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ルービック・バトル  作者: レイ
第2章 北海道決戦編
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28話 いざ北海道へ

「貴方、佐座見 楼羅君ですよね⁉︎そうですよね?」


 なになになんなのこの人⁉︎

 こっちからすりゃあ初対面なんだけど⁉︎

 これ名前言っていいやつ⁉︎ダメなやつ⁉︎

 俺はいきなりの状況に頭を抱え混乱する。

 だがその状況には彼女も気づいたようだ。


「あ、すみません。確かに、初対面なら私から挨拶すべきでしたね。」


 そういう問題じゃねーよ‼︎まず話すこといっぱいあるでしょう⁉︎


「私の名前は【天蓋 葵(てんがい あおい)】と言います。藍 恋歌の知り合い、と言ったらわかるでしょうか?」


「は?恋歌の知り合い?」


 ここで俺は聞き馴染みの名前が出て驚く。

 いやもう、1、2歩後ずさるくらいには。


「はいそうです。……というか一応、あなたも挨拶してくれ。」


「え....あ、はぁ……」


 え?急にタメ口?


「俺は佐座見 楼羅です。そんでもって、こっちの犬はランって言います。」


「ワン!」


 なんだ?この人、ランが余計に懐いてるっぽいな……

 まぁこいつ恋歌のペットだし、確かにあり得ることだよな……


「……あの子が言ってた助っ人ってこの人なんだ……あんま強くなさそうだけど、大丈夫なのか……?」


 あのすみませーん。声漏れてますよー?


「まぁ、この緊急事態、人数は何人いても関係ない、か……」


「は?緊急事態?」


 ここで俺は反応する。

 今恋歌は北海道に行ってるし、そこであいつに何か起こっているのなら、俺だってただごとじゃあないのだ。

 だがそんなことをよそに、彼女、天蓋 葵は俺の知らないところで驚いていた。


「え?恋歌ちゃんに今の状況、知らされてないんです……か?」


「ま、まぁ……」


「…………マジですか。……つまりあの子、私に説明を全振りしたってことね……」


「あのー⁉︎その独り言全部聞こえてますからね⁉︎天蓋さーん⁉︎」


「……えっ⁉︎」


 今度は声を出して警告したのだけれど、まさか本人は一切合切気付いていないようだった。

 マジかよ……この人気づいてなかったのかよ……

 それならそれで俺の方も恥ずかしくなるんだけど……


「うそ……。」


 天蓋さんはまだ落ち込んでいる。


「……まぁそれはいいんで、本題に入ってください。恋歌はどうしたんすか?」


「あぁ。そうでした。恋歌ちゃんはですね、北海道で半ば軟禁状態にあるんです。」


「はぁ⁉︎軟禁状態⁉︎」


 なんでそんなことをあいつ、俺に連絡してきてないんだ⁉︎

 というか軟禁⁉︎ルービッカーの拘束か⁉︎


「だったら急いで助けに行かないと……‼︎」


 俺はいてもたってもいられなくなり、リュックを道路に放り投げ、全速力で空港へと向かおうとするが……


「焦らないで‼︎貴方だけでどうやって行くの‼︎」


 一歩目も踏み出せないまま天蓋さんに腕を押さえられ、止められた。


 というかやたらこの人、力強くない……?


 ともかく、押さえられた俺は大人しくその場に立ち止まった。


「けど、どうするんすか⁉︎天蓋さん!恋歌が今軟禁状態なんでしょう⁉︎」 


「まぁ、そうなんだけど……実際にはある島に味方と一緒にいて、外から連絡が取れなくなっている状況らしい……あ、そういえば今更になるけど、君ってルービッカーですよね?」


 立て続けだなおい!

