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 転職勇者   作者: まずは深呼吸
第三章:不穏な職場
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65 奴隷

 「「「「「「先生!今日もよろしくお願いします!」」」」」

 学生達の声が聞こえてきた。

 そしていつも通り、まだ日は昇っていない、と。

 いやはや慣れというものものは恐ろしい。あれだけ大変だと思っていたことも毎日続けられると余裕が出てくる。

 体の各所を伸ばしながらむくりと起き上がる。

 「くーっ、さてさて軽い運動と行きますか。おいルナ……おっと。」

 そしてそのまま隣のルナに声を掛けようとして、俺は慌てて自分の口を覆った。

 件の彼女は今、黒いイヤマフラー(彼女の耳が頭の上についているので、それぞれを上からすっぽりと覆う形もの。)を付けて、というか付けさせられて熟睡している。

 よし、成功だ。

 彼女の安らかな寝顔を確認し、小さくガッツポーズ。

 このイヤマフラー、ルナが俺にあわせて起きようとするのを阻止するために俺が作ったものである。

 俺は仕事だから仕方ないとして、ルナまで無理して起きる必要はない。

 そういう思いで目隠しやら鼻栓やらと色々実験し続け、ついに今日、彼女の安眠を守ることに成功した。

 つまり、ルナは周りの物音で起き上がってきていたらしい。

 なるたけ静かに起き上がり、俺はコロシアムリングへと向かった。



 『完全鑑定……』

 リングに上がるなり、爺さんが俺を急かす。

 うるさいなぁ。

 ちょっと癪でも、鑑定!



 name:パンドラの箱

 info:天神ゼウスが開けないように言い付けると共にパンドラに与えられた箱。中に含まれる微細な力を、少しずつ漏らすよう作られた。

 初め、パンドラに贈られた際、箱の中には世界に必要だった災厄が全て詰め込まれていた。



 『うむ、感謝して良いぞ?これに入れさえすれば、ヴリトラの生み出す魔素は充満せずに外へ排出され、彼奴は完全に無力化される。』

 いや、あのな、これを知ってどうするんだよ。たしかに封印に使えるかもしれないがこんどうやって封じ込めるんだよ。自分から封印されに来てくれるわけでもないのに。

 「先生、どうかしましたか?」

 と、ボーッとしていたのを訝しんでか、リングで俺に相対する、単眼の学生に声をかけられた。

 「あーいや、何でもない。早速始めようか。最初はお前でいいな?」

 「はい!」



 「くぅー、……くぅー、」

 学生の山をリングに築き終え、オリヴィアとの特訓も終わらせて帰ってくると、ルナは微かな寝息をたてながらまだぐっすりと眠っていた。

 俺は音をたてないようにしてその横へ座る。

 いつもなら朝食を作ってくれている時間だ。でも彼女の幸せそうな寝姿を見ればそんなことはどうでも良くなる。

 今日は食堂で何かおすそ分けして貰おうかね?たまには朝飯を抜いてしまうのも良いかもしれん。育ち盛りはもう過ぎたし。

 にしても……やっぱり綺麗だよな。

 もし奴隷にされていなければ彼女は確実にラダンで幸せになっていただろう。……それが奴隷として俺の世話を焼かないといけなくなるなんてな。

 ……不憫だ。

 ルナは俺の言うことに従順で、文句一つ言わない。いや、言ってくれない。というよりむしろもっと頼ってくれとまで言ってくれるのだ。それが奴隷として染み付かせられた生き方だと考えると本当に申し訳なくなる。

 「ふふっ。」

 そんなことを考えていると、ルナがこちらまで笑顔になるような、華やかな笑みを浮かべた。

 奴隷として生きるための態度も寝ている間はしなくて良い。夢の中では好きなようにいられる。

 いつも無理をして、いや、させていたんだろうな。どれだけ俺が命令しないようにしていたとしても、ルナは俺のちょっとした頼み事を聞くとすぐに命令として受け取って実行してしまう。

 合宿のときなんか、俺に付いていくと必死な様子で言ったのだ。別に捨てるとか言うわけでもないのにな。

 はぁ……、俺が奴隷の存在を良しとできる人間だったらこんなことを考えて罪悪感を感じることなく済んだだろうに。

 「いつも、すまないな。」

 そろそろ見回りの時間か。

 俺は立ち上がり、静かに部屋を出た。

 ルナ、せめて今日はゆっくりしてくれ。



 『らしくないのう。お主は基本ポジティブ、むしろポジティブ以外の考え方を知らないと思っていたんじゃが。』

 学校の中を練り歩いていると、爺さんが俺へのイメージを暴露してきた。

 はぁ……なるべく明るく振る舞うようにしてるんだよ。一人のときに悪い方へ考えるのはまぁ、性分だ。

 『そこまで自己分析ができておるのならもう少し変えてみようとは思わんのか?』

 これまではこのスタンスで通してきて何の問題もなかっただろうが。だから変えるつもりは毛頭ない。

 それに、だ。他人にとっても終始マイナス思考をする相手ってのは嫌だろう?

