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寝顔は天使


──ゴソゴソッ


 頭がボーっとする中、次第に覚醒していく悩。いつもより、胸のあたりが重く感じ息苦しい。

 アラームが鳴る前に目が覚めてしまった。

 薄っすらと目瞼を上げ天井を見上げると、いつもと同じ天井が視界に入ってくる。


 が、一つだけいつもと違う。胸の上に銀色の髪が流れ落ち、石鹸のいい匂いがしている。

 

「おい、起きろ」

「ん、んっ……」


 俺は銀色の髪をかき上げ、彼女の寝顔を覗く。

 白い肌に、銀色の髪、そして──


「お、はよ……。まだ、眠い」


 薄っすらと開いた彼女の瞳は、吸い込まれるようなブルー。


「眠いじゃない、なんで俺の布団に入っているんだよ?」

「この部屋、エアコン涼しい」

「だからといって布団に入ってくる必要はないだろ」

「起こしても、起きなかった。私、床で寝たくない」

「……はいはい。じゃぁ、部屋交換するか?」

「それは困る」

「なんで?」

「秘密。ごはんどうするの?」


 さて、今日はどうしようか……。


「自分たちで作るしか、ないよな」

「ない。お父さんもお母さんもいない。二人で作る」


 ベッドに立ち上がった彼女は俺の布団も剥ぎ取り、朝からテンションが高い。


「つか、なんだよその服! 俺のじゃないか!」


 ダボダボの白いTシャツ。俺のお気に入りだったのに!


「汗かいたから、かりた。これ、着心地いい」

「勝手に着るなよ」

「私も同じの欲しい」

「じゃぁ、今日買いに行くか」

「行く! あっ」


 手を挙げた彼女は体勢を崩し、俺に向かって倒れてくる。


「ちょ、危なっ!」


 俺はとっさに手を出し、彼女を両手で受け止めた。


「ぐふっ……」


 が、つぶされた。

 彼女のいろいろなものが、俺に当たる。


「ありがと。起きよっか」

「はいはい……」


 両親はしばらく不在。彼女としばらくの間、二人暮らしになる。

 彼女はカーテンを開け、部屋に日の光を入れた。


「んー、朝だね。今日もいいこと、沢山あるかな?」

 

 俺は彼女の隣に立ち、軽く手を握る。


「きっとあるだろ」


 こんな日が来るとは思わなかった。

 あの日、俺のした選択はきっと間違っていないと思う。


「何考えてるの?」

「ん? ちょっと昔の事を考えてた」

「昔?」

「そ。俺が君と初めて会った時の事──」


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