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 転職勇者   作者: まずは深呼吸
第二章:一攫千金な職業
19/346

19 職業:冒険者⑬

 「……と、いうわけだ。」

 ネルに幽歩を解説してあげた。

 「そんな小手先にまんまと引っかかったんだ……ボク。」

 聞いたネルが呆然としてそう呟く。

 「なんだか分かりませんけど、コテツさんはやっぱり強いんですね!」

 「アハハ、うん、コテツは強いよ。」

 そしてアリシアのほんわかした言葉に、彼女は困ったように笑って頷いた。

 正直照れる。

 さっさと出発してしまおう。

 「じゃ、ダイナソー山に向かおうか。」

 言い、俺は足元に広めの四角形を作りあげて自分ごと空中に少し浮上させる。

 アリシアは慣れた様子で足場によじ登り、ネルがそれに続いて身軽に飛び乗る。

 「へぇ、これがあの“ドラゴン”って奴?」

 「はは、幽霊の正体見れり枯れ尾花ってな。」

 騒がれていたドラゴンがただの四角い平面だったとは肩透かしも良いところだろう。

 「え?なんて?」

 「……二人ともしっかり掴まれって言ったんだ。」

 まぁ伝わらないわな、そりゃ。

 「「はーい。」」

 のんきな返事。

 足場の高度を一気に上げる。

 「行くぞ!」

 そして、俺達はダイナソー山に向かって飛んだ。


 飛んでる途中、ネルがアリシアの制止を聞かずに板の端から下を見て固まってしまい、俺は「大丈夫大丈夫」と言いながら震えるネルの背中を撫でるはめになった。

 そのときした良い匂いには、努めて知らないふりをしました。ええ。

 俺のせいでネルを高所恐怖症にしてしまったのかも知れないという罪悪感も多少はあった。



 「あ!コテツさん、あそこにワイバーンの群れがいます!」

 元気に言うアリシアの指差す方を見れば、青色がかったの鱗を持ち、足と翼を1対ずつ持った生き物が4、50体飛んでいた。

 首は細長く、尻尾は鋭い。

 その尻尾には毒があるらしく、それに足を貫かれて運ばれる小動物が痙攣しているのが見て取れた。

 「よくやったアリシア。じゃああいつらの真上に行くぞ。……いいか?」

 「……怖い。」

 横に聞くと、俺に震える身体をさらに寄せ、ネルは消え入るような声で囁いた。

 「俺の目が黒い内は安全だから、な?」

 その背を擦り、耳元に優しく返すと、ネルは小さく頷いてくれた。

 グイッと足場を持ち上げ、ネルがさらに体重を預けてくる。

 そうしてワイバーンの群れの真上に来た。

 「アリシア、時間はたっぷりとある。しっかりと狙って風の刃を放つとして何体倒せる?」

 「半分位なら余裕を持って出来ます。」

 「よし、なら残りの半分は俺がやる。ネル、これが俺の魔法だ。よく見ておけよ?ブレイドダンス!」

 俺の魔力は成長したのだ。今度は踊るぞ。

 作り上げたのは剣、30本。それらを黒い足場の回りに、柄を下に刃を上に向けて旋回させて見せる。さて、感想は……

 「……君、結構根に持つね。」

 ……ネルはまだ元気らしい。

 何にせよ、俺はついに30本もの剣を精密操作出来るようになったのだ。こうして目に見えて成長の成果が表れるとなかなか嬉しいものがある。

 「ウィンドカッター!」

 アリシアが大小様々な風の刃を連続して放つ。

 刃が上からワイバーンの群れを襲うと、大混乱が巻き起こった。首や翼を切られて落ちていくワイバーンは手で数えられる数じゃない。

 ……凄いじゃないかアリシア。

 右往左往し、ギャーギャー鳴いている残ったワイバーンへと旋回させていた剣を全て飛ばし、魔力によりあり得ない軌道で振り回してこれまた首や翼を切りつけ、落としていく。

 それでもワイバーンは変わらずギャーギャー鳴いている。あれってちょんと会話してるのかね?

 途端、ワイバーンの鳴き声が消え、代わりに知らない声が聞こえてきた。


 「母さぁーん!」

 「逃げなさい、早く!かはっ」

 「そんな、こんなことっ!くそぉっ!ぐアァ!」

 「お兄ちゃん!」

 「お兄ちゃんはもう死んだんだ!早く逃げるぞ。ごほっごほっ」

 「いやぁ、お兄ちゃーん!」

 「早くしないか!ほら、叔母さんも叔父さんもお前たち次の世代を守るために死んだんだ。犬死にになんかしたらいけない、早く逃げなさい!」

 「うぅ。」

 「逃げるんだ!行くぞ!」

 「うん、……キャッ!」

 「させるかぁ!ぐはっ」

 「お父さん!」

 「安心しなさい、翼が少し切られただけだ。まだ飛べる。ほら、早く行きなさい。後ろを振り向いてはいけない。できるだけ早く逃げるんだ。絶対に生き延びるぞ。」

 「うん、お父さんも付いてきてね。」

 「ああ、一緒に、逃げよう。」

 「うん!」

 「……行ったか、幸せに、しっかり、生きて、く、れ。ぐふっ」

 「……………………はぁはぁ、もう大丈夫かな?明日からはお父さんと二人だけだね。でも、悲しくないよ。私、お父さんのこと、大好きだもん。ねぇ、お父さん、お母さんもお兄ちゃんも死んじゃったけど、これから頑張ろうね?……あれ?お父さん?」

