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異世界、自力で生きてやる!  作者: 卵神 兎萌
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やっぱり、美人と可愛いは眼福

「見ない顔だな。流れの冒険者か?」

カイはわたしを視界に入れると眉を寄せて硬く何か厭な感じが含まれた声を発する。

ムッとしながらも表情は変えずに答える。

「いえ、さっき仮登録をしたばかりです」

「へぇ、新人でその防具か。自信ありかそれとも・・・」

意味ありげな視線を向けられ腹が立ったので子供っぽいかなと思いながらも遮る。

いや、子どもだけどさ!

「この上に出していいですか?」

言おうとしていることは大体想像がつくんだよ!視線を胸に向けるな!

気持ちが悪い。


オーク13体

フルーラビット2体

フルーラビットの角と皮

ゴブリン5体

ゴブリンの魔石4つ


ドンッとわざと音を立てながら置く。

フルーラビットは10体あったがその内8体は捌いて焼いた物と焼くだけの保存食として置いておくことにした。


カイは目の前に積まれた魔物の量に目を丸くして驚きを隠せないでいる。


その様子に量が異常だったかと内心反省した。


「オークの肉は1体分だけ戻してもらえますか?」


 オークの肉が食用なのは解析で知っていたので自分の食料にするつもりだった。残りは全て売ってお金に換え、最低限必要な物だけでも手に入れたい。


「…オークは魔石を見なけりゃ値段がつけられねえから今日中には終わらねえ。明日来い」

「路銀が尽きて入村料を待ってもらってるんです。宿代もないですし、オーク以外だけでも夜までに査定してもらえませんか?」

「仮の冒険者カードがあるだろ、入村料はそれで免除だ。…だがまあ仕方ねえ、16時の鐘が鳴ったら来い」


 魔物の山を見て仕事モードにでもなったのか、男はまた目つきが変わる。こちらをチラッだけ見てそう言い、道具を取りに行った。


「ありがとうございます。お願いします」


 私はその背中に声をかけて倉庫を後にした。


なんだいい人じゃん。エロ親父だけど。

仕事人という風格を目にしてわたしの気分は少し良くなった。

あっちの経験であぁいう感じの人は憎めないんだよね。


ギルドに戻りさっきの受付嬢さんに本登録ができる・・なんだっけハマイヤの街だ!言い難いな・・

までの道を教えて貰う。ついでに宿の場所も。

お礼を言ってギルドを後にする。


仮のカードを見せにもう一度門番の所へ。それが終わると夕方までヒマなので村の隅に座って仮登録の時に感じたステータスについての疑問をヘルプすると、皆が自分で見られる訳ではない事が分かった。


解析のスキルあってよかったな。


【名前】モエ

【年齢】16歳

【職業】冒険者(仮)


【レベル】22

【体力】153

【魔力】3452

【攻撃力】267

【防御力】322

【素早さ】96


【スキル】剣術(S) 解析(S) 裁縫(S) 造形(S)火魔法(F)

【固有スキル】コピー(F)


【称号】転移人


おぉー、スゲー。つい声に出してしまう。

いや、だってさこんなに上がるなんて予想外。それに名前もちゃんと変わってるし、職業も。

よかった、「  」のままだったらどうしようかと思った。


さて、スキルも確認したし後どうしようかな?16時まで時間あるしな。

そうだ、これからも旅を続けるんだし回復の目処をたてよう。

そうなると、う~ん薬草かな?買ったほうがいいか。でも買うお金無いしな。


解析があるじゃん、早速周囲を解析にかける。

薬草など役に立つものはなかったが土、雑草と情報がポンと出現する。

手に触れなくてもわかるっていいね。


あぁ、そういえばお金ってどういう風になってるんだろ

ヘルプしてみると。

単位はリイと言い、世界共通。紙幣はなく通貨のみ。

通貨は6つに分かれていて鉄貨1リイ、小銅貨10リイ、銅貨100リイ、銀貨1000リイ、金貨10,000リイ、虹金貨100,000リイ

日本円と同じく1リイ=1円なので大変分かりやすい。

物価は国によって違うが、結構な頻度で変動するので気を付けたほうがいいだろう。

主に買いたたかれる方向の。


そのままそこで16時までのんびりと日向ぼっこをする。



日向ぼっこを始めてから何度目かの鐘の音が鳴り響く。

時間を確認すると16時、鐘はどれだけ小さな村だろうと必ず設置されている。

鐘が鳴るのは二時間置きで流石に夜中にはならないみたいだ。


約束通りギルドに行き、換金の窓口に向かう。

「あの、換金をして貰っていたものですけど」

受付嬢に伝えるとすぐにわかってくれたようで。

「モエさんですね。カードを提示してください」

言われた通りカードを渡すと受付嬢は奥に行き何やらジャラジャラと音がする皮袋とカードを持ってきた。

「フルーラビット2体、フルーラビットの角と皮、ゴブリン5体、ゴブリンの魔石4つで2,850リイ

です。オークは明日の朝には査定が終わります。」

「わぁ、ありがとうございます。明日の朝また来ます」

それらを受け取り受付嬢に頭を下げる。

あっちを含めて初めての収入に思わず歓声を上げてしまう。

ボランティアはしたことがあってもバイトはしたことが無かったのである。

多分顔はすごく緩んでると思う。


受付嬢さんはちょっと驚いたような顔をした後にっこり微笑んでくれた。

受付嬢さんは美人さんで微笑んだらもっと美人になった。


眼福です。

やっぱり目の保養になるのは男ではなく女それも笑う人である。


えへへと笑い返しギルドを後にする。


聞いておいた宿に向かう。


着いた宿は二階建てで木造だ。

扉を開け中に入る。カランコロンと子気味の良い音が鳴る。

中は入ってすぐ右に小さなカウンター、その奥にキッチン。テーブル席が少々あって隅に階段。

食事処兼宿屋というやつだろう。


「いらっしゃいませ!お泊りですか?」

中から出てきたのは十歳前後の茶髪の髪をお下げにしている女の子であった。

「うん、あ、いや・・はい、二泊したいんですけど」

年下の女の子だったから敬語じゃなくてもいい気がするんだけど何となく。

「はい。一泊、朝夕食付きで300リイです。お湯がありますが利用しますか?」

「えっと、取り敢えず今日利用します。」

「分かりました。ではここに名前を書いてください」

女の子から紙を受け取り名前を記入する。300リイ女の子に渡した。

「夕食は22時までです。すぐに食べられますよ」

「それじゃ、食べます」

「すぐに用意します。お好きな席にどうぞ」

そう言って女の子はキッチンに消えた。


端のカウンターに座り夕食を待つ、時間が早いからか他の客の姿はなかった。

それにしても、しっかりしてるなこの世界の子どもは・・

自分があのくらいの時は・・・駄目だ、思い出したくない。

はぁと溜息が出てくる。


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