1『制服はアレンジ自由?』(第1話内)
メルルーサが郵便局に勤め始めて二日目。
「うぅ……配達の後は暑い~……」
郵便局に戻ったメルルーサは薄着になっていた。肩がさらけ出され、汗で服がぴったり身体に張り付いてしまっている。
「ちょ、メルルーサ!」
メルルーサの恰好を見たトリトンが、カウンターの中で椅子からひっくり返りそうになった。
「いくら暑いからって俺の目があることは忘れるな! 昨日も言っただろ!」
どうにか転ばずに耐えたトリトンが、メルルーサにちらちら目を向けながら怒鳴った。けれども彼女は、自分の恰好を確かめると笑いながらカウンターの方へ歩いてきた。
「えーこれくらいいいじゃん。トリトンは初心だな~」
「黙れ」
「あいたっ!」
トリトンがメルルーサの頭にチョップを食らわした。
メルルーサはしばらく痛みに悶えた後、頭を擦りながら制服について気になっていたことを訊ねる。
「そういえばさ、みんな制服の着方ちょっとずつ違うよね?」
「制服と言っておきながらも細かいルールとかないからな。みんな自分に合った着方をするんだ」
「え、じゃあアレンジとかしてもいいの?」
「まあ、ダメだって規則はないな」
「へえ、そうなんだ~……」
メルルーサは頭の中で制服アレンジをイメージした。思いっきりフリフリで、多少露出度高めでも可愛いデザインを。
「何考えてるのか知らないが、今思い浮かべたやつだけは却下だ」
「えぇえええ!? せっかくいいのが思い付いたのに!」
……結局、ズボンを少し折り込んで短くするくらいの、ちょっとしたアレンジだけは許してもらえたのだった。