 「お父さん、どこにいるの?ねぇ、後から付いてくるって言ったよね。じょ、冗談だよ、ね?全然笑えないよ。私、良い子にするから出てきてよ。」

 「もう好き嫌いだってしないし喧嘩もしない。ワガママももう言わないからぁ。ぐすん、ねぇ、お父さんどこぉ。一人はやぁだよぉ!」

 「お父さんお父さんお父さんお父さんお父さんお父さんお父さんお父さんお父さんお父さんお父さんお父さぁん!パパァ!やだぁ!パパァァ!」

 「うぅ、……これも全部あの黒い板から飛んできたんだ。仇を、取ってやる!うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!うぐっ、ゴボッ!……ああ、お父さん、お母さん、お兄ちゃん、今、行く、よ。」


 止めろォォォこのクソジジイがぁぁ!

 『いや、お主が聞きたいと……。』

 滅多なもん聞かせるんじゃねぇ!

 「どうかした?気分が悪そ……泣いてるの!?」

 「い、いや、なんでもない。」

 目を擦ると、優しく肩をさすられた。

 「しっかりして、ほら……あ!こら、目をつぶらないで!危ないでしょ!落ちたらどうするの!?ボクができることならなんでもするから、ね!?」

 目を閉じた瞬間、慌てたようにネルが叫び、大声でそんなことを言ってくれた。

 「……少し、腕に力を入れさせてくれ。」

 「え、うん、いいけど?」

 「助かる。」

 「別にこれぐらい……え?ひゃっ!?」

 俺は少しの間、ネルを強く抱き締め返した。涙なんて流してない。



 ワイバーンの墜落していった地面に板を下ろす。

 「じゃあネル、討伐証明部位ってどこだっけ?」

 「え、し、尻尾だよ!?」

 ようやく俺を放して立ち上がったネルに聞くと、彼女はその場でビクッと跳ねた。

 ネルの様子が少し変になっている。力を入れ過ぎたかね?

 「他に売れる部位はあるのか?」

 「たしか翼は1対8シルバー、足の爪が片足で5シルバー、そして鱗が50枚で5シルバーだったと思うよ。鱗は防具に使われることはあるけど、そこまで強いって訳でもないからね。でもアリシアがいるから、全部持って帰っても良いんじゃない?」

 それもそうだ。

 「じゃあ頼んだぞ、アリシア。俺はまだ生きている奴がいないか警戒しておく。」

 気配察知を発動。

 ゴブリン村のときみたいなヘマは侵さない。

 「はい!」

 アリシアのはきはきした返事。

 「ボクは周りの見張りをしておくよ。回収し終わったら呼びに来てね。」

 「了解。」



 「これで全部か?」

 「はい、だと思います。」

 「よーし、ならちょっとネルを呼んでくる。……ん?」

 ネルのいる方へ向かおうとするも、その前にアリシアは俺の手を掴んだ。

 「あの、その、私、頑張りましたよ?」

 そう言ってアリシアが近づいてきた。

 「お、おう。」

 「その、なんと言いますか……。」

 言いながら頭を俺の手に寄せてきた。

 「はは、そうだな、良くやった、流石神童「えい。」……はいはい、流石アリシアだ。」

 ぽふと腹に細い拳が当たり、俺は笑って彼女を褒め直す。

 「えへへ。」

 ……前までは子供扱いするなとか言っていたのに、良いのだろうか?

