夏休み⑥
「ほら、もうちょっと頑張れば終わるよ!」
「は、はい、……分かってま、ふぁぁ……ひゅ……えへ……」
「アリシア!」
「は、はい!起きてます!頑張ります!」
「もう、今年はボクは手伝わないからね?「え……?」うっ。あーもう、そんな顔しないの。えっと、少しだけなら手伝ってあげるから、ね?」
……切羽詰まってるなぁ。
アリシア達の部屋の前に立ち、中から聞こえてくる声に苦笑い。茶色のドアをノックしようとした手を下ろす。
今日の昼にファレリルに言われたこともあり、アリシアにちょいと発破でもかけてやろうかと思っていたが、少なくとも今日は必要無さそうだ。
むしろ今は邪魔しちゃ悪い。
「ふふ、大変そうですね?」
「はは、流石に遊び過ぎたかもな。」
横に立つルナの微笑みに笑い返すと、彼女はそうですね、と可笑しそうに言って頷いた。
ルナの昼間のご機嫌斜めは、俺との数時間に渡っての――天頂にあった太陽が沈むまでの――戦闘に次ぐ戦闘の末、すっかり治り、ありがたいことに今はその片鱗すら見られない。
結局不機嫌になった原因は分からずじまいだが、敢えてそれを思い出させることもないだろう。
知らぬが仏。加えて触らぬ神に祟りなしだ。
「僕だって遊びたかったよ……」
突如、俺の足元から声。
心臓が跳ねた。
素早く視線をそちらへ向ければ、麻縄でぐるぐる巻きに縛られるという、最近見慣れてきた姿のエルフ、フェリル。
「お、お前ならシーラと一緒にほぼ毎日観光旅行してたじゃないか。」
「……まぁね、それはもちろん楽しかったよ。でも道行く可愛い娘達の内の、数人ぐらいしか声を掛けられなかったんだ。……挨拶ぐらいしても良いと思わないかい?」
「結局声を掛けたんだな……。」
ここでこいつを蹴り飛ばしても罰は当たらない気がする。
「それよりリーダー、こんな状態の僕のことを助けようと思わないのかい?」
「シーラの前で初対面の女の子にうつつを抜かしたんだろ?当然、というか分かってた結果だ。嫌なら少しは自重しろ。」
ったく、助けるだと?そんな事をしたが最後、俺が巻き添えを食らう決まっている。
「それは違うよ。……良いかい?可愛い、綺麗、美しい、何だっていい、少しでも惹かれた娘がいたなら、その娘を褒めてあげないといけないんだ。それをしないことほど失礼なことはこの世に無いのさ。」
「あーそうかい……っ!じゃ、じゃあ、シーラを褒めてやったらどうだ?」
フェリルの熱弁を適当に聞き流していたところ、突然廊下の影から現れたソレの姿に動揺し、俺は言葉に一瞬つっかえてしまう。
嗚呼、フェリルは未だ気付いていない、背後から忍び寄る鉄拳の死神に。
にしても、この離れた位置から拳をぎりりと握りしめる音が聞こえるのはおかしいと思う。……まぁ足元の芋虫型たらしエルフには聞こえていないが。
何にせよ、せめてもの情けに助け舟は出してやった。生きるか死ぬかはもうここからのフェリル次第だ。
「え?シーラをかい?それは難しいよリーダー。」
「っ!」
あーあ。
「……照れるからね。」
瞬間、ピタッ、と死の鉄槌がフェリルの頭のすぐ上で止まる。
死神――シーラは、するとゆっくりとこちらを目線を上げ、俺と目を合わせ、静かに俺へ頷いてみせる。
……もっと話させろと?
