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【06】朝の強行

 次の日の朝、カリスタは一人昨日のガゼボにいた。カッターニが来るまでの間を、本を読んで時間を潰していた。


 ガサ、と、草を踏む強い音が聞こえてくる。カッターニが来たのかと、カリスタは顔を上げた。


 しかしそこにいたのは、昨日も見た男子学生の姿ではなかった。ではもう一人、ヘレン関連でこちらに何か言いたい事がありそうであった学生――アイヒト・パパラチアサファイア子爵令息であったのかというと、こちらも違う。


 そこにいたのは男子学生ではなく、一人の女学生であった。


 青い髪を後頭部で一つに括っている学生は、俯いた状態でゆっくりとこちらに近づいてきていた。反射的にカリスタが立ち上がったのは、その女学生の手に、棒が握られていたからだ。


「……が…………から……」


 ぶつぶつと、何かを女学生は呟いている。

 それは小さい声で、なおかつこちらに聞かせようとする意志のある声でもなかった。故に、カリスタには何を言っているか、さっぱりと分からなかった。


「お前が……いた、から……!」


 ダッ、と女学生が勢いよく飛び出してくる。彼女は、手に持っていた棒を振りかぶっていた。


「お前の、せいでぇぇ゛え゛ぇえ!」


 濁った声で叫びながら、女学生は滅茶苦茶に棒を振り回した。それなりの広さのあるガゼボの中にいた事は幸いした。

 カリスタは逃げる。

 それを追いながら、女学生は机をたたき、椅子を蹴とばし、振りかぶった調子にガゼボの柱をたたきながら、その青い瞳はただ一心に、カリスタを見つめていた。


「お前が、お前さえいなければッ!! ヘレンは、ヘレンはぁッ!!!!」


 ガゼボを飛び出したカリスタを、女学生が追いかけてくる。一目散に学院に向かっていくカリスタの視界に、学院の方から飛び出してくる数人の人影が見えた。


「逃げ、るな゛ぁ!!!!」


 女学生の振るった棒が、カリスタの長い髪に当たる。あと少し走るのが遅ければ、その棒はカリスタの背中を強打していただろう。それほどに危険な状況であった。


(あと、少し――きゃっ!)


 中庭の芝生は綺麗に手入れされていた。ただ、昨夜から今朝がたにかけて降っていた雨は、芝生を滑りやすくしていた。

 勢いよく、カリスタは地面の上に倒れた。痛む体よりも、カリスタは後ろを振り返る。


 当然の如く追いついていた女学生が、握っていた棒を大きく振りかぶっていた。


「消えろおぉおお!」

「カリスタから――離れ――なさいッ!」


 女学生の怒りの声を切り裂くように、カチヤの鋭い声が飛んだ。次の瞬間、びゅん、という風を切る音と共に飛んできた何かが、女学生の鼻に直撃した。

 女学生はカリスタばかりを見ていて、それ以外の周囲に気を全く払っていなかったようであった。


 落ちたそれを目で追い、カリスタは飛んできたのが扇だと気が付いた。


「取り押さえろ!」


 そんな声がカリスタの耳に入るとともに、学院内の様々な所に配置されている警備員の制服に身を包んだ女性たちが、勢いよく女学生を拘束した。


「カリスタっ!」

「カチヤ……」

「貴女っ、本当に、なんて危険な事を……!」


 カリスタに駆け寄り、親友を助け起こしてから、カチヤはその身を抱きしめた。


「制服が汚れるわ、カチヤ……」

「些事を気にしていられるものですかッ」


 そんな会話をしていた二人の耳に、くしゃり、と芝生を踏みしめる音がする。

 視線を向けると、そこには心底驚いたように目を見開いて困惑した様子の、カッターニがいた。


「え……え? 一体、何が……」


 カッターニはカリスタたちを見て、それから警備員たちを見て……そして、警備員に抑え込まれている、青髪の女学生を見て、「あ」と声を上げた。


「ブルースピネル……? な、なんで?」


 未だ暴れている女学生は、まるで獣のようにカリスタを睨んでいた。人を睨み殺せそうな様子の彼女だが、警備員たちに取り押さえられており、逃げる事は出来なくなっている。当然だろう、警備員たちの帽子の下から見える髪色は、多少の差異はあれど、全て赤色。――彼女たちは全員、戦いに特化している、ルビーの一族出身者たちである。