 『そうじゃのう。自身の非をこれでもかと並べ立て、じゃから自身に天罰を与えるよう、毎日のように乞う者は見ているとたしかに面倒じゃの。』

 ……凄い奴がいたもんだ。でもま、そういうことだよ。

 で、爺さん、お前の言う通りに完全鑑定は使ってやったぞ。あのパンドラの箱はどうやって開けるんだ?

 『開けるのは簡単じゃ。蓋には誰だって開けられるかんぬきが取り付けてあるだけじゃよ。あとは蝶番の付いた蓋を持ち上げるだけじゃ。』

 そんなものにこの世の災厄とやらを詰め込んだのか?

 『まぁ、あれは人の特性を調べるための実験でもあったからの。』

 そうかい。で、そのかんぬきはどこにあるんだ?やっぱりリングの底か?だとしたらそれなりの道具を用意しないといけないぞ。

 『パンドラの箱は二十センチ四方の箱じゃよ。』

 は?そんなわけないだろ。リングの大きさは……

 『リングの中に埋め込まれておるのじゃ。』

 いや、リングに対して完全鑑定をしたら〝パンドラの箱〟って伝えられたんだぞ?

 『お主が、そうじゃの……イベラムの城壁を鑑定したとき、空気が鑑定されたか?されておらんじゃろう。それはお主の意識に呼応して完全鑑定は発動しておるからじゃ。それと同じで、お主はあのときリングを見ていたものの、神の作品を鑑定するつもりで完全鑑定を発動したからパンドラの箱が鑑定結果として出たんじゃよ。じゃからお主にはあれが神の作品じゃと信じ込ませたんじゃ。』

 あー、なるほど。それはありが……違う!

 お前、俺に完全鑑定を使わせたいがためだけにそんな手の込んだことをしたのか?

 じゃあ何か?俺の目の前に壁があったとして、その向こう側の物体を鑑定することもできるってことか?

 『向こう側にその物体があると心の底から信じられたら、じゃな。どうじゃ?段々完全鑑定が便利じゃと思えてきたじゃろう?』

 そんな宗教めいた盲信ができるか。使う場面なんぞほとんど無いだろうな。うん、やっぱり使えないスキルに変わりはない。

 『なんじゃと!?』

 で、パンドラの箱はリングの中心に埋め込まれていると考えて良いのか?

 『さぁ?』

 さぁ!?

 『言ったじゃろう?あれにはプロテクトが掛かっておる。わしはあのコロシアム一帯まで絞り込むので精一杯だったんじゃよ。そこからはただの推論じゃ。』

 確信すらなかったのかよ!

 「はぁ……。」

 思わずため息が漏れ、道行く学生に奇異な目で見られた。

 なんでもない、と手を振って笑い、少し歩く速度を上げる。

 ……まぁ良い。

 さて、どうしようか。もしパンドラの箱、もしくは今のその中身があのリングの再生能力の正体だとしたら、迫ってきている、正式名称〝今年の最強の学生は誰だ!〟通称〝学園大会〟の運営に支障を出す可能性がある。