「えーとつまり、何だかんだ言いながら、結局はシーラが良いってことか?」
フェリルの前に屈み、聞く。
「いや、そんな事はないよ。僕はいつだって本気さ。」
あ、拳がまた振り上げられて……
「ただ、もしシーラを口説くのに失敗して、今のように一緒にいられなくなると思うと、怖くてね。」
……そんでまた途中で止まる。
「そう、なのか。」
「リーダーとルナちゃんみたいに、別れた後も仲良くしていられるのは稀なんだよ?「ッ!」ルナちゃん?」
「な、何でもありません。」
何事か呟いた背後のルナに、俺を含めた三人の視線が集まるが、本人の必死さも感じさせる否定の言葉に、そうか、と皆視線を元に戻す。
「それで、例えば僕とネルちゃんを見てみなよ。……僕はシーラにあんなに嫌われたくない。」
「どうせあれはお前が不誠実だったからだろ?」
「……たくさんの女の子に好かれたいのは男の性じゃないかい?」
なぁるほど、よぉく分かった。
助け舟は出すだけ無駄だったな。
俺は無言でフェリルからシーラに目を移し、一言。
「やれ。」
「言われなくてもッ!」
「え?ゴアッ!?」
振り下ろされた剛腕により、フェリルの意識はあっさりと飛んだ。
「こぉぉ……。」
「くはは、良かったじゃないかシーラ、性根は人間好きの女たらしでもお前は好きらしいぞ?」
渾身の一撃を放ち、格闘家のように呼吸を整えるシーラに笑い掛けると、彼女はほんのりと頬を染め、口元を片手で隠し、
「……前半が酷すぎるのよ。」
そう言って、もう片方の手で縄を引っぱり、彼女はフェリルをズリズリ連行していった。
「……ははは、じゃあルナ、また明日な。」
エルフ二人の姿に乾いた笑いを漏らし、俺はルナに手を振って自分の部屋へと向かう。
いやはや、はたしてフェリルは無事に部屋に戻ってこれるのだろうか?ま、戻って来れたとしても、無事ではないだろうが……。
「ま、待ってください!」
しかし、数歩も歩かない内にルナに手を掴まれた。
振り返る。
「ルナ?」
「ご主人様ッ!」
「はい!」
俯いたルナがガバッと顔を上げて出した大声に、条件反射で大きな返事が出た。
「あの、し、尻尾の、手入れを、て、手伝ってくれません、か?」
そして、彼女は再び俯きながら、そう、消え入るような声で続けた。
「櫛なら作ってやれるぞ?」
もう一度あのもふもふした塊を触りたい思いは山々だが、一度は恋人同士だった手前、同じ部屋で二人っきり、というのはかなり気不味い。
しかし、ルナは首をふるふると横に振り、釣られてその長い銀髪が乱れる。
「私一人だと、根元が、よく見えなくて……お願いします、他に頼める人はいないんです。」
ぎゅっと俺の手を握る力が強まる。
そしてぺたりと耳を伏せたまま顔を小さく上げ、彼女は俺の目と目を合わせてその揺れる瞳で必死に願いを訴えてきた。
「はぁ……終わったら部屋に戻れよ?」
根負けし、ため息と共に言うと、ルナは笑顔になって俺の腕を抱きしめて何度も頷き始める。
「ありがとう、ございます。……その、気持ちよくて寝てしまうかもしれませんが。」
そういやこいつ、櫛入れ中に寝落ちしたことも何度かあったな。
「なに、その時は俺が運んでやる。」
「はい……よろしく、お願いします。」
ぎゅっと腕が柔らかな双丘に押し付けられる。
……さて、久方振りに理性にオーバーワークして貰いますかね?
毛が絡まった箇所にらそれまで調子よく滑っていた櫛の歯が引っ掛かる。
「んん!」
途端、俺の真横から押し殺した悲鳴が上がった。
上げたのはこちらに背を向け、俺が腰掛けているのと同じベッドの端に座るルナ。
驚きからか、彼女の頭の耳はピンと立ち、同時に手は尻元のシーツをぎゅっと掴んでそこにくしゃりとシワを寄せ集めた。
「っと、すまん。」
「い、いえ……。」
謝りつつ、俺は絡んだ銀の糸を解しに掛かる。
しかしこれ、もう何度目だ?
