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こんな話を知っていますか?〜キャンプ場で〜

作者: ぴーよん
掲載日:2022/10/31

はじめまして、こんにちは。楽しんでいってください。

これは、とあるキャンプ場での話。


私(X)は、いつも通りのメンバーでキャンプに来ていた。親友のAとB、それから私の三人で。

山の中にある小さなキャンプ場だったんだが、そこそこ人気で、予約をとるのには苦労した覚えがある。

私達三人は、キャンプ同好会とでも言おうか、よく一緒にキャンプに行く仲だった。北は北海道、南は沖縄、そのあたりまで行っていたように思う。色々なキャンプ場に行っていたから、噂が伝わってきたそのキャンプ場に行くのも当然だったろう。

そのキャンプ場が人気だった理由が気になってしまったのもある。好奇心というやつ、だろうか。

その理由は、行ってみればすぐに分かった。大きく綺麗な湖があるのだ。テントをたてるエリアや、コテージの建つエリアに囲まれた湖。これが、人気の理由らしかった。

澄んでおり、湖底まで見える。多くの魚が泳いでおり、釣り体験なども行われていた。

「子供連れが多いな。」

Aが少し辟易とした声音で言った。子供嫌いなAには少し辛かったらしい。眉間に皺が寄っている。

「まあまあ、気にすんな。どうせ関わりやしないさ。」

Bが励ますように言った。

「Xもそう思うだろ?」

「楽しんだ方がいいと思うけど。」

私がそう言うと、Aは諦めたかのようにため息を吐いた。否定する気はないようで、無理にでも楽しもうとしたのだろう、話題を切り替えてきた。

「このキャンプ場、怪談とかあるのか?」

「さあ、調べた限りはなかったと思うが……。」

とBが応じる。彼は怪談話のたぐいが大の好物らしく、キャンプに行く際は例外なく調べ尽くして来る。

そんな彼が言うのだ、本当に妖怪変化のたぐいはここにはいないのだろう。

「それより、はやくテント建てよーよ。」

そう私が言うと、二人とも弾かれたかのように作業を開始した。


テントを建て、食事も済ませ、夜十時になった。

山の中だから、だろうか。とても暗く、涼しい。

私達三人は、どうしても眠くならなかったので、折角の機会だからと周辺に散歩に出かけた。どうしても、Bは怪談話がなかったことが悔しかったらしく、幽霊を発見してやろうと息巻いていた。Aと私は、巻き込まれたとも言える。まあ、過去にも似たことがあったので平気なのだが。

この時、私達は考えもしなかった。


あんな傑作な幽霊が、このキャンプ場にはいたなんて。


はじめに気づいたのは、Aだったと記憶している。

唐突にAが、

「……ん?声が、しなかったか……?」

と言ったのだ。

談笑していて目的を忘れかけていた私達は、その言葉で本来の目的を思い出し、そして、……すこし、静かになった。その時既に夜の十一時頃になっていたのもあり、それが他の客の声だとは思えなかったのだ。

だから、次の声は微かではあったがBと私にも聴こえた。

「……ォ、クレェ…………。……ォ、クレェ……。」

……その声に、私達は顔を見合わせ、頷き、同時に呟くように言った。

「「「よし、見に行こう。」」」


湖が見えてきた。夜の湖は月の光を反射し、幻想的な雰囲気を醸し出していた。

……そして、そばにあるベンチには、黒い影が。

「なんなんだ、あれは……。」

Aが、困惑気味に言う。勿論、私も同じ気持ちだったし、Bもそうだったろう。何故なら……。

「サケヲ、クレェ……。サケヲ、クレェ……。」

……ベンチには女が座っており、「酒をくれ」と繰り返していたからだ。え、客なのではないかって?

……ソイツの下半身は、すけてたんだよ。まあ、それはどうでもいいんだ。

その女(幽霊、か?)が、「酒をくれ」と言っていたのが問題なんだよ。死ね、でもなく。呪ってやる、でもなく。酒をくれ、と言っていたのが。

しかも、女の様子も可笑しかった。なぜだか今でも分からないし、普通は確実に怖がるところだが、やっぱり可笑しかったんだ。

私達が困惑気味に立ち尽くしていると、女は、こちらに気づいたようだった。顔を上げ、こちらを見てきた、の、だが……。

表情が、何かを期待するような表情だった。そして、少し嬉しそうな声で、

「サケ、クレル?サケ、クレル?」

と訊いてきた。

私達は、素早く後ろを向いて逃げ去った。女は、悲しそうな声で、

「マタ、キテネ。」

と言った。


今思うと、女はキャンプ場の福の神か何かだったのだろう。あのキャンプ場は今でも有名だ。だいぶ時が過ぎた今でも。たまに、あの女にまた会ってみたいと思うことがある。無邪気な子供のようだった、彼女に。




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