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魔の法則と始まりの誓言  作者: Edelweiss
1/2

01 始まりは天より

不定期更新です、ごめんなさい

ミゼール王国首都セリアより東に10㎞....



空は澄み渡り一片の曇りもない



そこに一人の旅人...


「いい天気なのはいいですけど暑いですね」


ローブのせいで性別は定かではない


ローブを羽織っているからだろうか


その人物は暑そうに手を仰ぐ


ここ〈ララスの眠りの森〉では今日も眠りに(いざな)われ冒険者と呼ばれる人々が行方不明になっていく


ローブの旅人は入り口に立っていた


「ここにあればいいんですが...」


そう、この旅人もこの森へ足を踏み入れる一人であった


森の入口は薄っすらと霧がかかっており、奥はよく見えない


「これは、みつけるのは大変そうですね...」


旅人はここに神玖(しんく)の霊薬の元となる神樹の葉を探しに来たのだ


神玖の霊薬とは人に憑いた悪魔を払うために必要な薬であった


旅人はこの依頼を受けこの森へようやくたどり着いた


「ここに行き着くまで一月(ひとつき)...間に合ってくれればいいのですが」


そして、旅人は歩を進める


目指すは森の深層の泉...神樹はその近くにあるという









歩くこと半刻、未だに目的の場所には着かない


この森はS危険区域に指定されている


危険区域は全部で4つあり下からB、A、この森と同じS


そしてER(エラー)と呼ばれるランク外である


危険区域指定されているものの、立ち入りが禁止されているわけではないため


毎年一定の犠牲者は出ている


ER区域にだけは立ち入りが禁止されており入る為にはある一定以上の実力と身分が必要である...


半刻を歩いているのに戦闘は一度も行われていない


それはここララスの眠りの森に危害を加える生き物が生息していないことが原因である


では何故この森はS危険区域なのか?


それはこの森に生息している植物全てから眩惑効果のある霧が立ち込めているからである


この森に足を踏み入れた者は惑わされ、そして眠りにつく


その後この森の養分となる


ならなぜこの旅人は無事なのだろう?


簡単なことである、この旅人の身に着けているローブは特殊な加工がされており


かの魔法使いの1人が作ったとされる祓いのローブと呼ばれる物だからである


このローブにはあらゆる状態異常を祓いそして使用者に少しずつ耐性を付けていくという代物である


このローブのおかげで魔物が蔓延らないこの森は旅人には快適な空間であった


「やっぱりこのローブは凄いなぁ」


そして旅人は歩く


一つの運命に向けて....








開けた空間...そこにポツンと大きな泉が


中央には天高く伸びる一本の木...いや神樹が佇んでいる


「ようやくみつけた」


安堵の声を上げる旅人




さてここで1つこの世界の常識を教えておこう


この世界には魔術師と呼ばれる存在が数多くいる


魔術師とは魔術と呼ばれるものを使う人々の総称である


魔術とは嘗て始祖が7人の魔法使いに教え導いた魔法を元に作られたものである


魔法は理を捻じ曲げあらゆる奇跡を可能にしたが魔術にはそれができない


ルーンと呼ばれる文字を組合せ一つの(カタチ)を作る


それに魔力と呼ばれる生命の力を流す事で発現する


無力だった人々が魔法を真似て作られた技術であるが故、誰にでも扱う事ができるがしかし


天才と呼ばれる者でさえ、天を裂き、海を割り、地を穿つことは不可能であった


さて、また詳しい話は後ほどにしようか


今はこの旅人を見守ろうではないか





旅人は懐をあさる...


手にしたのは人切れの紙、そこにはルーンがひとつ描かれている


「これなら風の加護でいいかな?」


ルーンに魔力を流す、それと同時に風が、少しずつ旅人を包んでいく


旅人が発現させたのは風の加護と呼ばれる簡単な魔術である


風を忌み嫌うものでなければ誰でも扱う事が出来る初歩的な魔術であった


本来ならば微弱な風を吹かせ使用者を飛び道具による攻撃から守るものである


ただし旅人の足は地を離れる


そのまま浮かんでいき葉を摘む


腰に付けた袋が膨れたころまた地に足を付けた


この旅人は周囲から神童と呼ばれる者であった


空を飛ぶならもっと複雑なルーンを描く必要があるのだが、簡単なルーンで空に浮く


そんなことができるのだがら周囲からもてはやされるのも自然であった


「まだまだ、私は及ばないですね...」


旅人はそれでもまだ自分は未熟だと思っていた、才能があっても努力をしなければいつか抜かれる


手入れのされない武器が錆び付き使われなくなるのと同じように


旅人の目指す先は魔法使いであった


この世の理を捻じ曲げ、奇跡を実現される者、そんな存在になりたかった


今度こそは自分の手から大切な者達が溢れ落ないように...


そんなことを考えていたせいか、はたまた神のいたずらか


運命の針は進む...その針は止まることを知らない


ブレーキの壊れた車が止まることが出来ないように


これもまた必然だったのだろう


出逢いが果たされる





不意に風が凪ぐ


何故だろう、その時、私は空を見上げた


空に浮かぶ太陽...その中心に黒い点が1つ


「・・・・ぁぁぁ」


声が聴こえた、黒い点が大きくなっていく


「ぁぁぁぁぁああああ」


なんだろう?...人である


空から人が落ちてきた


「あああああああ、そこどいてえええええ」


人が叫ぶ、だが私はその声には従わなかった


もう一度風の加護を使う


下から風が吹く、その時ローブが揺らぎ私の顔があらわになる


勢いはだいぶ落ちたが人を受け止めるには足りなかったようだ



ドガッ


「きゃっ」



私と人がぶつかる


人は驚いていたようだ


それもそうだろう


私が女だなんてローブのせいでわからなかっただろうし


「痛てて、えっと...大丈夫?」

人が問う


その問に私は答えた


「は、はい、一応大丈夫です」








ついに出逢いが果たされた


動き出した運命の針は止まれない


ただただ針は進み続けるだけ...

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