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ルービック・バトル  作者: レイ
第1章 学校編
28/38

閑話 ロウラ退院、恋歌海上

俺は目を覚ました。

 ……多分ここは保健室……のはずだ。


「あぁ。起きたのね。佐座見君。」


「あ、絵口先生。おはよーございます。」


 確か俺は……傭兵隊の千に向かって技を放って……そっから……?

 だめだ。まともに覚えてねぇ……

だったらその後のことを絵口先生に聞いてみよう。


「あの……俺が技を打ったあと、どうなったんですか?」


「あぁ。やっぱりその話になるのね。じゃあ、そのことはここの軍長さんに話してもらいましょう。」


「へ?」


 すると、ここまで待っていたのか?ってくらい丁度いいタイミングで扉を開けて校長が入ってきた。


「やぁ。目が覚めたかい?佐座見君。君が起きるまでざっと丸一日かかったんだよ。」


「……え」


 嘘だろ……?

 確かルービッカーの治癒能力は常人の約25倍なんだよな……?

 ってゆーことは、俺、えげつない程のダメージ負ってんじゃねぇか‼︎

と、俺はここで下半身が包帯でぐるぐる巻きにされていることに気がつく。


「すんませんが……これは?」


「あぁ。それはね、佐座見君、下半身から地面に向かってダイブしてしまったから、下半身が複雑骨折してるの。けどそれだけで済んで本当に良かったわ。」


「これがそのくらいで済むのが怖いんですが……ちなみに全治どのくらいですか……?」


「えーと、全治は、1週間よ。」


 思ったよりなげぇな!!


「オホン。すまないがここに私もいることを忘れないでくれ。」


 と、校長が咳払いをして話を元に戻す。


「あ、そうっすね。あのあとどうなったのか。それとここにいない恋歌のことについても、聞かせてもらいますよ。」


「あぁ。もちろんだ。」


 そうして、校長は話し始めた。

 その話をまとめる限り、


 あのあと傭兵隊は全員気絶し、戦闘には勝利。しかし、校長が捕獲しようとしたが、何かの能力の影響により、3人は消えてしまった。また、恋歌は右手を斬られて、それを治すために北海道へと行き、治れば戻ってくるらしいが、夏休みになっても帰ってこないなら何かあったと判断し、北海道にきて欲しい、ということだ。ちなみにランは今は学校にいるが、俺が完全完治したら俺の家で面倒を見ていて欲しい。

 ということらしい。


「へぇ。色々あったんですね。」


「あぁ。だがとにかく、君たちと私達の不可侵条約は確立した。これからは安心して学校生活を送ってくれ。」


「了解です。……まぁ俺はまだ復帰できそうにないですが……」


「はっはっはっ。そういえばそうだったね。絵口先生。佐座見君の面倒をよろしく頼むよ。」


「分かりました。」


 ……さて、こっから1週間、暇だな〜……何して過ごそうか……


 ――――――そして1週間後――――――


「よし、やっと治ったわね。」


「はい。とりあえず、リハビリも完璧ですね。」


 俺は完全回復した。

 この1週間で俺は、ちょっとした怪我をして病院で入院している、ということになっているらしい。

 ……まぁあながち間違っちゃいないけどね……

 ちなみに俺はこの1週間暇だったため、どんなことが能力でできるのか頭の中で考えていた。

 それで思いついた候補は3つほど。

 今度試してみよう。

 そんなことより、今この場には、1週間前のメンツが揃っている。

絵口先生はわかるとして、校長は何してるんだ?

 すると突然その校長が、


「良かった。まぁ君と藍君には非常に感謝している。ありがとう。これをいうために私はここへきたのだよ。」


 と、なんの前触れもなく、お礼を言ってきた。

 まぁもちろん感情はこもっていなかったが。


「は、はぁ……こちらも、あざした。」


 この校長、やっぱし無所属を下に見てるのが丸わかりだな……

 まぁいいや。別にそれで俺と恋歌の今後の対応が変わるわけでもないし。

 そんなこんなで俺は、保健室のベットから立ち、全快してピンピンな足を地面につけた。

 久しぶりだな……地面の上に立つのって……


「それじゃ俺はランを連れて帰りますので。ランはどこですか?」


「あぁ。あの犬は職員室にいるわよ。」


「分かりました。絵口先生。この1週間、ありがとうございました。」


 俺はそう言って保健室から出ようとドアに手をかける。

 すると、


「私には何かないのかい?」


 校長が何か言葉を欲しそうにこちらをみていた。

 それに対して俺は、心の中で苦笑いし、答える。


「……校長……先生も、いろいろあったけど、お世話になりました。」


「その割には感情がこもっていないようだが?」


「気のせいでしょう。」


 ……まぁ俺のことを半ば殺そうとした人に対してまともな感謝なんて言えるわけないんだけどね……

 それに校長も俺たちに対する感謝は感情がこもっていなかったからおあいことさせてほしい。


「……まぁ、いいでしょう。くれぐれも、安静に。」


「また何かあれば、保健室に来てくださいね?佐座見君。」


「ありがとうございます。それじゃ、さようなら。」


 その2人の言葉を最後に俺は保健室を後にし、職員室からランを預かって、帰路についたのだった。


 ーー5日前(戦闘が終わってから3日後) 恋歌ーー

 

