22話 校長の異常な能力
校長室。
「いいですか?私の攻撃で今この校舎に入ってきた傭兵隊のひよっこ1人を押し潰します。」
ここでは今、校舎内に入ってきた泥谷を倒すため、ちょっとした会議が行われていた。
流石に生徒がやられたためか、校長も少し怒っている雰囲気だ。
「わかりました。」
絵口先生はこのことに同意する。
しかし、
「ですが、押しつぶすと言ったってそりゃあ難しいんじゃあないですか?あいつは片足が生徒会長のおかげで潰れているとはいえ、かなりのスピードがありますぞ。校長先生の押しつぶしも1日に3回までですし、様子を見た方がいいのでは……」
教頭は校長の意見に反論した。
だが校長にはそんな反論、通じなかった。
「ふーむ、それでは……」
少し考え、ものの数秒で解決案を出す。
「だったら教頭先生、あなたが奴を足止めしてきてください。」
「な、なんですと⁉︎」
「大丈夫です。ルービッカーはそんなことじゃあ死にませんし、かえってまともな運動をしていない教頭先生にとってはいい案じゃあありませんか。」
と、笑顔で教頭に話す。
「い、いや……それでも私は……」
「それでは家革先生に行かせますか?」
またしても笑顔で教頭に尋ねた。
ちなみに、この場には家革 絵口先生を合わせて、3人がいるわけだ。
教頭がいかなければ必然的に絵口先生が犠牲となる。
「さて、どうしますか?」
校長の笑顔が教頭に迫る。
...........
少しの静寂が流れたあと、
「し、仕方ないですね……!行けばいいんでしょう!行けば‼︎」
教頭は、校長にそう言い残して勢いよく校長室から出ていった。
「あ、あの、校長先生?本当にこれでよかったんですか?」
「はい。いいですとも家革先生。それでは私は能力を使用しますので、少し離れててください。」
「わ.....わかりました。」
――――――――校舎内―――――――
「ったく、軍長はどこにいるのでありますか⁉︎」
泥谷は校長を探してもう5分程度は立っている。
「それより、あの2人、たかだか無所属相手に手間かけられすぎじゃないでありませんか?まぁ私も右足が動かないのでありますが……」
泥谷にとって、さっきの戦いは戦闘においての致命傷を引き起こした。
実は泥谷の利き足は左足なので、左足を焼かれなかったのは不幸中の幸いだが、これでもまともに歩けなくなるなどのものはあった。
まず、今泥谷は壁に手をつけて歩いているのだ。
瞬発性のある移動はどうにかできるが、一回使うと倒れ込むだろう。
そのくらい生徒会長にくらったダメージは響いている。
「こんなことなら慢心せずに、奴が本気にならないうちにKOしとくのでありましたよ……」
後悔する泥谷。だがしかし、その後悔はまだ序章に過ぎなかった。
「あ、あなただな……!はぁはぁ……!校長に言われてやってきたぞ!早く首を渡せぇぇぇぇ‼︎」
教頭が血眼になりながら泥谷の方に向かって走ってきたからだ。
「な、なんでありますか⁉︎」
「はぁはぁ……!お前を、拘束してやる‼︎こんな面倒な仕事、もう懲り懲りだ‼︎」
「ちょ、ちょっと待つであります!!私はここで壁にもたれかかりながら歩いているのでありますよ⁉︎それに攻撃とか、人としてどうなんでありますか⁉︎」
「いや、そんなことはこっちが言いたいぞ‼︎お前たちのせいで、無賃労働する羽目になったんだからな⁉︎」
「この大人、やばいであります……」
教頭に対し、少し呆れかけている泥谷。
「だったらいいでありますよ。今度はきっちりワンパンしてやるであります。」
「な、なんだと‼︎この私相手にワンパンなど、できるわけが……」
「はぁ……、うるさい大人は嫌いであります‼︎【終拳・滲】‼︎」
左足をバネにし、泥谷は一気に飛ぶ。そして泥谷の拳は教頭の腹にきっちりと当たった。
「がふっ!!!!!」
教頭はその一言を残し、膝をついて、崩れ去った。
そして泥谷も殴った勢いのまま、地面に倒れた。
(え?)
校長は驚愕していた。
もちろん能力を使ってこの一連の様子を見ていたのだが、教頭があまりにも脆すぎて驚愕していたのだ。
(嘘ですよね……?いくら教頭先生でもルービッカーの回復力は得ているのだから、一発くらいはギリギリ気絶しないと思っていたのに……)
しかも相手の傭兵隊は右足をやられていて本来の威力の3分の2程度しか出てないはずなのに……
(まぁいいでしょう……なんにせよ隙は作れたので……)
校長は教頭に失望しつつも、とんでもない技を泥谷に解き放った。
「傭兵隊のひよっこよ。我々に手を出したこと、後悔しなさい。【校舎の憤怒】。」
「な、なんでありますか……⁉︎」
泥谷の上にある天井がメキメキと動き出した。
それも泥谷を押し潰さんとばかりに。
さらに今泥谷は動けない。なぜなら、右足はとっくに潰れている上、左足はさっきのでかなり消耗したからだ。
「っ‼︎これを踏まえて校長はさっきの教頭を使ったのでありますね……!一本取られたであります……!」
天井からはえた岩の突起は泥谷を押し潰し、泥谷は気絶したのだった。
――――――――校長室――――――――
「校長先生。傭兵隊を倒しましたか?」
起き上がってきた校長に、絵口先生は開口一番そう聞いた。
「はい、倒しましたよ……ですが、私も少し疲れたので休憩します。」
「わかりました。」
「それよりも家革先生?」
「は、はい……?」
「あなた、この戦闘が始まる前、藍さんと何か話していましたよね?」
「あ、そうでした‼︎」
「それは一体何を……って家革先生⁉︎どこに行かれるのですか⁉︎」
絵口先生は何かを急に思い出し、今まさに校長室から出て行こうとしていた。
「すみません校長先生‼︎これは私だけが彼女だけにしてあげられることなんです‼︎だからその機を待つために外の様子を監視しとく必要があるんです‼︎失礼します‼︎」
そうして絵口先生は校長室を出て行き、残ったのは校長だけとなった。
「…………まぁいいです。私も、残っている佐座見君と藍さんとそのペットのバトルを能力を使って監視させてもらいましょう。」
と、その時、
「絵口先生‼︎」
と外から藍さんの声が聞こえてきた。
何があったというんですか、藍さん....!
残り
西高校学校軍チーム
沙座三 楼羅
藍 恋歌
ラン
家革 絵口
軍長 西堀 智砥
計4人+1匹
傭兵隊チーム
傭兵隊メンバー 2人
ドラゴン1匹
計2人+1匹




