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その八 アウイツォトル伝説

メキシコの伝説


アウイツォトル伝説


 伝説は、シャルトカンという部落の統治者、アウイツォトルがスンパンゴの水をミチョアカンにもたらしたと伝えています。

 古代の住民たちは大きな眼を持ち、黒い髪をし、いたずらっぽいおどけ顔をしたアウイツォトルは現在のメキシコ合衆国のスンパンゴ川の近くの部落、シャルトカンの統治者であったと伝えています。

 部落の人々の間で起こったことは全て、常にアウイツォトルの諮問にかけられました。

 統治者として居住する家に人々が着く時、彼は決して人の姿をしては現われませんでした。

 時々は蛇の姿をしてテーブルの上に投げ出されてその姿を現わしましたし、或る時は、アヒル、魚、海老とかそのほかの沼に棲む動物の姿をして現われたのです。

 アウイツォトルは地域の宝の番人でした。

 シャルトカン部落にある沼まで注ぐ「水の眼」と呼ばれた場所から湧き出る甘い水の所有者でありました。

 アウイツォトル、彼自身、漁師を生業としており、毎日遠く離れたところまで魚を売りに出かけていました。

 両手にとても小さな籠を持って、その統治者は彼の商品を顧客に提供しておりました。

 お客はその取るに足らない籠がどうして無尽蔵に魚を収めているのか、口をポカンと開け、唖然として見詰めていました。

 籠にはいつでも魚が一杯に詰まっており、新鮮な魚を買主に供給するために準備されていたからです。

 人々はアウイツォトル自身の智慧により、籠が魔法にかけられているのだと思いました。

 この籠が或る市場に残された時は、もう売り尽くし、受け取ったお金も十分であると考えたから、と解釈されました。

 部落の権威者として十分な機能を発揮していないと判断された時は、即ち彼が動物の姿となっていて、必要としている人に正義を与えていないということで、シャルトカンの住民はスンパンゴに告発に行きました。

 今のように書かれた命令書が無かったので、そこの権威者は知らせを即刻誰かに持たせて行かせることにより、命令することとしました。

 アウイツォトルは自分に逆らって提出された苦情をたいそう怒りました。

 漁をするカヌーに乗って、彼を監視しようとする隣人を数人伴なってスンパンゴに行きました。

 彼らはサン・ペドロ・ミルテンコの方に行きました。

 舟の渡し場に着いた時、そこはより安全と考えたのでしょうか、アウイツォトルはカヌーをひっくり返して、水中に身を沈め、もうそれっきり姿を現わしませんでした。

 アウイツォトルが水中に沈んでしまったので、シャルトカン部落の人は彼らが彼と共にスンパンゴに着くことが出来なかったことを不愉快に思いました。

 その後、アウイツォトルがミチョアカンの土地に去ってしまったことを知り、たいそう悲しみました。

 その上、沼はそこに棲んでいる全ての動物と共に姿を消してしまいました。

 大勢の住民はミチョアカンにある沼こそシャルトカンの水を携えて行ったアウイツォトルが創り出したものと固く信じております。



- 完 -


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