第3話 突発的な戦闘
「お前...なぜ……」
俺は混乱した。
俺たちを生け取りにする⁉︎
俺がルービッカーってことはおそらくバレてないから、狙いはおそらく……恋歌だ。
ていうか何でこのパワハラ野郎、剣持ってんだ⁉︎
銃刀法違反で逮捕してやろうか⁉︎
だがそんな俺の思惑は届かない。
「ま、お前ら痛くするが我慢しろよ〜。殺しは、しねぇから……な!」
言った側から体育教師が襲ってきた!
「まずはお前からだロウラ!くらえや!【妙....」
「ラン‼︎」
「ガウ!」
技を打とうとした体育教師を恋歌に命令されたランが頭突きで自分ごとグラウンドへと吹っ飛ばす。
ほんの一瞬のことだった。
「うおっ‼︎」
元々このオカルト部のある部屋は2階。
行動がもろ犬なランはともかく、体育教師はまぁまぁなダメージを負っているだろう。
「先輩。いきましょう。ランが無事か気になります。」
「あぁ。もちろんだ。」
俺たちは急いで校舎を駆け降りた。
――――――グラウンド――――――
「うおっ!」
まじかよ……こいつら、この俺を2階から落としやがった。
あとこいつ。うちの生徒じゃねぇな?
そう思いながら俺は目先の人間?に目を向ける。
それにしても痛かった。瞬殺しようと思ったのに....
そんでもって、あの恋歌って生徒、かなり実力があると見た。
だったらまずは....
「グルルルル.....」
「あの二人が来る前に、こいつを戦闘不能にしてやる。」
俺と恋歌はものの数分でグラウンドについた。
だが――
「くらえ。【罵倒斬】‼︎」
「ギャウゥゥ‼︎!」
「まじかよ....」
「嘘でしょ....ラン。」
そこで見たものは、体育教師がランを切り倒したものだった。
「おお。お前らきたか。こいつもまぁまぁしぶとかったがなぁ。いい運動になったぜ。」
「....」
「れ、恋歌?」
その恋歌の表情からは、怒り、悲しみ、その両方が取れた。
その直後、恋歌は叫ぶ。
「平先生、よくも....よくも私のランをやってくれましたね⁉︎」
「お?次はお前がやる気か?恋歌。」
「はい。そうさせてもらいます。」
「そうか。だったらいいことを教えてやる。俺の能力は....」
「あなたの能力は【剣術】。ランクは緑ですね?私だって敵になるかもしれない人たちの能力くらい調べてますよ!」
「だったら話が早いな。【影斬り】‼︎」
体育教師が一気に恋歌に迫る。だが、
恋歌は変なことを言い出した。
「【私は筋肉がとてもある】‼︎」
「は?恋歌さん?こんな時に何言って...」
俺がそう思ったのも仕方がない。俺から見た恋歌は特に何も変わってないからだ。
ていうかさっきのランクって何?ちゃんとそこらへん説明しろよな。
俺がこんなことを考える一方で、体育教師は、
「お前、筋肉強化系のルービッカーか‼︎だったら相性が悪かったな‼︎俺の剣は、鋼をも斬り裂く!」
なんか意味のわからないことを言っていた。
恋歌は別に筋肉の量も何も変わってないよ?
この教師妄想癖まであったりするの?
