中学時代とはまるで別人みたい。」


「何かあったんですか?」


 とっさに恋歌が聴く。


「あー、後輩の子よね?実は、ロウラは……」


「おいやめろ雪。それは俺の黒歴史だ。ここにいる恋歌に知られちゃ……」


「えー、いいでしょ?ちょっとくらい。」


 そっちは良くてもこっちは良くないんだよ⁉︎

 さらに……


「そうじゃないですか。別に話したって減るもんじゃないですよね?先輩?」


 恋歌がめっちゃワクワクしながらこっちみてくるんだけど⁉︎

 だがこれだけは知られちゃいけないんだよな……


「あとでお菓子かなんか買うから、今回だけは勘弁してくれよ……」


「え⁉︎ほんと?」


「まじですか⁉︎」


 やばい。こりゃ俺の財布が吹っ飛ぶパターンだ。


「じゃあ私は高級なパフェを!」


「私はGO●IVAで。」


 ほ・ら・ね!

 それにしても雹はパフェで恋歌はチョコか。

 どうでもいいけどこういうとこで好みって分かれるよなぁ。

 財布が飛ぶことが確定して、軽い現実逃避をしている俺に、雹は、


「じゃあ、今からパフェ食べにいきましょ!」


 と俺たちの来た意味を消すようなことを言ってきた。


「ちょっと待てよ。俺たちはミステリーサークルを……」


「正直GODI●Aの方が……」


「ちょっと恋歌さんは黙っていようか‼︎」


 早くチョコが食べたいと言わんばかりの恋歌を受け流す。

 すると、雹は俺にその理由を話してきた。


「あのね……。私だって忘れっぽいわけじゃないんだから、ミステリーサークル探し手伝ったあとにでもパフェを貰おうとしたのよ?」


「じゃあ何で今すぐ行く話になるんだよ。」


 すると雹は、えげつないことを言ってきた。


 「ここの山……ドラゴンがいて、そのドラゴン、人が森に入ったのをみたら襲ってくるんだよね……だから私もここを肝試し会場にするのを躊躇ったって訳。」


 おいおいおいおい!

 ドラゴンに襲われながらミステリーサークル探せってか?

 そんなもんクソ喰らえだ。

 だけど、今は仕方がねぇ。


「悪いな雹。」


「?」


「恋歌。今のオカルト部の予算の残りはどんくらいだっけ?」


「確か……あと500円くらいですね。」


「え?それまじで言ってるの?ロウラ。今5月よ?」


 俺は首を縦に振る。

 そう、オカルト部は予算会議の時、まともに相手されなかったため、部費がもうないのだ。

 だからここで山に入らなければこっちへくる電車賃がなくなる。


「だったら自腹で行けばいいじゃない!」


「やだ。自分の金使いたくねぇし。」


「あんた、安全よりお金を取るのね……」


「まぁ多分、生き残れはするだろ。」


「はい。そうですね。先輩。私は先輩についていきます。」


「あんたはさっきGOD●VA買いに行こうとしてたわよね⁉︎」


 すっかり恋歌にチョコのイメージが定着してしまったが、そんなことは気にしない。


「よし、じゃあ、行ってくる。」


「ちょっと待ってよ。」


「何だ?あんたまさか、一緒に行きたいとかいうんじゃないだろうな?」


「いや?そのまさかよ?」


「自分は危険って言ってたのに?」


「仕方ないでしょ?私だってドラゴンやミステリーサークルは気になるもの。近くで見てみたいわ。特にドラゴンはもう一度しっかりと、ね。」


「けどそれは流石に危険なんじゃ……」


 恋歌はともかく、俺は確かに無力だ。しかし、雹がいるといないんじゃ、恋歌も能力を使えなくなる……。

 そんな思案をよそに、雹は、


「いや、あんた。私の中学校時代のことは覚えてるでしょう?」


 と、そんなことを言ってきた。


「ま、まぁ……」


確か、雹は中学校の時から運動神経がとても良く、特技がナイフ投げだったような……


「今だってその腕は衰えてないわよ?ほら、これ。」


 そういうと雹は自分の服の裏地を見せる。

 そこには、数十本のナイフ(みた感じ3cmくらいのものから10cmくらいのものまであった……)が敷き詰められていた。


「お前これでどうやって日常生活送ってんの⁉︎」


「流石に、これはイカれてますよ……?」


 その異様さはさっきまでチョコチョコ言っていた恋歌でさえツッコミに回る始末だ。


「え?これ持ち運べるように体をちょっと鍛えたに決まってるじゃない。」


 なんでそこまでの努力をするんだ……?