「なぁルナ、お前、自分で手入れしてないんじゃないか?」
「そ、そんなことはありません。」
強い口調。ついでにブンブンと首が横に振られる。
「そうか?なんというか、酷いぞ、これ。」
「うっ。」
約3ヶ月前、そのお手入れがほぼ毎日の日課になっていた頃は櫛通りも良く、真っ直ぐ滑らかで柔らかかった尻尾は、しかし、かつてとは打って変わり、櫛を今さっきのように何度も引っ掛け、確かに柔らかいものの、手触りは若干ケバケバしてしまっている。
「すみません……。」
「いや、俺に謝られてもな。……よし、解けた。……ただ、勿体無いと思うんだ。はは、ユイあたりがこれを見たら泣くぞ?」
絡まりあった銀の毛を解きほぐし、改めて櫛を掛けていく。
にしても、こうしてやる事があるおかげで変な沈黙に苦しまずに済むのは助かった。
「その……最近は、ん、シーラと二人部屋でしたから、あまりっ、時間が取れなくて。」
「ならシーラに協力して貰ったらどうだ?」
「嫌です。」
我ながら名案だと思ったものの、即座に却下されてしまう。
「そりゃまたどうして?」
「それは……どうしても、です。」
「どうしても、ねぇ。」
そんなあやふやな理由を言われると、こちらとしてはもうどうしようもない。
まぁ何にせよ、俺の任務は納得のいくまでこの温かい毛玉を整えることのみ。
「あの、ご主人様。」
「ん?」
手元は止めない。
「ご主人様はファーレンに、勤められるのですよね?」
「できれば、な。」
「……ご主人様の技量に神器も合わされば、まず負けることはないと思いますよ?」
「はは、そうかもな。」
嬉しいことを言ってくれる。
笑い、少し強めに梳いてやると、ルナの背が少し震えた。
「ん、ふぅぅ、そのとき私は、ご主人様に付いて行かせて貰えますか?……2年前のように。」
……そういやそこは考えてなかったな。
「あー、でも流石に2年前と同じ生活はお互い気不味いだろ?」
元恋人と同棲。
ちょっと考えただけでも、のしかかるだろう多大な気苦労は推し量れる。
「そう……ですよね。」
「フェリルとシーラはこのまま外にいるだろうし、お前も二人と一緒に……嫌か?」
言い掛けたところでルナは俯いてかぶりを振り、俺が確認にそう聞くと、彼女は今度は小さく頷いた。
「あの二人に苦手意識でもあるのか?」
「いえ、その、えっと……んんっ!」
ルナの体がビクリと震えた。
まぁた毛が絡んでやがるな?解さねば!