 「じゃ、ネルを呼んでくるな。」

 「はい。」


 ネルは木の上から遠くに視線を向けていた。

 その眼差しは真剣そのもの、悪戯心の湧くのを誰が責められよう。

 ……よし、近くに魔物の気配は無いな。

 隠密スキルを発動。

 そーっと彼女が立つ木の下まで近付き、下半身を黒銀で黒く染める。

 こうして体を硬く固め、そのまま無理して体を動かすと何故か身体能力が跳ね上がるのだ。

 一応、筋肉の質が柔らかいバネから硬いバネへと変化するからだろう、俺は勝手に解釈している。

 証拠というにはおかしいかもしれないが、こうして少し膝を曲げた状態から跳ぶだけで……

 「何を見てるんだ?」

 「にゃっ!?」

 ……10mぐらいは楽に跳び上がれる。

 いきなりの俺の登場にネルが奇声を上げ、俺は木から落ちそうになった彼女の背中を片手で支えてやった。

 「おっと、危ないぞ。気を付けろよ?」

 「君が驚かすからだよ……もー。」

 ジト目を向けられた。

 「悪かった。で、何を見てたんだ?」

 謝り、ネルの注視していた方へ目を向ける。

 「ごほん、ほらあれを見て。まずいよ、バイホーンラビットがレッドホーン達を率いてる。」

 指差す先を見ると、額に赤い角のついたウサギがわんさかいた。角はそれぞれの体長の半分くらい。真っ直ぐだったり捻れていたりと様々な形をしている。同じ角を持った物はいないんじゃないだろうか。

 そんなウサギ達を一番前で率いているのが側頭部から角を1本ずつ生やしたウサギだった。それぞれの角は黒く変色している。

 「ちなみに討伐証明部位は?」

 まぁ、予想はついている。

 「もちろんあの角だよ。コレクターもいるから、余分に取った方が儲かるね。」

 「バイホーンも売れるのか?」

 「もっちろん、珍しいからねー。ボクには分からないけど、コレクターには喉から手が出るほどの物だよ。頭なんかも付いていたら破格の値段になるね。」

 「へぇ、他に売れるものは?」

 「後は毛皮と肉ぐらいかな。」

 やっぱりこの世界でもウサギは食われるらしい。

 「それで、何がまずいんだ?」

 「バイホーンラビットに率いられた群れはね、何故かその身体能力が底上げされるんだ。あの角での攻撃が強くなるのはもちろん、逃げ足まで早くなるからねぇ……。段違いに。」

 「そうか。」

 となれば、何か罠でも仕掛けるべきかね?

 「くく、そんな悩まなくても大丈夫だよ。」

 脳内に巨大ネズミ取りを思い浮かべていると、ネルがそう言って笑った。

 「何か考えがあるのか?」

 「まぁね、アリシアのところに戻ろう。」

 遠目にウサギの大群を見ながら、俺は自信満々なネルの後を付いていった。



 「バイホーンラビット……ですか。」

 「そ。それでアリシア、ゴブリンをたくさん倒したときの魔法を使ってくれるかな。そうすれば何も気にせずに倒せると思うんだ。」

 「……いいですけど。」

 アリシアは俺の方を見て、そのあとネルを心配そうに見つめた。

 考えていることはわかる。

 「ネル。」

 「なんだい?」

 「また空を飛ぶことになるぞ、大丈夫か?」

 「へ?」

 「あの魔法はな、威力は高い分結構不安定で、上から落とすような簡単な方法でないと危ないんだよ。……この前アリシアが一人でトリケラに向かって使って自分で吹っ飛んでた。」