 ……うん、名称と通称は普通逆だよな。

 とにかく、あとで相談するか。



 「あのリングがねぇ。」

 「まぁ、信じられないのは分かる。でも事実だ。」

 「情報元は?」

 「すまん、言えない約束だ。」

 場所は理事長室、パンドラの箱(ニーナには名前は伏せ、ヴリトラを封印できる神器と言った)のことを話すとニーナは体全体で信じられないことを表現した。

 「もし君の話が本当だとしても、どうすれば他の教師達から訝しがられることなくそれを実行できるかな。」

 「調査ってことで良いんじゃないのか?」

 「いや、何の?」

 「そんなもん、リングの再生能力以外に何があるんだ?」

 それ以外にあるならこっちが知りたいわ。

 「あー。」

 「良いカモフラージュだろ?」

 「まぁ、そうだね。でもそれが嘘なら……いや、情報がだよ?別に君が嘘を言っているなんて思ってない。」

 「嘘なら別に良いんじゃないか?リングを掘ったところでもし何もなければ元に戻るんだし。」

 まぁ、掘る方としては精神が病んでしまう可能性があるけどな。掘っても掘っても次の日には元通り。キツいったらありゃしない。

 ま、掘るのは俺になるだろうけど。

 「うーん、分かった。じゃあ学園大会が終わったら取り掛かって良いよ。他の教師達には話を通しておくけど、人員は君一人になると思う。良い?」

 あ、そこは私も手伝うとかは無いのね。

 まぁ、その方が俺も全力を使いやすいから良いか。

 「ああ、大丈夫だ。」

 「では、苦労を掛けますが、よろしくお願いします、コテツ先生。」

 まだこのやり取りを続けるのかよ。

 「了解です、理事長。」

 何かと楽しいから良いけどさ。



 ズゥン!と重低音が響き、遅れて俺の足元がぐらぐらと大きく揺れる。

 音の発生源では中心の深さが表面から30センチ程の小さなクレーターができており、その周囲にはもっと小さな物が無数に散らばっている。

 それらは全て黒魔法で俺がリングを掘る練習をした名残だ。

 「まだ弱いか。」

 手を上空へと掲げ、再度硬質な黒い塊を作り上げる。

 その形は、ハンマーの先に丸くを帯びさせたような、いわば太い柱。

 初めは貫通力をあげるために鋭い杭を作っていたものの、それだと深い穴ができてしまって探索し辛かったため、試行錯誤の末この形に落ち着いたのである。

 「せーのっ!

 掛け声と共にそれをリングに叩きつける。

 今日何度目かのの重低音。同時に杭の着地点から砂煙が舞い上がる。できたクレーターの深さは60センチぐらい。

 まだまだだな。せめて1メートルは欲しい。

 「もっと高い所から落としてみるか。」

 もう一度手を掲げる。

 と、ルナがリングへ向かって駆け上がってくるのを気配で感じた。どうやら今までずっと寝ていたよう。

 日頃の疲れは取れたかね?

 「ご主人様、申し訳ありません!」

 そして焦り切った顔で現れたルナは、俺を見て開口一番、謝罪の言葉を口にし、頭を下げた。

 「あー、謝らなくていいぞ。それよりルナ、今日はよく眠れたか?」

 「え?」

 「お前が寝坊したのは俺が作ったそのイヤマフラーのせいだからな。で、よく眠れたか?」

 「これを?ご主人様が?そんな、何でこんなことを……。」

 言うと、彼女は握りしめたイヤマフラーに目を落とし、信じられないという風に俺を見て聞いてくる。

 「お前がいつも無理してるんじゃないかと心配だったんだよ。」

 「無理なんてしていません!」

 即答。

 まぁそう言うだろうとは思っていた。

 「嘘つけ。今日だってずっと寝てただろ?疲れがたまってた証拠だ。すまんな、いつも無視させてしまって。」

 言いながら手を掲げ直し、リングの破壊作業に戻る。

 「ですから、私は無理なんてしていません。」

 「奴隷として俺の機嫌を損ねないように気を付けて、俺の何気ない言葉にも従おうとする姿勢をやめろとは言わない。でもな……」

 「ご主人様!」

 いつのまにか距離を詰めてきたルナは、俺の肩を掴み、至近距離でその深紅の目を俺の目と合わせて一喝。

 こいつは着物姿で一体どうやってこのスピードを実現してるんだ?

 「私は一度も無理をしていません!一度も自分の意に背いた行動を取らされたこともありませんし、ご主人様の機嫌を取ろうなどと思ったこともありません!」

 「そう、か。」

 ここまで奴隷としての生き方が染み付いてしまっているのか。

 「……ご主人様、信じていませんね。」

 「ルナ、お前の前の主人がどんな奴だったのかはしらないけどな「私の主人はご主人様が一人目……いいえ、ご主人様ただ一人です!」そ、そうか。……でもな、そんなに必死にならなくても俺はお前に罰を与えたり、お前を捨てたりしないから、な?」

 言うと、俺の手が引っ張られた。

 「……付いてきてください。」

 「どこに?」

 「良いから!」

 聞き返すと激昂され、俺は頭上に作った黒い塊を分解。訳もわからずルナに従った。



 「で、何で文房具屋なんだ?」

 今俺はインクを買ったあの文房具屋の裏に来ている。そこでは飛行船のマークが付いた馬車の荷台から店の中へ商品を入れているところだった。

 「一番奴隷を持っていそうな場所でしたので。」

 「奴隷を?」

 「ええ、彼らをよく見てください。」

 ルナの指差す先では様々な種族の、しかし共通して体のでかい人達2、3人が重い荷物をバケツ渡しで店の中へと運んでいた。

 この前ここの受け付けにいた恰幅の良いおばさんは、丸めた紙の束を手に、しきりに何事かを叫んでいる。

 その内容は、もっと早く、とか、だらだらするな、などを意味する言葉だ。

 大男達は奴隷で、その主人があのおばさんで間違いない。ていうか逆な訳がない。

 「えーとルナ?俺はあんなこと、頼まれてもしないぞ?」

 人をこき使うくらいなら自分で全部やる方が俺の心情的に楽だ。うん、だから雑用を押し付けられるんだろうな……人の上に立つ器が欲しい。

 「え?あ、ありがとうございます。でも、そうではありません。もっと奴隷達をよく見てみてください。」

 言われて目を凝らしてみるも、何も分からない。

 強いて言うなら……

 「うーん、立派な体格で羨ましいな?」

 「違います。」

 違いますか。

 「……分からん。」

 「彼らの目が光を放っていませんか?」

 言われ、改めて見ると、なるほど、たしかにピンク色の光が奴隷達全員の目に宿っていた。気のせいか、おばさんが命令する度に光が強く瞬いている。

 「奴隷に命令するとああなるのか?」

 「奴隷の意に反した命令を無理矢理行わせるときに発動する、奴隷紋の効果です。」

 「お前が見せたかったのはこれか?」

 何のために?