 流石にこれでは俺の雹を制止しようとする心も折れた。


 「はぁ……仕方ねぇ。じゃあ、恋歌。ゆ……雹。行くぞ。」


「はい。気を引き締めていきましょう。」


「ドラゴンが来たらいうわ。」


 こうして俺たちは、森の中に入って言った――――

 

 ――――――――森の中――――――


「ぶわっとぉぉぉ⁉︎」


「ごおぉぉぉ!」


 俺はドラゴンに追われていた。

 いや、正式にいうと、俺が囮になったのだ。

 だって、雹はルービッカーでも何でもないから、能力も使えないじゃん!

 あと、ここであいつらに囮頼んだら恋歌はともかく雹には絶対腑抜け扱いされるわ‼︎

 と、そんな感じで絶賛追われている。どうにかドラゴンブレスには追いつかれていないが、それも時間の問題だ。


 だって俺に持久力ないからね‼︎


「ちぃっ‼︎」


 こんな時に能力が出れば。

 何でよりによってまだ査定中なんだよ!


 俺は走って、走って、時々滑って、また走って。

 体力が切れる、いや、切れたあとも走り続けた。


 そして、ある大きな平地へと辿り着いたのだ。

 それと同時に、何故かドラゴンブレスも収まった。


「はぁ……はぁ……なんか知らんけど、助かった……」


 て言うか、もう俺立てないよ?

 今ここでドラゴンもう一回とか来たらガチで死んじゃうからね⁉︎

 そして俺は前を見る。そこには――――


「ははっ……なんだよ……はぁ……はぁ……。見つけたぞ……」


 ミステリーサークルがあった。

 俺はそこに近寄る。

 もちろん写メ撮りたいからね……!

 これを見た瞬間、俺の疲れは吹っ飛んだ。

  俺はバックにしまっていたスマホ、そしてデジカメを取り出す。


「こりゃあ絶景だぜ‼︎写メを……」


 だがしかし、俺の撮影会(メンバーは俺1人)は阻止される。


「おいおいおいおい!兄ちゃん、そこで何やってんの⁉︎ここでなんかするなら、俺を通してもらおうかぁ!」


 ヤクザっぽいやつによって。


「……お前、芽晴学校軍か?」


 確かここらへんを陣取ってるのが芽晴学校軍ってのなんだよな……?

 だったらこいつがそのメンバーの1人って可能性は……


「?なんだそれ?俺の所属はそんな軍じゃねぇ‼︎‼︎俺はただ、お前をぶっ潰すだけだぁ‼︎‼︎」


 違うのかよ‼︎

 そんでもってこいつ絶対強いぞ....‼︎

 助けてレンパンマーン!

 というかガチで体力ないから誰か助けてくださいお願いします‼︎‼︎


  ――――――雹と恋歌サイド――――


「はくしっ!」


 恋歌はくしゃみをした。

 何故だろう。無性に先輩を殴りたくなる。


「それにしても困ったわよね〜。この龍は俺に任せてお前らでミステリーサークルを探せなんて……」


「そうですよね……」


 そう、恋歌たちは八方塞がりな状況に陥っているのだ。

 無駄に動いたら見つかるし、かと言って動かなかったら餓死する。

 いっそ潔くここを降りれたらいいのだが、雹が「あいつをここに置いていくわけにはいけないわ。危険だもの。」といって聞いてくれない。

 そもそもこの人は何かがおかしい。

 さっきから嘘の能力を使って、雹の言葉に嘘がないか確かめているのだが、


 まず肝試しというのが嘘っぽいのだ。


 何故?何で私たちに嘘をつく必要がある?

 恋歌は考えたが、何も出てくるものはなかった。

 まぁ、この人にも色々あるのだろう。

 そんな感じでその話は一旦置いておき、恋歌は話を進める。


「どうしますか?雹さん?動きますか?」


「そうだわね。ここにいても何も始まらないもの。」


 そうして、2人は歩き始めた。

 その道中にはツタ、根っこ、葉っぱ、倒木。

 数々の自然のアトラクションがあったが2人は難なく乗り越えていく。


「ふう……ふう……」


「恋歌さんもなかなかやるわね。」


「いえいえ。雹さんも。」


「あら、雹先輩って言ってくれてもいいのよ?」


「遠慮しておきます。」


 この道中で、2人も、こんな軽口を叩ける程度にはなった。


「はぁ……はぁ……。流石にここは森の中だけあって、疲れますね……」


「まぁそうね。アスファルトの上を歩くのとは訳が違うわ。」


 2人でこんな呑気な会話を交わす。だが、その呑気な会話はこれが最後だった。


「ギュルルル!」


「え……」


「嘘でしょ……?」


 ドラゴンの鳴き声の後、2人の数メートル先に、ドラゴンブレスが落ちてきたからだ。

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