 「コテツさん!余計な事は言わないでください!」

 「君、デリカシー無いね。」

 ほっとけ。

 「で、大丈夫か?」

 「ん。」

 聞くと、ネルは両腕を俺に向けて伸ばしてきた。

 「はいはい。」

 彼女を俺に抱きつかせ、足元に板を作る。アリシアがその上に乗ったのを確認して、俺は板を上昇させた。


 で、ウサギの群れちょうど上空に到着。

 「アリシア、頼んだ。」

 「はい。」

 そしてアリシアは魔法を投下としはじめれば、ドカンドカンと爆発音が下から鳴り響き、下界のウサギ達は爆炎に飲み込まれた。

 あれからアリシアもかなり成長したのか、俺達のいるところまで熱を感じる。

 山火事にならないのだろうかと思ったものの、よく見れば火が一定の領域を出ようとすると風がそれを打ち消している。

 どうやらアリシアの魔法制御もかなり上達しているらしい。

 風の領域内に燃やすものがなくなって、火の勢いがある程度収まったところで、俺は焦土と化した地面に再び足場を降ろした。

 「はは、こいつはやりすぎだな。」

 周りを光景を見て苦笑い。

 「……すみません。」

 ほとんどのウサギが炭と化している。毛皮や肉はもうだめだろう。ただ幸い、角は幾つか残っているのが見える。

 「で、でも、凄い魔法だったよ。」

 アリシアの元に駆け寄ってネルが励ますも、彼女は申し訳なさそうなまま。

 話題を変えよう。

 「ま、取り敢えず今は3人で角をありったけ集めようか。」

 バイホーンがあると良いなぁ。……無いだろうなぁ。


 「ん。依頼報酬と素材の売却代の合計1960シルバー。」

 結論から言おう、バイホーンはいなかった。もう余程のことがない限りあの作戦は使わないでおこう。

 「ありがとうセシル。」

 約2ゴールドで合わせて90ゴールドか。100ゴールドが現実味を帯びてきたな。

 「ネル、大丈夫?こいつに変なことされてない?」

 おいおい、

 「何でそうなる。」

 「ダイナソー山での依頼を朝に出ていって夕方に2つとも終わらせて帰ってくる、これは異常。道のりは短い、けど道には魔物が結構出てくる。何をした。」

 へぇ、道中はそんなことになってるのか。

 「言ったろ?秘密だ。……で、護衛依頼は3日後か。何か報酬の高い依頼はないか?」

 「それぐらい、自分で探す。」

 ビッとセシルが指差したのは、依頼の紙が幾つもピンどめしてあるギルドの壁。

 ネルに目配せ。

 「セシル、お願い。」

 「これが一番高いよ。」

 華やかな笑顔で取り出されたのは1枚の紙には……

 「えっと……未確認生物の調査ぁ!?」

 ……そんなことが書いてあった。

 悪い予感がする。

 「そう、最近あのゴブリンの森を燃やした黒い影がまた表れた。今度はダイナソー山。また災害を起こされても対処できるように調査する。」

 うん、予感的中だ。

 「へ、へぇ。でもちょ、調査は時間が掛かりそうだからな。な?ネル。」

 「え!?そ、そうだね。ほ、他にはない?セシル。」

 「じゃあこれは?」

 次に取り出した依頼書を、セシルは今度はネルに直接手渡した。

 俺がさっきの紙を先に読み上げたのが気に食わなかったらしい。

 「えっと……へえ、珍しいね。フラッシュリザードの捕獲かぁ。」

 「うん。どこかの金持ちが風邪でもひいたんじゃない?」

 「いや、それならわざわざフラッシュリザードなんて欲しいと思わないよ。」

 「そうだね!」ニッコリ

 セシルは何があってもネルを全面肯定するんだな……。

 「なんだ?フラッシュリザードって薬草なのか?」

 聞くと、現・元受付所二人に怪訝な目を向けられた。

 「知らないの?フラッシュリザードはトカゲだよ。“その爪は万病に効き、その肉を食べれば10年間如何なる病も毒も寄せ付けない。”とか言われてる、物凄ぉく身体にいい蜥蜴だよ。貴族や金持ちの商人が毒殺を恐れて時々依頼してくるんだよ。」

 「あーなんか聞いたことあるな。……でもそれって私兵とかで何とかしないのか?」

 貴族が自分の武力を少しも持たないなんてことはないだろう。

 「栄誉ある貴族の兵士に蜥蜴探しをさせるわけにはいかないんじゃないかな。雇い主として。」

 そんなもんか。

 「じゃあそれで行こうか。何匹だ?」

 「捕まえただけ持ってくれば全部換金してくれるらしい。一匹50シルバー。」

 おっ、20匹で1ゴールドか。こいつは稼げるかもしれん!



 早速、3人でイベラムを出た。

 「そういやフラッシュリザードってどこにいるんだ?」

 そして今更ながら聞くと、ネルとアリシアが目を見合わせた。

 「あのね、フラッシュリザードは何処にでもいて、どこにもいないような魔物だよ。どこにだって生息を確認されたことはある。だけどね、捕まえようとすると、一瞬で逃げてしまうんだよ。すばしっこくて、一匹捕まえるだけでもかなり大変なんだから。」

 「そうですよ、私なんて少し前まではお伽噺の生き物だと思っていたんですから。」

 ……実在するツチノコみたいな感じか?

 「そうか、じゃあ日が沈んだらここに集合ってことにしよう。」

 「え?自力で探すの!?」

 「流石に無理があると思いますよ?」

 「どうせ暇なんだし、いいだろ?」

 びっくりしたような二人に肩を竦めて返す。

 「ふーん、じゃあいっか。よし、アリシアはボクと一緒に探そう。一回くらいコテツに負けを味わわせないとね。大丈夫、ボク、実はフラッシュリザードは何回か捕まえたことはあるんだ。」

 「ま、頑張れ。」

 何故か俺が目の敵にされてるのに苦笑しながらそう言うと、ネルは若干怒りを含んだ笑みを浮かべ、アリシアの手を取った。

 「くっ、この!行くよアリシア!目標は打倒コテツ!」

 「そうですね。一緒に頑張りましょう!」

 アリシアまで張り切っちゃってまぁ……。

 「じゃあ集合はさっき言ったように、ここ、日が沈むまでだ。いいな?」

 二人は頷く。

 「よし、稼ぐぞぉ!」

 腕を天高く振り上げる。

 オーッ!……というのは幻聴だった。

 「「?」」

 現実は疑問符だらけになった、整った顔2つ。

 あらら……そんな文化はなかったか。

 「うん、まぁ、解散。」

 俺は高く上げた手をふらふらと揺らし、開始の合図とした。

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