 特に戦いの為に体を鍛えている訳でもない(いち)女学生に、その拘束を振り払う事は出来ない。


 カリスタはカチヤを安心させるようにその腕と背中を撫でてから、立ち上がった。制服は濡れた芝生に汚れて、少々みっともない。だが、みっともないのは地面に抑え込まれている女学生も同じだ。


 女学生のすぐそばに、カリスタは立った。


「……ツェーズィー・ブルースピネル子爵令嬢」


 名前を呼んでも、女学生が狼狽えたりする事はなかった。


「私の倉庫の棚の鍵を壊し、中の私物などを破壊したり荒らし、階段から突き落とそうと背中を押してきたのは……貴女かしら?」


 あまりにストレートな質問に、ツェーズィーは答えなかった。けれど、ギリギリと歯ぎしりをしてくる姿は、無関係の事を問われた人間という様子ではない。


 もし全く身に覚えのない話題を急に出されたのであれば、後方で「え、は? 壊し、突き落とし!?」と狼狽えているカッターニのような態度になるだろう。


「ブルースピネル、どういう事だ! お前、お前まさか、ブラックムーンストーン嬢に、そんな事……?」


 ツェーズィーの、憎悪に濡れた瞳がカッターニにも向く。カッターニはそれ以上続ける言葉をなくし、びくりと肩を揺らして数歩後退した。


「立ちなさいっ!」


 警備員が、彼女を立たせた。


「離せッ離せ!」


 ツェーズィーはそう叫びながら、カリスタに噛みつこうとばかりに身を乗り出してくる。


「お前さえ、お前さえお前さえお前さえ!」


 喚くツェーズィーを、警備員たちは簡単に連れ去っていく。ほかにも来ていた警備員たちは、カリスタやカチヤ、そして状況がなにも分からない様子のカッターニの傍に近づいた。


「恐れ入りますが、別室までご同行いただき、事情をお伺いいたします」

「もちろんですわ」


 そうして三人は、それぞれ別室へと移動させられて自分の知っている事を学院に話す事となったのだった。





 ◆



 学院からの事情の聴取が終わった後、三人は談話室(サロン)に集まった。すでに朝いちばんの授業は始まってしまっている。

 カッターニは途中から授業に参加する事も出来たけれど、あえてそうしなかったらしい。


「申し訳ございません……! ブルースピネルに、今日あそこで貴女と話す事を教えたのは、俺です……!」


 談話室(サロン)に入るや否や、彼はカリスタに頭を下げた。


「昨日……ヘレン嬢と親しくしていた友人と話す機会があり……その時に、ブルースピネルに話してしまったのです。今朝、ブラックムーンストーン嬢とあのガゼボで話をする予定がある事も、その時にヘレンの現状をお聞きするという事も……。まさか、貴女を襲う事を考えるような者がいると思わず……。大変、申し訳ありません……!」


 握った拳を震わせながら頭を下げるカッターニ。


 彼の告白を受けたカリスタは極めて落ち着いた声で、


「そうでございましたか。()()()()()()()、ホワイトオパール様」


 と答えた。


 それは、予想外の言葉だったのだろう。

 困惑した表情で、カッターニが顔を上げた。


 カリスタもカチヤも、既に汚れてしまった制服を綺麗なものに着替えている。二人の上級生の様子は極めて落ち着いていた。カリスタなど、つい少し前に第三者に襲われかけた人とは思えないほどに、凛とした様子にすら見えた。