 ……まぁ味方と一緒にいるのなら良かった……。

 そう思いつつ俺は天蓋さんの質問に答える。


「あぁはい。俺はルービッカーですよ。状況的に天蓋さんもですよね?」


「えぇそう。私もルービッカーですよ。恋歌ちゃんとは彼女が中学生の頃からの知り合いだ。」


「へぇ……。」


 そういえば恋歌って高校以前の生活についてあんま口割らないよなぁ……。

 俺がそんなことを考えていると、天蓋さんが俺に話しかけてきた。


「んじゃ、早く準備をしてきてください。」


「は?」


「だから、早く北海道に行く準備をして来てくださいって言ってるんです。」


「けどさっき俺が行こうとした時は天蓋さん、止めようとしてましたよね?」


「チッチッチッ。これだから高校生は甘いんですよ。それと私のことは葵って呼んでください。苗字だとなんか落ち着かないんで。」


 やばい、完全にてんが……葵さんのペースに持ってかれてる……


「んで、俺の何が甘いんですか?てn……葵さんが俺の分も飛行機のチケットを買ってきてくれる、とかいう大人の対応でも見せてくれるんすか?」


「いやいや、そんなわけ。」


「じゃあ一体何をしてくれるっていうんですか?」


 俺が葵さんに対して食い気味にかかっていると、

 彼女はとんでもないことを言い始めた。


「プライベートジェット。」


「は?」


「プライベートジェットで、最寄り空港からその島まで行きます。」


「はァァァァァァァァ⁉︎」


 俺は今まで飛行機っていうものに乗ったことがなかったんだけど、まさか最初に乗る機会が人様のプライベートジェットとは、思ってもみなかった。


――――――――――準備完了―――――――――


「さて、準備はできましたか?」


「えぇ、もちろんです。」


「まぁ今までにざっと1時間近くもかかってたし、妥当と言えば妥当ですか。」


「それに関しては待たせてすみません!」


「.....そういえば、この犬も連れて行くんですね。」


 葵さんが指したのは、俺がリードで繋いでいるランだ。


「ワン?」


「はい。せっかく恋歌のとこに行くんだったら連れて行こうかなって思いまして。」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 そんな会話がありつつ、俺と葵さんは最寄りの空港へとやってきた。

 彼女との道中の会話で分かったことは二つ。

 

 ・恋歌は葵さんに俺の修了式の日を見計らって俺の家に来るように指示していたということ。


 ・彼女が恋歌と同等かそれ以上(おそらくそれ以上だろう)に強い、ということ。


 だ。


 まぁ恋歌としては俺にギリギリまでこのことを知らせたくなかったんだと思うのだが、俺としてはそんなことが起こっているのならば少しでも力になりたい、というのが事実だ。

 まぁ俺はまだ弱いから、こんなことを言えるような立場じゃないんだけど……

 そんなことを考えているうちに、プライベートジェットを出し終わったらしい葵さんが帰ってきた。


「すみません。遅くなった。」


「ちょっと突っ込もうかなって思ってたんですけど、なんで葵さんって敬語とタメ口が混ざってるんですか?」


 ちなみに俺はプライベートジェットの話が出たあたりから葵さんはいい人であり、それでいて怖い人であると察し、完全な敬語を使っている。


「ん?まぁ個性があっていいと思いません?」


「まぁ個性って言われたらそれまでなんすけど……」


「まぁいい。行くぞ。」


「キャンキャン〜‼︎」


 こうして俺たちは、フライトを開始した。


――――――――プライベートジェット―――――


「うわぁ……高っかい.....」


 俺は大空からの絶景に興奮していた。

 だって初めてだもん!

