4『大陸からのボトルメッセージ 何て書いてあるの?』(宣伝)
この話は、私、烏川さいかの商業作品の宣伝小説です。
世界観が壊れてしまう恐れがありますのでご注意ください。
「うん、何だろう、これ」
西ネイコ島の浜を散歩していたメルルーサが何かを見つけた。
波打ち際で、半分ほど砂に埋まった瓶。コルクの栓がしてあり、中には何か紙のようなものが丸まって入っている。
彼女はそれを拾って開け、紙を取り出して広げてみる。
「文字……?」
緑と白が基調の紙。文字と思われるものが書かれていたが、彼女にはそれが読めなかった。ナルタ諸島の文字とは全く違う形をしている。
「あ、これ……っ!?」
けれども、メルルーサにはその文字の形に見覚えがあった。
昔から何度も見てきた言語にそっくりだったのだ。
メルルーサはそのことに気が付くと、浜を駆けて島長館を目指した。
「どうしたの、メル? そんなに慌てて」
ジュメイラ家の前を通った時、メルルーサは声を掛けられた。
声を掛けたのはジュメイラ家の末っ子、ローズアイランドだ。
「見て見てロゼ! こんなのが浜に流れ着いてたんだよ!」
メルルーサは興奮した様子で先程拾った紙を広げて見せた。
ローズアイランドがその紙を見て眉を顰める。
「何これ、全然読めないわよ?」
「たぶんこれ、大陸の文字なんだよ!」
「大陸の? 本当にそうなの?」
「今からミジガ島長のところに行って、大陸の言葉の本を使って翻訳してみようと思うから一緒に来る?」
「何だか面白そうね。あたしも行くわ」
このようにして二人は、島長館で謎の紙を翻訳することになった。
島長館に着くと、ミジガに許可を取って書斎へ入る。
壁際の本棚から分厚い本を取り、部屋中央のテーブルで翻訳作業を開始した。
「どう、メル? 翻訳できそう?」
ローズアイランドに訊ねられたメルルーサは、難しい顔で分厚い本と紙を交互に見ながら応答する。
「うん……どうにか……」
メルルーサが指で紙の文字をなぞりつつ呟く。
「ネトカノ……11月24日どようび……はつ、ばい……」
「どういう意味?」
ローズアイランドには、まるでその言葉の意味が理解できなかった。
「……全く分からない」
メルルーサは翻訳した言葉にただ首を傾げるばかりだった。
しかし、彼女はそれで落胆などせず、むしろ好奇心が掻き立てられたようである。
「大陸に行けば、この意味が理解できるかもしれないね! やっぱり行きたいな、大陸!」
メルルーサの大陸への期待が少しだけ強まった日だった。
茶番にお付き合いいただき、ありがとうございました!
「ネット彼女だけど本気で好きになっちゃダメですか?」
MF文庫Jさんより、2018年11月24日発売です! よろしくお願いします!