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ルービック・バトル  作者: レイ
第1章 学校編
18/38

17話 そして始まる最終決戦

いよいよ第1章、最終決戦へ.....

校長室へ向かう道中。


「あの?恋歌さん?校長がボスってどう言うこと?」


「えーと、ですね……私もわかりません……てっきり教頭先生がボスなのかと……」


 校長がボスで困惑する俺と恋歌。

 すると生徒会長がその会話に割って入ってきた。


 「……えーと、実はな、校長は自分が西高校学校軍の軍長だと言うことを私たち以外には明かしてないんだ。」


「ま、マジかよ……」


「1人で調査なんかせず、絵口先生に聞いておくべきでした……」


「逆になんで聞かなかったの⁉︎」


「……い、いいじゃないですか‼︎」


 と、赤面した表情で恋歌が言う。

 恋歌さ〜ん?恥ずかしがってるの丸見えですよ〜?


「あと、グンチョウ?って何なんすか?生徒会長さん?」


「あー、それはな、ルービッカーの軍のボスって意味だ。」


「逆にそんなことも先輩はわからなかったんですか⁉︎」


「れ、恋歌さん?似たような感じで返してこないで?」


「いやいやいやいや。先輩もそんな感じで返してきたんですから、おんなじ気持ちを味わってもらわないと。」


最近の恋歌は、なんか当たりが強くなってきている気がする。


 そう思いつつ、俺たちは校長室へと向かったのだった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


校長室。


そこには俺たち3人の他に、絵口先生と教頭、そして校長がいた。


「棚造さん。任務ご苦労だったね。さぁ、席につきたまえ。」


 用意されてあったのは会議などで使われそうな長机と椅子。

 その1番奥で校長が座っている。


「いえいえとんでもない。……それよりすみません。この2人を逃してしまって。」


「仕方がないよ。だって佐座見くんは戦闘系のルービッカー、そして恋歌さんは戦闘+日常系のルービッカーなのだからね。」


 ……???


 何だ?戦闘系とか日常系とかって。


 ルービッカーの能力って区分づけされてんのか?


 俺はそう思い、恋歌の方を見てみたが、恋歌もそんな区分は聞いたことがなかったようだ。

と言うか……


「早く要件を言ってくれませんかね?あと、何で俺がルービッカーだってあなた方は知ってるんですか?」


 と、気づいた時にはもう、心の声が漏れ出ていた。

 まぁ後者に関しては絵口先生は言っていたのだから裏切られたって考えるのが妥当なんだけどね……

 それだとちょっと嫌だから考えないようにした。


「何を言ってるんだきみ‼︎校長先生は君たち2人にチャンスをだな……」


「ちょっと待ってくださいよ教頭先生。あの2人は無所属なんですから、彼らの言い分も自重してあげなくてはいけませんよ?」


「…………今回だけは見逃してやる。」


 俺を注意しようとした教頭を絵口先生が宥める。


 にしても絵に描いたような性格の教頭だな〜。

 漫画でありそうな教頭第一位だよ。

 うるさい上に美人の先生には頭が上がらないなんて……

 ……そんなことはさておき俺は校長へと目線を戻す。


「んで。どうなんですか?」


「まぁちょっと座ったらどうです?」


「恋歌。座って大丈夫そうか?」


 一応嘘の能力を持っている恋歌に確認を取る。


「すみません先輩。私の嘘の能力って相手の思惑までは読み取ることはできません。けど、おそらく今回は大丈夫なんじゃないかと思います。」


「ええ。大丈夫よ佐座見くん。この部屋は基本的に安全ですよ。」


「そ、そうですか……」


 恋歌だけではなく、絵口先生からも大丈夫と言うサインをもらった。

 まぁどのみち座る羽目になるし、座ろう。

 俺は用意されていたパイプ椅子に座ってみる。

 結果は特に何もなかった。

……心配して損した〜‼︎


「敵陣に来る時、警戒するのは当たり前。どうやら私はきみの評価を改める必要はなさそうだ。」


 なんか校長が俺を褒めてきたんですが。

 ちょっとキモい。


「どう言うことですか?」


 意味がわからなかったので質問してみる。


「いや、私は自分の能力で、この学校内で起こったことだったら何でも知ってるんだよ。そこでみたあなたの評価は、肝心な時は冷静沈着になる。と言った感じだった。だから今回藍さんのついでに呼んだんだよ。」


「……そうですか。」


 なっにぃ⁉︎

 俺ってついでだったの?


 いやいや、これは"校長の精神攻撃‼︎"のはずだ‼︎


 ……そうだよね?