「はぁはぁ……そ、そうです、尻尾のお手入れをして欲しいので!」
「あーそうか……。とは言っても、俺も前みたいに毎日してやれる訳じゃないからな?普段は自分でやるんだぞ?櫛ならいくらでも作ってやるから。」
「あ……はい。」
ルナに言い、彼女が首肯したのを確認して目線を落とす。よくよく見れば櫛の引っ掛かった箇所には小さな結び目ができていた。
すぐに黒い針を作り上げ、丁寧に丁寧に柔らかな銀毛を弄っていく。
「でも、やはり私はご主人様と……「すまん、ちょっと集中させてくれ。」……。」
何やら言い掛けたルナにすまないと思いながらも頼み、全身全霊の集中力をもって極小の――しかし手で触れればすぐに分かる程度の――突起を突き、解く。
「ふぅ、よし、で、何だって?」
息をついて櫛入れを再開、ルナに先を促す。
「はい、気不味いことは十分に分かっています。ですが、その、毎日でなくとも、手入れして貰うにはやはりご主人様と一緒の部屋に……「待て。」……むぅ、今度は何ですか「しっ。」え?」
人差し指を口元に当てて見せ、その指を窓、ひいては宿屋の前の通りへ向ける。
訝しげな目でそちらを見たルナは、しかし次の瞬間、その眼光を鋭くした。
やはり聞き間違えではなかったらしい。
何人もの人の足音が外から聞こえる。
空がもう完全に真っ暗になったこの時間帯、遅くまで飲んでいたり仕事が遅く終わったりした人達が仲良く帰り道についている可能性もあるものの、話し声一つなく、しかも宿屋から遠ざかる足音が一つもないのは不自然だ。
ルナに静かにするようもう一度手振りで伝え、窓枠から宿屋の出入り口を見下ろせば、男達が数十人、ぞろぞろと集まっていた。
彼らの服装に統一感はなく、種族も完全にバラバラ。唯一の共通点である全員の足や腕に巻き付けられた黄色の布だけが、彼らがお互いを仲間と認識する手段なのかもしれない。
ヴリトラ教徒じゃないことに安堵しながら、取り敢えず、聖なる双剣を腰から抜く。
「ご主人様、私も行くわ。」
愛刀を掴んで俺の反対側の窓枠に来て、ルナが外の男達を見ながら小声で言った。
「まぁまぁ待てって。まだあいつらが敵だと決まった訳じゃないんだから。」
『剣を抜いておいてよく言うわい。』
……これはもしものために備えてるだけだ。
「……全員、大したこと無いわね。」
と、ここでポツリとルナが漏らした。
見れば階下を見るその眼が微かに紅く煌めいている。
「お、魔眼か。久々に見るな。」
確か相手の力量を光として見て取れるんだっけ?
「ええ。でもご主人様の光が完全に隠れてしまっていて残念だわ。」
隠密スキルのおかげか。
「そいつは俺にとっては褒め言葉だよ。……お?」
囁き返したところで動きがあった。
下の集団の一人が宿屋の扉に手を掛け、鍵が掛かっていると分かるや、ノックする。
最初は優しく、段々激しく。
そして、無礼な深夜の客なんて無視すりゃ良いのに、この宿屋の主人が目を擦りながら顔を覗かせ、途端、開かれたドアの端がノックした男に掴まれた。
「何ですかあなたむっ!?」
そして突然のことに驚きの声を上げかけた主人は、別の奴に口を塞がれ、かと思うと強かに殴られて気絶した。
くそっ!様子見してる場合じゃなかった!
慌て、木窓を突き飛ばすように大きく開けた瞬間、刀を抜いたルナが宙へと身を踊らせた。
着地ざまに主人を掴んだ男の肩を斬った後、問答無用で燃え盛る薙ぎ払いをルナが放ち、外が一気に騒がしくなる。
「ぐぁぁっ!?」
「「「ぎゃぁぁ!?」」」
「くそっ!なんだ!?」
「女一人だ!怯むんじゃねぇ!」
「あのアマの好きにさせるな!やったれぇっ!」
「「「「「ウォォォォッ!」」」」」
さて、先に飛び出て行ったルナの姿に返って落ち着いてしまった俺は、そんな夜中の戦闘を眺めながら、夏休み開始直前に手に入れた戦利品を構えて片頬を上げた。
「……豪炎!」
そしてちょっとした感動と共にこの世界にやって来て始めての炎を放つと、片手に収まるぐらいの人数を残して、敵のほとんどが戦闘不能に陥った。
