そのさん
花嫁衣装は流石に普段着には向かない
もう一度俺の意志で着替えて貰う事になった結果
『メイド服』になった
……… もう殺してくれ………
意外に『メイド服』をピノが気に入った
「これで御奉仕できますね」
ああ そうだね ついイメージが変なイメージの方に定着してるけど
本来の複雑の用途は奉仕だよな『御奉仕』もう少し そっちのイメージではあるが
「今日は時間が時間だから もう寝よう」
炬燵で そのまま寝転び、目を瞑る
「お休みなさいませ 御主人様」
ピノは夜の挨拶を また三指を立ててする
それから自分も寝るのだろう キュイキュイと
暫く音を立ててたが それもすぐに止んだ
俺は低血圧気味である
起きる時は 少し寝ぼける時が多い
少し身を捩って周囲の物を確かめる 何やら柔らかい
暖かい 強く触ると指を押し返してくる
心地良いので その感触を味わう 耳元で声が聴こえた
「御主人様いけません」
俺は驚いて目を確実に覚ました
隣にはメイドが居る
そのメイドは等身大である
「うわぁぁぁぁぁ」
えっ?誰 えっメイド?えっメイドさんの胸を俺が触ってる?
パニックである
「御主人様のえっち」
赤い顔をしたメイドさんが上目遣いで俺を見る
「もしかしてピノ? どうして大きくなってるの?」
あたふたしながら状態を確かめる まだ俺の手がピノの胸を触っていたので
引っ込める
何故かピノは俺の手を名残惜しそうに見ながら答える
「私にも何故大きくなってるのかわかりません」
……何処か遠くの方でガタンと音が聴こえた気がした
「仕様で大きくなったわけじゃないんだね」
そう聞いてみる
小指を唇にもっていきながら
「はい そんな風には出来ておりません」
どうやら小指を唇にもっていくのは考える時のクセのようだ
その素振りを見ながら俺は違和感を感じた
そもそも違和感だらけだが
昨日聴こえてたキュイキュイって音が聞こえないのである
直感で確かめてみる ピノの腕を取ってみた
「御主人様何を?」顔を赤らめるピノ
確かめてるのは脈拍である 顔を赤らめてるから脈拍は少し早い
本当に生きているのだ
「…ピノ…昨日ピノは生きていると言ったよね
それは動けるって事だったの?
それとも血が通って呼吸してるって事だったの?」
「呼吸ですか?私は動ける事が生き…」
最後まで言えない ピノも自分が生命活動をしてる事に驚いているのだ
「やはり人間になったんだね」
俺は導き出された答を口にする
「どうやら そのようです」