だが、おかしなことが起きた。
「どうしましたか?平先生?」
「何....?俺の剣が....通らねぇ?」
「え?何が起きてんの?」
俺からみると、その光景は、オカルト部の研究としてあげたいほど奇妙なものだった。
なぜなら、体育教師の剣が、恋歌の腕にあと一歩のところで届かず、空中で止まっているからだ。
そんな俺を見て、恋歌は、
「あ、先輩にかけるの忘れてました!【強制認識】‼︎」
と体育教師の攻撃を抑え?ながら俺に能力をかける。
その瞬間、俺の視界の一部、そう、恋歌の体が変化し、ボディビルダーのようにムキムキになった‼︎
「え?え?れ、恋歌さん?」
どういうこと?というか、体育教師にはずっとこれが見えていたのか⁉︎
そんなことを考えているうちに、恋歌が動いた。
「平先生。次はこちらからいきますよ‼︎」
と、恋歌は教師に拳で二発殴ろうとする。
だが仮にも俺たちを殺そうとしてきた奴だ。
「くそ……が‼︎」
剣で恋歌の攻撃を受け止めてきた。だが恋歌の筋肉にダメージはない。
「何で斬れねぇんだよ‼︎」
「さて、なぜでしょう……ね!」
「ぐわっ‼︎」
そして次に放った一撃で、恋歌は体育教師の腹に一撃を入れることに成功した。
その反動で体育教師は地面に膝をつき、刀を落とす。
「くっ...しまった...。剣が....」
「もうこうなったら私たちの勝ちです。降参してください。」
私たちってか、俺何もしてないけどね⁉︎
そんな俺とは違い、恋歌は話を続ける。
「剣を持とうとしたって無駄ですよ。あなたの剣を取り、私に攻撃するスピードと、私があなたの顔に攻撃をするスピードは、はるかに私の方が上です。」
その時、体育教師の目つきが変わった。
まずい!何かしてくる気だ!
「さらにいうと、ここからあなたが私に勝つ方法は、増援が来ない限りありません。残念ですが...」
「恋歌!危ない!」
「⁉︎」
「油断したな!おらぁぁ!」
くそ!指示が一歩遅かった!
あの体育教師、恋歌のあごにアッパー決めやがった!
まぁ、そんな攻撃であのムキムキになった恋歌が倒れるわけ.....
だが、その思考は一瞬で否定された。
そう、恋歌が倒れたのだ。
「ふう。昔行ってたボクサージムでの経験が功を奏したぜ。――――さぁ、あとはお前だけだ。」
「れ、恋歌ぁぁぁ!」
なぜだ?なぜ恋歌はやられた⁉︎他の攻撃は一切効いてなかったのに⁉︎
まぁそんなことは今考えたって仕方がない。まずはこの体育教師を...
「ま、その前に恋歌を斬っときますか。」
は?何言ってんだこいつ?
サイコパスなのか?
「お前、ふざけんなよ?」
「何だ?」
そう言いながら体育教師は剣を持ち直す。
「これ以上恋歌を攻撃すんな。あいつはもう倒れてる。」
「そんなん知ったことか。俺に一撃加えた罪、ちょっとは償って貰わねぁとなぁ!【頼廉ざ.....」
「おい!お前!やめろ!」
俺は走った。あいつを止めるために。
距離はせいぜい10メートルあるかないか。だが、これは一瞬の差が結果につながる。
その時だ。
びゅうううううう!
つむじ風、いや暴風がこのグラウンドに吹いた。
「チッ!」
体育教師は咄嗟に身を覆った。それほどこの風が強かったのだ。
だが俺は、
「うおぁぁぁ!」
止まらない。吹き飛ばされそうでも。
その甲斐あってか、風が吹き終わったと同時に、俺は体育教師に飛びついた。
「何⁉︎お前⁉︎」
体育教師が驚いている隙に、刀を持っている方の手を強めにし、四肢を掴んだ。
「はぁ……はぁ……どうだ.....テメェ。」
「教師に向かってテメェとは、口の聞き方がなってないな。」
「お前だって、俺たちに傷つけようとしたよな?」
「まぁな。だがしかし、お前はこのままじゃ俺を殺すどころか、気絶させることもできないぞ?」
「いや?その点に関しては問題ねぇぜ?」
「なぜだ?........……あぁ。そういうことか。」
体育教師 平は、俺の後ろを見て、全てを悟った。
なぜならそこには、復活した恋歌がいたのだから。
「すみません。先輩。ちょっと油断してました。.....さて、平先生。最後に言い残すことはありますか?」
「そうだな....完全に負けた。次は、覚えてろよ」
次の瞬間、恋歌の拳が体育教師の顔面にあたり、体育教師は伸びてしまった。
「さて、恋歌?」
「何でしょう?」
「さっきの戦いで出てきた数々の専門用語的なのを教えてね?」
「わかりました。……その前に、先輩。オカルト部にロープとかってありましたか?」
「あるけど....」
「じゃ、それ持ってきますね。次起きた時に平先生が暴れないよう、縛っておきますから。」
「お、おう.....」
何この人⁉︎ヤクザ⁉︎こわ〜い!