 「私の目が一度でもああなってしまったことはありますか?」

 「あー、いつもそんなに集中して見たりはしてないな。……それにたぶん、やったら俺が照れる。」

 まぁ、見ていたら見ていたでかなりの変人だと思うが。それに毎日女性(それも美人さん)の目を集中して見るなんてのは気恥ずかしい。

 「そ、そうですか。えっと、とにかく、私は自分の意に背いて行動をさせられたことはありませんので。」

 「でもな、お前が罰やら何やらに怯えて俺に尽くそうとしているなら……」

 「そんなことありません!」

 俺は慌ててルナの口を塞ぐ。

 「こら、声が大きい。今は夜中なんだぞ。」

 「ふひふぁふぇん。」

 「はぁ、一旦帰るぞ。」

 文言を唱え、俺達はコロシアムへ戻った。


 「ご主人様、先程も言いましたが、私は自分の意に背いて行動をさせられたことはありません!」

 リングに降り立ち、ルナはすぐさまさっきの話を持ち出した。

 「そして俺もさっき言ったように……」

 「私はご主人様の奴隷であることを不満に思ったことはありません。試しに私に明日、ご主人様のお世話をしないように命令してください。きっと奴隷紋の力が働きます。」

 「はぁ……分かった。ルナ、命令だ。明日、俺の世話を焼くな、休憩しろ。」

 休めと命令するなんてことは一生にこれっきりになる気がするな。貴重な体験だ。

 そして命令された当人には……何の変化も起きなかった。

 「え?あれ?」

 目をぱちくりさせ、ルナがあたふたとし始め、こちらを見て首を傾げた。

 「どうやらこれはお前の意に背く命令じゃないみたいだな?」

 ったく、やっぱり疲れてたんじゃないか。

 「そんなはずは……」

 「まぁほら、ルナ、お前が俺の世話を焼くことを進んでやっていることは分かったから。」

 予想外の展開に焦るルナの頭をガシガシ撫でて制し、言う。

 実際、俺の前に主人がいなくて、奴隷紋にあんな効果があるのなら奴隷根性が染み付くなんてことも無いだろうしな。

 「はい!」

 「でも明日は休め。お前は本当に疲れているみたいなんだから、な?」

 「……はい。」

 不服そうながら、確かにルナが頷いたのを確認して、俺は最後にその頭を軽く叩き、両手を腰に当て伸びを一つ。

 「……ふぅ、じゃあ、さっさと風呂入って寝るか。お前さっきまで寝ていたけど、寝れるのか?」

 「これがあれば、その、ふふ、いつでもぐっすり眠れると思います。」

 彼女は俺の作ったイヤマフラーを取り出して笑った。

 いやしかし、今見てみるとかなり不恰好な物だな。

 ルナの上に向かって立っている耳を、単純に上からすっぽり覆うだけ。蝋燭の蓋を二つ繋げたような形だ。

 ……許せん。

 イヤマフラー、いや、失敗作を霧散させる。

 「あ……」

 「ルナ、ちょっと頭を借りるぞ。」

 「え、ひゃう!」

 ルナの頭と耳の形に沿ってその形を写しとり、黒い糸で瞬時にニット帽を編み上げる。

 伸縮性もバッチリだ。

 俺の魔素の扱いも上手くなったものである。

 「よぉし、どうだ。」

 「え?すみませんご主人様、聞こえません。」

 防音性は確保できた模様。しかしこのままだと生活に支障をきたすか。……耳の部分の魔素を少し削ろう。

 「どうだ?聞こえるか?」

 「聞き取りづらいですけど、はい、聞こえます。あの、これは?」

 帽子の上から自身の頭を手で抑え、ルナがこてんと首を傾げる。

 「今日みたいによく寝られるように、な?」

 「そう、ですか。えっと……大切に、します。」

 「おう、そうしてくれると嬉しいよ。じゃ、明日はゆっくり休めよ。」

 「……ふぁい。」

 笑いかけると、伸縮性が楽しいのか、ルナはニット帽を伸ばして顔を隠し、そのまま小さく返事した。

 俺もよくやってたけど、程々にな。

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