 ちなみにランは乗り込んですぐに寝てしまった。

 この絶景を見れないとは、奴も可哀想だ。


「なんだ?初めてなんですか?」


 前の席で自らプライベートジェットを運転している葵さんからの疑問がくる。

 ちなみに自動操縦にしないのかと聞いてみたところ、この操縦する感覚が楽しいと言っていた。


「まぁ、そうですね。」


「そうか……流石にプライベートジェットに乗ることは初めてだろうな……」


「いやまぁそっちもそうなんですけどまず飛行機すら初めてです!」


「あ、そうなんですか。まぁ、楽しんで下さいね。」


 ほんとこの人、変わってるよなぁ……。

 いやまぁうちのドSサイコパス(恋歌)さんに比べりゃ幾分ましなのかもしれないけどさぁ……


「それで、楼羅君は、どのような経緯でルービッカーになったんだ?」


「あぁ。それはですね、山でウォーキングしてたら偶然ルービックを見つけて。それで恋歌に色々事情を聞いて……ってところですかね。葵さんは?」


「私は自宅裏の山で拾ったんですよ。……それにしても楼羅さんは運が良かったのか悪かったのか。あの周りには何故か数々の軍団があるという中で、あの芽晴学校軍とギリギリのところで縄張り争いを続けていて、まだ統合措置は愚か傘下にすら入っていない西高校学校軍と停戦協定を結ぶんですから。」


 ん?それだと西高校学校軍が弱く感じるんだけど……

 あそこ、そこまで弱くはないよね……?

 てことは……

 俺は気になったことを葵さんに質問する。


「……芽晴学校軍ってそんなにやばいんですか?」


 すると、葵さんから返ってきたのは思わぬ返事だった。


「……知らないのか?あそこは軍同士で年一回開催されているルービックトーナメントで毎回ベスト8まで残る【八軍陣】のうちの一つなんですよ?」


 知らなかった……

 ってことは傭兵隊が来てなかった場合は芽晴学校軍本体が来てたのかよ……

 危ない危ない……

 俺が冷や汗と垂らしたところで、葵さんがまたもや発言する。


「あ、そういえば、もうすぐ北海道に入るので教えておきますね〜。」


 早くない?

 さすがはプライベートジェットといったところか。


「私たちが今から行く島は通信機器が使えなくなる。」


「それは分かってます。」


「待て待て。話は最後まで聞いてください。昔そこの住民から聞いたのですが、これは外に情報を漏らさないための籠城線用、ということらしい。つまり、今あの島は、軍に……それも北海道唯一の軍【極雪喜夏(ごくせつきか)】に狙われている可能性が高いんですよ。まぁ八陣軍も知らない楼羅では知らないだろうがな。」


「それは悪かったですね……。それで、肝心の戦力はどのくらいなんですか?」


「それも知らないのか……奴らは八陣軍ほどではないにしろ、それに匹敵するレベルの強さを持っている。無論、もとよりルービッカーの絶対値は少ないので数は20人行かない程度ですけどね……。」


 おいおいうそだろ……⁉︎


「ってことはかなりまずい状況なんじゃ……というかなんで恋歌はそんな島なんかに……」


「……楼羅君?その島は無所属最強の治癒能力を持っている、【Dr.YB(ドクターヤブ)】がいる、【無治島(むちじま)】ってところだぞ?まさか、そんなことも知らないんですか?」


 葵さんが疑惑の目で俺を見つめる。


「…………色々知らなくてすみません‼︎」


 それに対して、俺は誠心誠意土下座した。

 ……いや、何やってんだ俺。


「全く……無所属ルービッカーにとっては特に、情報というものは武器になるというのに……まぁいい。それじゃあ……」


 そう、葵さんが言いかけたところだった。

 

 ガシャッ。

 

 そう、何かが潰されたような音がした。


「え?今何が……」


 その直後のことだった。


『部位破壊、部位破壊。この便の後方座席に、風穴が開きました。乗客の皆さんは、直ちに酸素チューブを口につけ、指示を仰いで……』


 アナウンスがなり、機体が大きくぐらついたのだ。


「‼︎」


 葵さんがどうにか持ち直そうとするが、損傷が大きかったようで、機体は大きく揺れながら進んでいる。


「え?何が……」


「楼羅君‼︎」


「え⁉︎」


 すると彼女は、とんでもないことを、いや、この状況ではそれしか原因が思いつかないことを言ってきた。


「敵襲だ‼︎おそらく私のプライベートジェットが奴らにバレてたんです‼︎このまま敵を退けないとジリ貧で先に私たちが島に着く前に海に落ちる!だから頼む、敵のルービッカーを退けてくれ‼︎」


 なんだよ、初フライトがこれなのかよ‼︎


 つーかラン未だに寝てるじゃねーか‼︎

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