……やっぱり魔法って恐ろしい。
そう思いながら、俺は残党を相手するべく窓から飛び降りた。
純白の中華刀が鈍色の剣を弾き飛ばす。
「くそっ、こんなの、聞いてね……ぐっ!?」
そして俺は無傷だった最後の一人の顔を、その顎を龍泉の腹で押すことで上に向けさせた。
「ルナ、お疲れさん。先に戻ってて良いぞ。」
「ご主人様は?」
「少しこいつと話してから戻る。」
「はい、分かりました。……えっと、お休みなさい。」
目の前の通り男を睨み付けながら言うと、背後でパタンとドアの閉まる音がした。
「さて、誰に何を聞いたんだ?」
「た、頼む、殺さないでくれ。」
聞くと、即座に男は命乞いを始めた。
よしよし、普通はそうだよな。
「それを決めるのはお前だ。ほら、質問はしたぞ?繰り返して欲しいか?」
「……お、俺は、この宿に泊まってる、なんか変な名前の、コ、コテル?そんな名前の奴の寝込みを襲って、こ、殺せって言われたんだ。あ、も、もちろん、俺は乗り気じゃなかったぜ?へへ。」
「そうかい、そりゃいい事だな。続きは?」
コテツだコテツ。標的の名前がうろ覚えでどうする。
「つ、続き?」
「誤魔化すな。この大人数で俺一人を殺しに来たとでも言うつもりか?」
「す、少なくとも俺は、そのつもりだったぜ?人数が多いのは、そのコ、コテルって奴がSランクの冒険者らしいから、万一そいつが起きてきた時のためだよ。……って、そうか、あんたがコテルか!」
あ、なんかもう名前がコテルで定着しちゃったな。
しっかしそうなると本当に俺一人を殺しに来たって訳か。……こいつらも、十中八九ヴリトラかその傘下の差し金だよなぁ。
あれだけ向こうさんの邪魔をして来たんだからこうなるのは時間の問題だったろうけれども……はは、遂に俺個人を標的にして来たか。
「殺せと言われたって言ったよな?依頼主は?」
「……言えねぇ。殺される。」
「言わなきゃここで俺に殺されるぞ。」
脅し、龍泉を男の顎に少し食い込ませると、彼は小さな悲鳴と共に爪先立ちになる。
「嘘じゃないぞ。……吐け。」
「なにやってるの?」
と、背後から恐る恐るといった感じの声が聞こえてきた。
振り返れば、宿屋の出入り口からネルがちょうど顔を出したところだった。
「あー、えっと……尋問、だな。うん。」
龍泉を下げて振り返り、何となく決まり悪くて苦笑い。
「そ、そうなんだ……。って後ろ!」
そして彼女を宿の中に押し戻すべく、宿屋の方へ踏み出した瞬間、その彼女から警告が飛ばされた。
「これで俺は、自由だぁっ!」
素早く視線を後ろに向ければ、さっきまで尋問していた男がおそらく隠し持っていたのだろうナイフを振り上げていた。
しかし太阿の一閃でそのナイフは男の手首ごと宙に飛び、直後、短剣がそいつの首に突き刺さる。
「ネル!?」
「馬鹿!何やってるの!」
驚いていると、ドサリと倒れた男から短剣を抜いたネルがそう怒鳴った。
「あ、ああ、すまん。つい。」
返す言葉もない。
「つい、じゃないよもう。……それで?この人達は何?」
「さぁな。ただ、こいつらは俺を殺しに来たらしい。ま、この通り返り討ちにしてやったけどな。……それ以上は聞き出せなかったよ。」
「そう……ごめん、殺さない方が良かった?」
「いや、大して変わらなかっただろうさ。まぁほら、もう遅いし、部屋に戻ろう。」
そう言って彼女の背中を押して宿屋に向かおうとすると、ネルはバッと振り返り、
「あ、ちょっと待ってて、罠とか色々解除してくるから。」
俺を両手で止まるように言って、先を早足で歩きはじめた。
「罠?」
「アハハ……外で戦ってたから、一応ね。後で呼ぶから待ってて。」
聞き返すもネルは笑って誤魔化し、さっさと宿屋の中に入ってしまう。
……一体どんな罠を仕掛けてたんだ?さっき戻っていったルナとか引っ掛かって無いよな?
まぁ取り敢えず、今の内に死体の処理をしておこう。
俺は右手の指輪を親指で擦った。




