表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
深淵の魔術師  作者: 鎖
9/14

終末へ

僕はオウル村廃墟の自宅で療養していた。


限界が来ていたのだ。


魔力水薬を使ったとしても

闇の魔法が僕の体にかける負担は決して小さくはない。

更に魔力水薬を常用する事で

その服作用が体を蝕んでいたのだった。

僕は齢20にして臓器は老人のそれと変らなかった。

しかし、これは老化ではなく劣化だ。

時間をかければある程度は回復が見込める。


「ぐふっ……」


僕はベットの上で血を吐いた。


そう時間が必要だ。長い長い時間が必要だ。



ガシャン!


突然、窓ガラスを割り火矢が何本も室内に飛び込んできた。

部屋に火の手が回る。火の回りが早い。

おそらく家全体に火矢を放たれているのだろう。

僕はベットから飛び起きると、戸棚を開けた。

魔力水薬は2本しかなかった。

僕はそれを手に取り外へ出た。


ハイランド王国の軍勢だった。

何千という大軍勢が僕の家を取り囲んでいる。

何でこんな時に来てしまうのか。


その軍勢の中、馬に乗った1人の男が前に進み出た。


「貴様が深淵の魔術師だな!? 長きに渡り国民を苦しめた罪は重いぞ!」


誰だこの豚みたいな男は?


「このハイランド王国の右大臣、ドーンが貴様を討伐してくれる!」


お前がドーンか。


「神の信託により、貴様がもはや魔法が使えぬ程衰弱している事は分かっている!」


神の信託? ああ……教会の神父が教えたのだな。


「異教徒共々、公開処刑にしてくれる!!」


……。


異教徒、共々、だと?


そうか。そうなのだな。


神父が売ったのは、僕だけではないのだな。

教会ごと売ったのだな。

孤児達も売ったのだな。

エルザも売ったのだな。


そして、それを処刑すると言うのだな。


本当に、本当に、本当に醜い。


「――人間め!!」


僕は手に持った魔力水薬を飲み干した。

魔力が漲るのを感じるが、これは偽者だ。

今、この瞬間にも僕の体を蝕んでいる。


逃げるべきなのだ。


頭では分かっている、この軍勢を相手に戦うなど正気ではない。

しかし、殺さずにはいられない。


その神父を、この大臣を、人間を!


「……道であり、真理であり、命――!」


目の前の軽装歩兵に向かって呪文を唱える。

その歩兵の足元から何体ものスケルトンを召喚すると、

瞬く間に乱戦になった。


僕は休む事なく呪文を唱える。

人海戦術で来られたら、勝ち目はない。

先手を取り続け、それに対応してる間に大臣を殺し、

軍隊を散開させるのだ。


「……闇の胎動は、古の真理――!」


凄まじい雄たけびと共に大地が割れ、

その隙間から岩で出来た巨大なゴーレムが現れる。

5mはあろうその巨大なゴーレムは

兵士達に動揺を与え、怯ませた。


怯んだ兵士に畳み掛けるように

何枚もの爆砕符を投げる。


それは瞬く間に爆裂し、

彼等の頭を腕を体を足を吹き飛ばした。


目の前で起こった事態に、

実戦経験の乏しい王都の兵士は恐怖した。

叫び声を上げて我先にと逃げ出し始めたのである。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