「良ければお座りくださいませ。少し、話が長くなるかもしれませんから」


 カリスタに促されて、恐る恐るという様子で、カッターニは椅子に座った。


 カッターニが席に着いたのを確認したのち、カリスタは口を開いた。


「まず、ホワイトオパール様の謝罪はお受け取りいたします。そのうえで、私も貴方に謝らなくてはなりません。私があそこで襲われた事も、それを取り押さえる為にすぐに学院の警備員の方々が集まった事も、私が望んだ結果なのです。ですので、誘発してくださったホワイトオパール様に感謝する事はあれど、責める事などいたしません」

「ど、う、いう……事なのでしょうか……?」


 カリスタは手短に、自分が誰かに安全を脅かされていた事を語った。カッターニが棚を荒らされた件や階段から突き落とされかけた件を知らない事があるかもしれないと考えたからだ。


 そして、自分がそのような目に合う原因を考えた時に、一番に考えられたのが、ヘレンに関係するものだったという事も。


「正直に申し上げまして、私はホワイトオパール様の事も疑っておりました。ヘレンがおりました当時、貴方は随分とヘレンに執心しているご様子でしたので」


 カッターニは、自分が疑われていた事を聞いても何も反発しなかった。それは当然だ、といわんばかりの顔だった。


「ただ、ホワイトオパール様と……もう一人、怪しいとみていた方がいたのですが、そのどちらにもアリバイがございました。その為、学院側も私ども、それ以上犯人を特定する事が出来ないでいたのです」

「そこから……その、ブルースピネルだと、どうやって特定したのですか?」

「ホワイトオパール様とお話をしていた時、遠目に姿が見えたのです」

「えっ?」


 昨日、カッターニと話をしている時。カッターニの遥か後方に、見覚えのある姿があるのに、カリスタは気が付いたのだ。

 ヘレンの周囲によく侍るようにしていた学生の顔と名前は全て記憶している。その輪には、男性だけでなく女性もいた。ヘレンのあの性格が男性だけでなく女性にも受けた理由はカリスタにはよく分からないのだが、現実として、ヘレンは男性だけにちやほやされていたのではなく、女学生にも囲まれていたのである。


 たまたまあの中庭近くを通っただけとは言いがたい様子で、その人物――ツェーズィー・ブルースピネル子爵令嬢は、カリスタたちがいるガゼボの方角を見つめていた。


「彼女の姿を遠目で見たその時、私は思いました。それまでヘレンを学院で追放された事を強く恨んでくるのは、男子学生と考えていましたが――()()でも、強く恨む可能性はあると」


 カリスタに置き換えて例えると、親友であるカチヤが(少なくともカリスタにとっては)悪くないのに学院をやめ、遠くに飛ばされるような状況……だろうか。


 強い感情は何も恋だけではない。


 カチヤに危機が迫ったとなれば、カリスタもきっと冷静ではいられない。

 カリスタに何かあった時、カチヤが強く怒って心配してくれるように、カリスタも彼女の事を心配し、犯人に強い怒りを抱くだろう。


「一番目の事件の時に私が学院に当時の状況確認を頼んだのはホワイトオパール様ともう一人の方のみ。そう、最初から可能性を絞った故に、犯人が捕まえられなかったのではないか? そう考え、昨日、ホワイトオパール様と別れた後、学院に再度調査をお願いにまいりました。……私が記憶している限りの、ヘレンと親しかった学生全ての調査をです」


 すでにしっかりと調査をされたカッターニたち以外にも、ヘレンと親しかった学生はいる。


 恋愛的な感情ありきと考えていた為に、男に絞り、更にヘレンに対して本気だったと思われる学生のみの調査ですませてしまったのは、カリスタたちの失態であった。

 最初から、もっと広く可能性を考えて調べるべきだったのだ。


 無論、学院が全員のアリバイを確認するのには時間がかかるだろう。


 その間に第三の事件が起こる可能性もあると、カリスタは思った。


(一度目の事件では、犯人は私の一日の動きなどを綿密に調べて行動したと思われる。学院の調査で見つからなかったのが、その証拠とも言えるわ。……一方、二度目の事件では周囲には気を配っていたと思うけれど、それにしては目撃者が多数出かねない状況だった。自分が見つからない事よりも、私を害する事が優先したようにすら思えた。…………もし、階段での出来事が犯人が切羽詰まってあの事件を起こしたのだとすれば、近日中に()がある可能性もある。そして、朝方の、人気のない学院。その中でも、朝一から人が来る事はあまりない区画のガゼボに私がいるとなれば……犯人がその情報を得さえすれば、必ず行動するわ)


