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初めてのお泊り


「はーい。忘れ物ないねー」


 空は赤と紺のグラデーションがかかったきれいな空色へ変わり、一番星が見え始めた。


「じゃ、みんな車に乗ってー」

「ゆ、唯人……」


 少しだけ顔いろの悪い圭介。


「どうした?」

「少しだけ気持ち悪い。前に乗ってもいいか?」

「気持ちが悪い?」

「食べすぎかもしれないし、スライダーのしすぎかもしれない」


 あんだけ食べて、ずっとスライダーしかしていなかったしな。


「別にいいよ」


 圭介が助手席に乗り、残りのメンバーはみんな後部座席。


「シートベルトしたねー」

「「はーい」」

「では、帰ります!」


 ずっと昼寝していた父さんは元気だ。でも、首の後ろとか真っ黒になっている。痛くないのかな?

 車が出発し、しばらくすると圭介は寝た。さっきから俺も頭がボーっとしている。あ、羊が空飛んでる。


「んっ……」


 右の肩が突然重くなった。視線を向けると麗華が寝息をたてている。

 さらに膝が重くなった。ま、まさか──


「ゆいと、ぷーるたのしい……」


 ソフィーは俺の膝に頭を乗せ、夢の世界に旅立っている。俺たちのパーティはー全滅だ……。


「なんだ、みんな寝たのか」

「寝た」

「唯人も寝ていっていいぞー」

「そうする……」


 帰りの車に住む魔王、睡魔には誰も勝てなかった。

 涼しい車内、流れてくる音楽が俺を夢の世界に旅立たせる。

 みんな、今日は楽しかったよな……。


 ※ ※ ※


 父さんは圭介と麗華をそれぞれの家まで送り、俺たちも無事に帰ってきた。

 起こされるまで気が付かなかったが、ソフィーはまだ寝ている。


「おい、起きろ。着いたぞ」

「んー」


 頭を何度かなで肩もゆするが、起きる気配はない。


「父さん、ソフィー起きないんだけど」

「しょうがないな。よっぽど疲れたんだな」


 父さんはソフィーを抱っこして俺のベッドに寝かせた。


「起きるまでそっとしておいてあげな」

「そうする」


 俺の部屋で寝息を立てる異国の女の子。寝顔がやっぱりかわいいと思ってしまった。

 ソフィーを部屋に残し、台所に行く。


「ソフィーのお父さんは?」

「今日も遅くなるって。一緒にご飯食べて、今日はうちで預かるよ」


 今日も帰りが遅いのか。仕事、大変なんだな……。


「んー、ゆいと……」


 起きてきたソフィー。髪がぼさぼさだ。


「あら、起きたの? 先にお風呂入っておいで」


 母さんに言われ、ソフィーはお風呂場に向かった。

 そしてソフィーが上がったら俺も風呂に。そして、夕飯を食べる。


 この日、初めてソフィーはうちに泊まった。

 父さんと母さんが寝た後も、こっそり起きて遅くまで色々話した。

 全部伝わっているわけではない、でもたくさん話したい。もっと、ソフィーの事を知りたい。


「ゆいと、がっこうたのしい?」

「それなりに楽しいよ。ソフィーは?」

「わたし、がっこう、きらい。いきたくない」


 学校が嫌いなのか? 勉強が嫌いとかかな?


「いえ、いどう、おおい。ともだち、いない」

「家、移動? 引っ越しか? 友達いないのか?」

「いっしょに、かいものたのしい。あそぶのたのしい。ぷーるたのしい」


 ソフィーはなぜか悲しそうな声で話す。楽しいはずなのに、悲しそうな表情。

 でも、いつか帰るんだろ? だったら、それまでは楽しいこと沢山しようぜ!


「ゲーム、するか?」

「げーむする」


 音を出したら親にばれる。

 音をたてないように、ボードゲームを準備し、ベッドの上で対戦。


「うぐっ、また負けた」

「ゆいと、よわい。つまらない」

「もう一回」


 そんな夏休みの夜、俺は寝落ちするまでずっと遊んでいた。


──ジリリリリ


 目が覚める。体が重い。昨日のプールのせいか……。

 ゆっくりと目を開けると、銀色の髪が視界に入ってきた。

 ソフィーは上半身を俺の胸に乗せ、まだ夢の世界に旅立っているようだ。


「うわぁぁぁぁ!」


 思わず声を出す。


「ゆい、と? おきた」

「な、なんでソフィーが──」


 思い出した。昨日遅くまでゲームしていたんだ。


「お、お、おはよぅ……」


 キョトンとしているソフィーの顔をまっすぐ見れない。多分俺の顔は赤くなっている。

 寝起きの女の子の顔、こんな間近で見ることになるなんて……。


「ゆいとー、ソフィアちゃーん! 起きたら顔洗って、ごはんにしてー」

「はーい!」


 俺はベッドから起き上がり、ソフィーに手を差し伸べる。

 ソフィーは少し寝ぼけながらが俺の手を取り、起き上がった。


「ありがと」

「ご飯にしようぜ」

「んっ。にほんのごはん、おいしい。スクランブルエーーーッグすき」


 いや、それはどの国でも同じなんじゃないか?

 今日もソフィーとの一日が始まった。


【楽屋裏】

「お、こんなところに後書きコーナーがあるぜ」

「あとがき? ゆいと、あとがきおいしい?」

「いやいや、えっと、俺とかソフィーの言葉をみんなに伝えることができるコーナーだよ」

「ことば、みんなにつたえたい」

「おっけー。だったらここでドーンって言ってみろよ」

『ここまで読んでくれた皆さん、ありがとうございます。唯人とも仲良くなって、これからもっとたくさん遊びたいです』

「ソフィーがなんて言ったかわかりませんが、これからもよろしくお願いします!」

『読者の皆様、もしよかったら下にある☆を★にしていただけると、私も唯人もすごく喜びます。ぜひ、お願いしますね♪』

「ソフィー、随分笑顔で話すんだな。何話してるんだ? あ、そうそうブックマークすると便利だって麗華が言っていました。この機会にぜひ、ブックマークをお願いします」

「ゆいと」

「おっけー。せーの──」

「「これからも、よろしくお願いします!」」




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