⑤やっとわかりました(by三人目)
「なにこの館、マジアトラクション(若干目が虚ろになりつつある常葉)」
「いやぁ、外から見た時ちょっとデカイなとは思ったんだよね(ちょっと乾いた笑みを浮かべる一実)」
「なにこの迷路……って言うか、ちゃうやん。ちょっと大きそうが、それどころじゃないとか。目の錯覚?」
「いや、普通に広いんやと思うけど。……別に同じとこぐるぐる回ってもいないし」
「しかも純和風家屋だと思いきや大正浪漫も入ってるとか……後半はお母さん好みだな」
「姉ちゃんは純和風の方が好きやもんね」
「うん!大好き! 落ち着くし、和風らぶ!」
「はしゃぐなって……」
「我が部屋は和室を希望! もしくは二段ベッド以上がある部屋! もちろん一番上、もしくは真ん中は私が頂く!」
「誰と相部屋になる気だよ。俺とか?」
「お前の部屋に二段ベッドがあるなら寝る時だけお邪魔するよ」
「なんでだよ(笑)」
「というか、どうしようかねーコレ。そろそろマッスル常葉は腕が疲れてきたよ(手元のダンボールを見る常葉)」
「マッスル姉ちゃんでもダメか……(笑いながら手元のぬいぐみをぽすぽすなでる)」
「……(一実とぬいぐるみを見て真顔になる常葉)ちょっと持ってくんない?」
「おいお前ら」
「はい?」
「え?」
「どこに迷い込んでんだ。父さんから何か聞かなかったのか?(不遜な態度の青年が鋭い眼光で常葉達を見る)」
「えーっと……(若干怯えながらちらりと常葉を見る)」
「うん、特に何も聞かなかったよね? 一実?」
「え、うん。空き部屋を好きなように使って下さいってだけ……(― あの眼光になんとも思わない姉ちゃんすげぇ!? ―)」
「まさかこんな広いと思わなかったから……間取り図をもらったらよかったね(― ははー、一実超びびりすぎー、ウケるわー。とでも思わねぇとこの姉だってビビって会話できねぇんだぞ ―と、一実を見ながら苦笑する常葉)」
「ったくあの爺(舌打ちをすると常葉達に向き直る青年)……おい」
「はい、常葉と言います(にっこり爽やかな笑顔で振りむく常葉)」
「お前らの部屋はそっちじゃねぇ。来い」
「はい、こちらは弟の一実です。宜しくです(手で一実を指しながら頭を下げる常葉)」
「……(ちらりと常葉と青年を交互に見る一実)」
「………(眉をひそめながら二人を見る青年)」
「(にっこりと笑いながら)ふっつか者ですが、これから宜しくお願い致します」
「…………(眉間に指を当ててからため息をつく)高見澤祐だ」
「あ、宜しくお願いします(慌ててお辞儀をする一実)」
「……あと、荷物、貸せ。んな重いもん女が持つな」
「「………(互いに顔を見合わせる一実と常葉)」」
― この人なんか、まとも!? ―
― だな。びっくり。 ―
「ありがとうございます、祐さん!(笑顔で顔を向ける常葉)」
「………(ぴくりと眉を動かす祐)」
「あ、私より年下なんだっけ? 確か一実と同い?」
「だったっけ?(祐の反応にびびりながら常葉と祐を交互に見る一実)」
「………(さらに眉をしかめる祐)」
「じゃあ改めて、宜しくね、祐」
「え、呼び捨て?(― 姉ちゃんこええぇ! 怖いもの知らず過ぎてこえぇ! ―)」
「や、君付けは私に似合わんから(顔の前で手を振る常葉)」
「いやいや、むしろ外見大人しそうでお似合い(顔の前で手を振る一実)」
「だが中身はこんなだ、残念(非常に遺憾な表情をする常葉)」
「自分で言うなよ」
「お前ら……」
「うん?(素で振り返る一実)」
「なに? 祐?(同じく振り返る常葉)」
「……………………(眉間に指を当てて溜息をつく)。……案内いらねぇのか?」
とりあえず黙ってついて行きました。
「姉ちゃん、俺、あの眼光怖いわ」
「さよか?」
「姉ちゃんすげぇな」
「なにを言う。姉はお前に負けず劣らずチキンだぞ、ほら(プルプル震える手を握らせる)」
「……顔に出ねぇ姉ちゃんすげぇ」
「それが大人ってもんなんよ…」
「……(こいつらなんなんだ)」
結局黙ってはいない。