 て言うか校長の能力ってもしかして特殊な類なのか?

 そう思ったが、今は呼ばれた理由と突き止めるのが先だ。


 「それで、肝心の内容、それと俺がルービッカーだとわかった理由は?」


「そうだったね。実は、後者に関しては私の能力、【拠点(アジト)】が関係しているんだ。」


「は?アジト?」


「あぁ。自分が拠点にしている場所、まぁ、つまりこの校舎だね。ここで起きてることは自分がどこに行こうと監視、傍聴できる、と言う能力だよ。応用ではもっとすごいことができるが、流石に秘密にしておくよ。」


なんか聞くだけで強そうだな……

 あと、心の中とはいえ、絵口先生、疑ってごめんなさい……

 だが、嘘をついてる可能性もあるので一応恋歌にも聞いてみる。


「恋歌。嘘ついてる気配はあるか?」


「嘘はついてませんね……。あと、おそらくランクは……」


「もちろん、「紫」だよ?」


「つまり、レア中のレアってか。」


「まぁ、そう言うことになるね。」


 だがここまでの校長の発言にある疑問点を感じる。


「そういえば、何で校長先生、あんたは便宜上敵である俺たちにとってそんなに能力の詳細を伝えるんだ?」


「それはだね……、これから話す要件と深く繋がってくるからだよ。しかも、君たちくらいの実力、それに君達は無所属だろう?だったら、今、ここで返り討ちにできるからね。」


 やばいな。

 この目はガチだ。

 勝利を確信してる目をしてる。


 というか無所属に対する差別酷いなこの校長‼︎

 しかし、その目は一瞬で元に戻った。


「だがそれはフェアじゃあないからね。私だって面白い対決をしたい。」


「だから俺たちと戦うために呼び出したと?生憎俺たちは今相当疲れてて……」


「いや違うよ。私がお願いするのは、あくまで共闘だ。」


「は?共闘?」


 突然頭の中に飛び込んできた共闘と言う単語に、俺は脳をフル回転させる。


 共闘っていうとあの共闘?なんで?


 だがその間にも校長は話を続ける。


「あぁ。共闘だ。佐座見君と藍さんの力を貸して欲しい。」


「じゃあ、内容を教えてください。」


 それに食いついたのは恋歌だった。


「わかった。実はね、私たちの西高校学校軍に隣町の芽晴学校軍から果し状が届いたんだよ。」


「果し状?」


 確か芽晴学校軍っていうのは恋歌から聞いた覚えがある。

 ここと犬猿の仲……?だったっけ?


「ああ。軍同士で決戦を行う時は果し状を最低でも襲撃2週間前に前に相手側の軍へ送り、お互いに準備を整えてから決戦を始めるのがセオリーなんだよ。」


 校長は話を続ける。


「それで、君たちは知らないと思うが、今は【ルービックトーナメント】と言う、軍同士の模擬戦的なもので、そのトーナメントに上位に入った軍は国から軍資金がもらえる、と言うものが行われている。そこに私たち西高校学校軍は戦力を割きすぎた。ほら、君たちも戦っただろう?平君も今そっちに行っているのだよ。」


 どうりで、最近体育教師を見ないわけだ……


「葉論先輩と仁太もそっちに行ってるんですか?」


 恋歌が質問する。


「あぁ。そうだね。と言うか、その3人と今ここにいる我々4人を合わせたのが西高校学校軍の総員だよ。人員がとても少ないから君たちに入ってくれると助かるんだけど……その顔じゃ厳しいだろうね。」


 校長は俺と恋歌が嫌な顔をしたので諦めたようだった。


「話を戻そうか。私たちの軍はトーナメントに人員を割き、さらに残った私以外の3人は屋内ならまだしも、どうせ戦場はグラウンドだ。屋外ではまともに戦えない。かく言う私もグラウンドまで能力行使ができるかと聞かれたら首を横に振るしかない。だから、君たちに力を借りたいのだよ。決戦日は今週の日曜日だ。」


「……確かに理由はわかった。けどですね、俺らにメリットがない。そこのところはどうするんですか?」


 すると校長は少し間を置いたあと、とんでもないことを言い始めた。


「きみならそれを聞いてくると思ったよ。沙座三君。まぁ、それに関しては考えてある。これは私たちの軍の危機だからね。私もそれなりの対価を用意する。――私たち西高校学校軍は、この戦いののち、君たちを永遠と攻撃しない、と言うのはどうだろう。すなわち、恒久的停戦というやつだよ。」