 カッターニが犯人に都合よく漏らす事になると考えていた訳ではなかったが、学院というのは一体どこから拾ってきたのか? という話を知っている学生が何人もいるような場所だ。


 犯人自身にそれほどの情報収集能力があるか、話を集めている人間と交渉出来ていれば、カリスタがあのガゼボに来る事を突き止める可能性はあると思われた。


 本来であればもっと大々的に護衛をつけて行動するべきという状況であったが――実際、カチヤたちなどは、そうするべきだと主張した――カリスタは逆に、犯人が次に動く時を利用したいと考えたのだ。


「犯人はすでに第一の事件も第二の事件も、証拠は消しているでしょう。過去の出来事を問い詰めるよりも……実行している場を取り押さえる方が、確実に相手を抑える事が出来ます。ですので、万が一私が襲われた場合に、犯人を取り押さえられるように、数人の警備員をあのガゼボ近辺に配置するように、学院にお願いしていたのです」

「ご、ご自分を囮にされたのですか……!?」


 カッターニは目を白黒させながら、カリスタを見た。


「早期に解決する。それが私の一番の願いでしたので。それに、犯人が来る確証があった訳ではありません。確実に危険な目に合うと決まっていた訳ではありませんから」

「……貴女が、そんな、賭けのような事をなさる方とは、思っておりませんでした……。もっと、常識にのっとって、安全策を、取る方だと…………」


 カッターニは呆然としながらそう言った。


 彼の驚きも当然だろう。自分でも、このような考えを持つようになった事に驚いたくらいだ。


 この作戦を告げた時、学院側も、カチヤも、強く反対をしてきた。相手が令息か、令嬢かもはっきりしていない状態だ。自ら身を危険にさらすような事をすべきではない、と。


(別に、私は危険な事をしたい訳ではないのだけれど)


 ただ、今のまま、犯人が特定できない不安な状態のままで日々を過ごす事になるよりも、犯人をしっかりと特定出来る機会があるのならば、それを活用するべきだと考えたのである。


 また、このまま長引かせる事によって、犯人の行動がどんどんとエスカレートしてしまう方が恐ろしいと思ったのだ。


(それに……もし本当に今回の犯人がヘレンにまつわる事であったのならば――そこに、我が家の罪が一切ないとは言い切れないわ)


 ――器物の破損。

 ――しっかりとした証拠はないが突き落とし。


 ここまででも、貴族令嬢が受ける被害としては結構な大事である。

 もっと過激な方法を相手がとってきたならば、被害者であるカリスタの心情がどうであれ、話し合いと多少の賠償では対処しきれない段階に達してしまう。


「本日、犯人が私の下を訪れなかったとしたら、別の方法を考えなくてはなりませんでした。……ですので早い段階で犯人が捕まり、良かったですわ」



 ◆



 事件のその後については、カッターニにも暫くの口留めをお願いした。

 今の時点でハッキリとした結論が出された事は、一つもなかったからだ。カッターニもそのあたりはよく分かっていると答えて、元の予定であるヘレンの現状――彼にとってはこちらが本題であった筈だ――をカリスタは伝えた。

 といっても、昨夜父から聞いた話題の中で、ヘレンの今の状況で目立つ事はない。


 ――愚痴や文句を吐きながら、厳しい女性教師たちにしつけ直されているという話ばかりである。


 その話を聞いた後、カッターニは去っていった。残ったのは、カチヤとカリスタだけだ。


「カチヤ……怒っているの?」

「当たり前じゃない」


 カリスタの言葉に、カチヤは即答した。


 今日の作戦を事前に知っていたのは学院側と、カチヤだけだ。

 両親にも……婚約者であるフェリクスにも、伝えていない。


「ねえカリスタ。犯人は捕まったのだから、教えてちょうだい。どうしてご両親やフェリクスに話す事なく、あんな危ない真似をしたの? 貴女は後少しで、あの令嬢が持っていた棒に叩かれる事になっていたわ」


