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じきだんのパワフルプロヤ弓  作者: 水色ヒーハー(二代目)
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一立目「悲劇の男」

知ってる人なら笑える、身内ネタ満載の物語です。そうでない人も見るだけ見てって下さい。

 昔からよく、悲劇に巻き込まれやすい体質だった。

 カラスに糞をかけられたり、集団でふざけてたら自分だけ怒られて。時には冤罪をかけられ職員室に呼び出されたり、友達に尻を思い切り蹴られたりもした。


 そんな俺が高校で打ち込んだものは、弓道だった。

 きっかけは単純だ。中学まで続けた野球を高校までやりたくなくて、楽そうだと逃げた先が弓道そこだった。


 しかし思ってもいない事に、俺は弓道の面白さを知る事になる。的に当てる(正しく書くと中る)だけの簡単なもんだと思っていたが、中々に奥が深い。っていうか深すぎる。


 手の内、角見、胴造り、エトセトラエトセトラ。


 聞いたことも無かった単語たちの本当の意味すら、未だ俺は理解わかってないのかもしれない。


 果てなく続く道、弓道。


 俺はこの道を大学でも進み、栄冠を手にする...はずだったのだが。



 さて、どうしてこうなった...?





 ■□■■■□■□■■■□■




「おはよー、じっきー君」

「その呼び方マジでやめてくんない...?」

 いったい誰から、どの線からの情報か知らないが、高校のときのあだ名が使われている。

 この大学に知り合いは進学していない。つまり明らかな異常事態である。プライバシーの侵害、ネット社会の弊害がひしひしと俺の心に響く。


 因みにじっきーとは、略さずに「次期団長候補」、略してじきだん。そこからさらにアレンジを加えじっきーとなっている。

「団長」というのは、応援団の団長の事である。


 これについて説明すると、俺の悲劇を一つ語らなくてはならない事となるのだ。


 高校一年、委員会決めの時間。

 誰もが経験しただろう、沈黙の学級会。

 俺は最初生活委員会に手をあげ、事なかれにするつもりだったのだ。しかし応援団の人員が足りないという。そして何故か、そう、何故か。

 俺はじゃんけんに巻き込まれ応援団となっていた。


『おっ、これは次期団長候補だな!これからは愛を込めてじきだんと呼ぼうじゃないか!』


 クラスメイトに言われたその言葉から、俺の高校三年間のあだ名は「じきだん」となってしまったのだ。


「どの線からあだ名調べたん?」

「Twitterの君の同級生。有名なのいるでしょ?」

「ああ、あいつね・・・」


 弓道部の友達に、変な意味で有名な奴がいた。

 俺が巻き込まれ体質なら、あいつは炎上体質だろう。炎上体質というと、天網炎上カクヅチを思い出す。アレも別に嫌いじゃない。

 たぶんあいつとはこの先、会って絡む事も少ないだろう。


「あ、俺のことはマッちゃんでいいよ」


 そしてこのやけに失礼な奴は、二立参里にたて まいり。福島からこの聖ジェイコブ学院大学に来た同じ大学一年だ。チャラそうな金髪を跳ねさせて飄々と相手を思いやらない発言を繰り返すが、根は悪い奴じゃないんだろうなぁと感じさせる何かがある。高校でも弓道をやっていたらしく、個人で県入賞したこともあるそう。確かにここ数日の射型を見る限り、受験のブランクこそあれどかなりの実力者である事は間違いなさそうだ。


「別にいいよ、参里で」

「距離を感じるなー。マッちゃんがいいなー」


 実際距離があるのですがそれは。


「まぁ、『こっち』はマジじゃないんだからさ?仲良くいこうじゃない」

「はぁ、どうして・・・・」


 この聖ジェイコブ学院大学に入学したとき、俺は弓道で上を目指す事を一つの目標とした。噂ではこの大学の弓道部は大学の東北リーグでもそこそこ上位らしいと聞いていた。

 だから、そんな酷なカラクリが存在しているとは考えてもいなかった。


「聞いてねぇよ、弓道部が『二つ』あるなんて・・・」

「あ、じっきーはマジでやりたかったクチか。ま、残念ってこった!ガハハハハ!!」


 注意、矢は人に向かって放ってはいけない。・・・放っては、いけない。


 この聖ジェイコブ学院大学には、『弓道部』たるものが二つ存在している。工学部のあるキャンパスに存在する弓道部と、それ以外の学部があるキャンパスにある弓道部だ。

 行き来に一時間以上を要する距離であるため、部は二つ存在という事らしい。そして、俺が今まで聞いていた『弓道部』とは他学部のキャンパスにある方だった。

 俺は、工学部。

 こっちの弓道部の実力は、別に滅茶苦茶弱いわけじゃない。ただ大会に出る『弓道部』とは、あっちのこと。

 俺達には、大会に出場する権利すら与えられていなかった。


「まぁ、俺もまさか!?とは思ったさ」

「・・・」

「でもさ、楽しけりゃいいかなーって、思わん?」

「・・・思わん」

「っかー!堅いやつだなぁ!お腹はこんなんなのによぉ」

「やめんか!」


 お腹を揉みしだこうとしてくっついてきた参里を引き剥がす。野球をやっていた頃より太った自覚はある。何かしらの対策を打たねば、こうして参里にイタズラされ続けると考えたら、ちょっとやる気が出てきた。

 と、その時、誰かがガラガラと弓道場の玄関を力強く開けた。


「大変!大変でヤンスー!」

「どうした羽矢部はやべ君!?」


 羽矢部はやべ君もまた、同じ弓道部の仲間である。丸眼鏡が特徴的な根っからのオタクで、何故かは知らないが一緒にいると今まで共に数々のサクセスストーリーを歩んだような気持ちになる。また、弓道部でありながら走力には光るものがある。


「ネーム戦!ネーム戦でヤンス!」

「「ネーム戦だって!?」」



 ~~~鋭意執筆中~~~

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