 私は今、夏日が照りつける中、クルーザーに乗っていた。

 ここは海上....正確にいうと北海道の天売島(てうりとう)からさらに西へ10kmほど離れた場所だ。


「……まさかお前がまたこの島へやってくることになるなんてな。」


「そうですね。私だって仰天してますよ。」


 私はクルーザーの運転をしている茶髪で肌に傷がついている男と他愛のない会話をしていた。


「それで?なぜ今日はこんな田舎の辺境まで来たんだ?」


 私は彼の質問に対して右手を指しながら答える。


「はぁ……(そめい)。あなたには迎えに来てもらうときに事前に話したじゃないですか。この腕ですよ。ちょっとばかしイザコザがあって私の右手首が切られてしまい、あるルービッカーの人に応急処置をしてもらったのですが、後少しでその応急処置も効果を失い、右腕がおじゃんになってしまうので完全にくっつけに来たんですよ。」


「あぁ。確かそんな感じだったな。」


「えぇ。何度も言わせないでください。それに私が仰天してることはもう一つあります。」


「?」


 染は疑問を浮かべたままこちらを見る。

 まぁ、そこまで大事なことではないのですが……


「それは、染。あなたがこの地、北海道住みのルービッカーなのに、まだ死んでいないことです。」


「……おい、藍。お前の冗談は冗談として捉えておくことができないからやめてくれよ?」


 染は次に困惑の表情を浮かべる。


「それに北海道の軍なんて札幌郊外に構える【極雪喜夏(ごくせつきっか)】のとこしかないんだから、そこが動かない限り俺たちは安泰だ。まぁ、そこがさらなる戦力拡大を求めるというのなら戦闘は免れないがね。」


「へぇ……。北海道のルービック事情に関しては知りませんでしたね……。参考になりました。」


 私はぺこりとお礼をいう。


「同じ【無所属】だ。情報共有は当たり前だろう?」


「一応礼儀はしておく方がいいと思ったので。」


「まぁ、別に構わないが。」


 その後も私と染は少しだけ日常的な会話をした。

 そして話題も次第に尽きていった。


「……島まではあとどのくらいですか?」


「あー、残り7〜8kmくらいだ。」


「まぁまぁありますね……」


 私はため息をつく。

 先ほどの10kmのところから少なくとも2kmは走っているはずなのだが、話題の尽き方が尋常じゃないほど早い。

 だがその時だった。

 ツーツーツーツー…………

 無線が鳴ったのだ。


「?なんだ?このクルーザーに無線がかかってくることなんて一切ないのに……しかも緊急……?」


 そう言いつつ、染は無線に応答した。

 緊急?

 その言葉は私にも引っかかる。


「一体何が……」


 だが、その答えはすぐにわかった。

 彼が次の言葉を発した瞬間、染からは緊張と焦りが感じ取れたのだから。

 

「すまない。恋歌。本当の緊急事態が発生した。これより、全速力で目的地の無治島(むちじま)へと向かう。そして、島では電子機器は使えなくなる。10分以内に着くだろうから、メールだの電話だのは今のうちに、しておいてくれ!」


 その直後、クルーザーが急加速して、私は体勢を崩す。


「うっ...!」


「大丈夫か⁉︎」


「はい。全然大丈夫です‼︎」


 この感じ、ドッキリではすまないだろう。

 それに少なくとも私がみたこともない、滅多にかからないはずの緊急事態。

 となるとどんなことだとしても、人員は必須でしょう。

 そう考えた私は、急いで先輩にメール(電話だといない場合ロスだ。)を送ろうとする。

 だが、先輩は今満身創痍だ。

 そんな先輩を呼びつけることはできないし、ましてやあの人は無理をして来てしまうだろう。

 だったら、

 時間はかかりますが、折衷案かつ人員増加の打開案でいきましょう。

 そのためには、まずは確認をしなければ……!


「染!」


「なんだ⁉︎」


 染は過激な運転をしながらも話を聞いてくれるようだ。

 それは助かる。

 私は床や壁にぶつかりながらも、質問をぶつける。


「その緊急事態とは、短期的なものですか⁉︎それとも長期的なものですか⁉︎」


 「おそらく長期的なものだ‼︎お前の年齢でわかりやすく言えば夏休み中盤くらいまでの、な‼︎」


 長期的なものなら話は早い。

 先輩には伝言で『夏休みになっても私が帰ってこないようなら来てください』と伝わっているはずだ。

 ならば、そこにもう1人人員を増やしましょう。

 そう思いついた私は急いでその人のメールアドレスを探し、要件を打ち、送ることに成功した。

 とその時だ。


「おい藍!もうすぐ電子機器の使用は厳禁になるぞ!無治島につく‼︎」


 ちょうど染から合図が来たのだった。


「わかりました‼︎」


 やれることは全てやりました。

 ですが、ここの人たちは信用できるのですが一体緊急事態とは何が……

 まぁ今は考えてもわかりませんね。

 先輩……、必ず来てくださいね……!

不穏な空気が流れる.....

2章、北海道編へと続きます。

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