 真っすぐな緑の瞳。親友の、透き通るような瞳が、カリスタは好きだ。彼女の家名にふさわしい、エメラルドグリーン。

 カリスタをジッと見つめてくる姿に、彼女の兄であるフェリクスの姿が僅かに重なった。よく似た兄妹という訳ではないのだが、時折、しぐさが似ているのは――やはり、兄妹だからだろう。


 カリスタには血の繋がった兄弟はいない。いたのは、最後まで分かり合う事は出来なかった血の繋がらない義理の妹だった人だけ。


「おじ様方も、フェリクスも、後から今回の出来事については聞き及ぶに決まっているわ。その時、凄く驚いて、憤るはずよ。それから、悲しむでしょうね。カリスタから相談をしてもらえなかった、と。カリスタもそのあたりは分からない訳ではないでしょう? ……昨夜は誰にも何も言わないで黙っていてあげたのだから、理由があるのなら、教えて欲しいのだけれど?」

「……お父様たちや、フェリクス様にはお伝えしないと、約束してくれる?」


 カリスタはカチヤを少し上目遣いに見ながら聞いた。


 両親にも、フェリクスにも話さずに、今日を迎えた理由。

 カチヤの言う通りに、その()()はある。

 けれどそれはとてもちっぽけな理由で……出来れば、両親やフェリクスには知られたくないという気持ちがあった。


 カチヤは数秒親友を見つめながら考える素振りを見せてから、頷いた。


「……ええ、約束するわ」

「ありがとう」


 はあ、と息をつく。


「……自分で、どうにかしたかったの。お父様やお母様に守ってもらうでも、フェリクス様に守ってもらうでもなく……自分で解決したかったの」


 フェリクスと婚約してからというものの、彼の肩書である『エメラルド伯爵家の長子』の婚約者という肩書に頼る事は少なくなかった。望まずとも、フェリクスの存在故に助けられた事も多い。


「ヘレンとの問題を解決した時に……私はフェリクス様に多くを助けていただいたわ。…………家の問題については、お父様やお母様が解決した。私は、傍にいたばかり。フェリクス様たちはそれだけではないと仰るかもしれないけれど、私は次期子爵として、まだ何も成せていないと思って……いいえ、なんだか、言い訳ばかりね。ごめんなさい。……」

「……」

「これは――私個人の誇り(プライド)の問題だったの。それ以上でも、それ以下でもないわ」


 さぞ愚かだと、カチヤから言葉が飛んでくるのだろうと身構えていたカリスタだったが、実際は違った。カリスタの言葉を言葉を聞いたカチヤはニコリとほほ笑んだ。


「そう。それならば、わたくしがこれ以上口を出す事はないわ」

「え……?」

「何を誇りとするかは、人それぞれでしょう。譲れないものが一つもない人間など、つまらないわ。そうでしょう?」


 カリスタはぱちぱちと、目を瞬いた。それから、一度目を閉じて、長いまつげを揺らし、それから親友に笑みを浮かべた。

後悔ポイント① この回で登場しているキャラの頭文字が「カ」なせいで目が滑る。

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欲しがりな義妹に堪忍袋の緒が切れました ~婚約者を奪ったうえに、我が家を乗っ取るなんて許しません~:3



 上の作品の前日段として、1巻・2巻もよろしくお願いします! ↓以下のリンクをクリックされると、双葉社様のページに飛ぶことが出来ます。(外部サイトに飛びます)
欲しがりな義妹に堪忍袋の緒が切れました ~婚約者を奪ったうえに、我が家を乗っ取るなんて許しません~(書籍版)
欲しがりな義妹に堪忍袋の緒が切れました ~婚約者を奪ったうえに、我が家を乗っ取るなんて許しません~2
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