それを聞いた俺は少し考える。

 確かにこれはとてつもなくいい案だ。だが、恋歌の意見が気になる。

 俺は恋歌の方を向いた。


「恋歌。判断はお前に任せる。」


「……了解です。では、校長先生。少しだけ話を聞かせてもらってもいいですか?」


「何かな?私はこれ以上話すことは何も……」


「理科準備室のスプリンクラー、故障させたのあなたですよね?」


 は⁉︎恋歌さん、何言って……


「さらに、平先生が掃除用ロッカーから消えたのも、あなたの仕業ですね?」


 すると校長は少し考えたのち、こう言い放った。



「……バレてしまっていたのか。あぁ。そうだよ?」



 辺りは静寂に包まれた。


 

まじかよ。この校長、自分がやったことわかってるのか⁉︎

んでもって一度は殺そうとした人物を次は利用しようと――――⁉︎


「まぁスプリンクラーを故障させたのはあくまで沙座三くんが本当に頼んでもいい人物か、試すためでもあったのだがね。」


「ちょっと待ってください校長先生。だったら私が近づいたのも……」


「あぁ。もちろん、試練のためだよ?棚造さん。まさか、あんな大事になるとは思わなかったがね。」


「…………」


 生徒会長は絶句していた。

 自分が殺していたかもしれない恐怖がまた心を蝕んでいるのだろう。

 そして、この校長がいかれていることは、さっきの会話で確定した。

 だったら交渉は決裂だ。

 決戦ということは死ぬ可能性もあるのだろう。

 こんなやつに俺や恋歌の命を賭けるなんて、どうかしてる。

 残念だが校長。そんなやつなんだったらこの交渉はハナから願い下げ……


「まぁ今はそんなことどうだっていいんですが。」


は?


「ちょっ、恋歌さん?何言って……」


「先輩は黙っててください。」


「…………」


「ほう?藍さん。肝が据わっているじゃないか。」


「私だって先輩が殺されかける原因となったのには腹が立ちます。けど、私だってこれまで何人ものルービッカーを見てきました。だから、それが理由で交渉を破棄するような愚図な真似はしません。」


 ……流石恋歌だな。

 ルービッカーのことになるといつも以上に達観的になる。

 ここは恋歌に任せよう。


「ほう?それで答えは?」


「やってあげましょう……と言いたいとこですが、まだ疑問点があります。」


「?」


「この二つのことに使ったであろうあなたの能力の応用を教えてください。」


「そこは教えたくないのだがね。どうしても、かい?」


 おそらく校長は、さっきと同じで、自分はここで戦闘したら勝てるという含みも入れていたのだろう。

 だがそれは恋歌にも通じていたらしい。


「はい。まぁもしも攻撃してこようものなら、私も反撃し、刺し違える覚悟はできていますよ?」


 ランク紫同士の対決か。


 見てみたいけど多分1番の被害者は俺になりそうだから何も言わないでおこう……


 あたりに少しの間静寂が訪れる。


 そして10秒くらい経ったのち、校長が先に口を開いた。


「……ふん。きみの能力は厄介だね。いいだろう。少しだけ、私の能力の応用を教えよう。実はね、私は応用を使うと、【この建物にある無機物を自由自在に変形、操作させることができる】のだよ。……どうだい?納得はできたかい?」


 確かに、その応用なら、合点がいくな……

 そのことは恋歌も腑に落ちたようだった。


「えぇ。納得しました。ではこちらも共闘を約束しましょう。あ、それと、うちのペットもつれてきていいですか?」


「あぁ。了承しよう。助かるよ。」


 こうして、長い長い交渉が終わった。

 ……なんか最初から恋歌に任せてもよかった気がする……


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 同時刻。芽晴町の一角。


「なぁなぁ〜、日曜にゃー戦闘だぜ〜?どうする〜?」


「こんなもんは、何も考えずに行くのが最適なのであります‼︎」


「おい泥谷(ひじや)。脳筋はよせっていつも言ってるだろ?そうだよな?リーダー?」


「あぁ。作戦は常に冷静に、だ。それにしても我々【傭兵隊】もかの芽晴学校軍に依頼されるとはな。」


「あぁ。芽晴学校軍は最近おかしな戦力を手に入れたと聞く。早いとこ媚びでも売っとかないと、うちの軍長の場所まで割られちまうからな。」


「あぁ。そんで持ってそんなとこに依頼されたからには、西高校学校軍を落とし、配下にさせるぞ。」


 決戦は日曜日。

 戦いの火蓋は、切って落とされようとしている。


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