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聞こえる音 感じるもの  作者: 近江 仙
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違う音

 コツリ…コツリ…


 足音が響く暗い廊下。


 明るいと気にならない音が、暗いとよく聞こえる。

 明るさが音の響きを和らげているのではない思うほど、暗い中の足音は響く。


 聞き慣れた足音に耳を澄ませ、少し心細さを誤魔化す。

 一人の病室にいる私にとって、足音は存在の確認だった。


 その証拠に


「この患者さんが…」


「朝の引継ぎが…」


 とナースステーションにいる看護師の声が聞こえる。


 ああ、一人じゃないんだ。

 部屋として狭い空間で見ると私は一人だ。

 だが、廊下の先に人がいる。


 それを確認、存在の確認は私にとって睡眠のための安心材料だった。


 声と足音、それを確認するとゆっくりと目を瞑る。


 カタリ…カタリ…


 足音に耳を澄ましていると聞こえる別の音。

 この音は逆に恐怖を覚える。


 何故なら、これは外の音だからだ。


 風が窓枠を揺らす音だ。


 音の性質は違うが、同じような音だ。なのに、ここまで違うのだ。


 コツリ…コツリ…


 私は足音だけ拾おうと耳を澄ませた。


 音は、存在の確認だ。


 私は足音だけに耳を澄ませて目を閉じた。



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