表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

月夜譚 【No.1~No.100】

物語体験 【月夜譚No.90】

作者: 夏月七葉

 小説の書き出しに引き込まれた。表紙を捲って一行目を読んだ途端、本を持った手から吸い込まれるように身体ごと引っ張られたのだ。

 瞬間、目の前が真っ白になって何も見えなくなり、気がついた時には見も知らぬ石造りの建造物の前にいた。所々の壁が崩れ落ちたそれは廃屋のようで、中を覗くと背の高い雑草が蔓延って、屋根の穴から陽が差し込んでいた。

 その光景は正に、今し方読んだ小説の冒頭そのままだった。だから、本の中に引き込まれたのだと知るのにそう時間はかからなかった。

 だが、それを信じられるかというと話は違う。こんな非現実的なことが自分の身に起こるなど、到底あり得ない話だ。しかし実際に目の前で事が起きている以上、これが夢であるとするのが妥当なところだろう。

 彼は一つ頷くと、腰に手を当てて何処までも青い空を仰いだ。さて、この夢から醒めるにはどうしたら良いだろうか。ゆっくりと考えることにしよう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言]  こういう、何かが始まるような、そんな雰囲気で終わる、しかし短編にしか描けない小話というのが、たまに読みたくなるんですよね……。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