えんぴつは武器
僕は公立学校に通う男の子。
クラスメイトの大半を占める移民の子の親と同じく僕の父さんも移民1世、だから僕も移民の子。
だけど移民の大半を占める貧乏人と違い、僕の父さんは仕事に成功して大金持ち。
大金持ちなんだから僕を此の国本来の民族、ナラ民族が多数通う私立学校に通わせてくれれば良かったのに、ポリシーだとか言って公立学校に入学させられたんだ。
だから今僕は、と言うより学校の生徒全員が危機的状況に陥っている。
反移民を唱えるテロリスト集団が学校に乱入して学校を占領、ナラ民族以外の移民の子全員が講堂に集められているからだ。
父さん恨むぞー。
因みに少数だけど在籍していたナラ民族の生徒は全員開放され、教職員はナラ民族の先生を含めて見せしめとして全員射殺された。
僕たちは講堂に立たされ、喋る事も座る事も禁じられている。
咳をしただけで「ウルサイ!」って怒鳴られ殺された奴もいた。
僕たちを人質にして講堂に立てこもっているテロリストのリーダーが怒鳴る。
「臭えー! 臭えぞクソ共! 息するな!
と言っても無理だろうから、臭いのを少しでも緩和しよう。
お前ら殺し合え! 数が少なくなれば臭いも緩和されるだろう。
生き残れたら助けてやるよ。
ただし! 逃げ回って生き残った奴は駄目だ。
殺し合いに参加した奴だけを助けてやる。
なるだけ沢山のクソを殺せ、俺がそこまでって言ったとき生き残っているクソが多すぎたら、殺した数が多い奴から助けてやるからな。
分かったかー?!
それじゃ、バトルロワイアルを始めろー!
殺せ! 殺せ!」
僕はえんぴつを武器にしてクラスメイトに突き立てる。
クラスメイトを殺す事に躊躇いなんて無い。
大雑把に移民として一纏めにされてるだけで、宗教もイデオロギーも違うし貧富の差もある、戦争したり紛争したりしている不倶戴天の敵民族もいるのに仲良くなんて出来る訳ないじゃ無いか。
だから怖がって床に丸くなって泣き叫ぶ奴等が大半だけど、僕みたくえんぴつを武器にして殺し合いを行う奴も多数いる。
でも僕の持つ新品のえんぴつと違って、貧乏人の奴等が持つえんぴつはちびた短い物。
身体に深々と刺せる僕のえんぴつと違い、せいぜい怪我させるのが関の山。
僕は何時も新品のえんぴつを持たせてくれる父さんに感謝した。