結末 1
ブチブチと体中の血管が破裂する。
まだこんなに残っていたのかと思う程、
全身から血が噴出す。
痛みなど、もはや感じなかった。
「転移魔法か!? 貴様、死ぬぞ!?」
グエインの声が聞こえた。
死んでもいい。エルザを助けられるなら、死んでもいい。
そう思った。そう願った。
「ぐぅぅぅあぁぁ!!!」
耐えられない。
魔法の力に僕の体が耐えられないのだ。
腕がガクガクと激しく揺れた。
奥歯がガチガチと鳴った。
死ぬ。このままでは死んでしまう。
いや、死ねない。
「……っけるんだ」
「何?」
「助けるんだっ!! 今度こそっ!!」
僕の叫びと共に、その体は宙に消えた。
――・――
ハイランド王国の王都では、異教徒の弾圧として
公開処刑が行われようとしていた。
首謀者はエルザ・バナリー。
神父の勇気ある告白によって、
愚劣な布教活動を阻止したのだとか。
彼女は断頭台に首を通し、隣には大きな斧を持った男が立っている。
その奥の城壁で、ハイランド国王が最後の質問をしていた。
「首謀者よ。言い残す事はあるか?」
「……はい」
「申してみよ」
「迷える憐れな子羊達よ、
強く、強く、誰よりも強く
そして誰よりも優しく生きなさい」
断頭台を見上げる孤児達は一斉に泣き出した。
「どんな罪も、それを後悔し、懺悔しなさい、
私はそれを神の御名において許します」
「例え……どんな罪……でも……」
「魔術師……」
やがて国王は、斧を持った男に目で合図を送り、
振り上げた手を、下ろした。
「エェェェルザアアァァァァァ!!!!!!」
見える。
人だかりの奥の断頭台にエルザがいる。
「魔術師!!」
エルザが叫んだ。
邪魔だ。お前も邪魔だ!
僕は人の群れを駆け抜けていく。
「し、深淵の魔術師か!?」
国王の声に兵士達が防備を固める。
おそらく僕が断頭台の奥にいる国王を狙っているとでも、
勘違いしているのだろう。
だが、今はそんな事どうでもいい。
助けるんだ。必ず助けるんだ! どんな事をしてでも!!
何百人もの警備兵がたった1人の僕に群がる。
「邪魔だぁぁぁぁぁ!!!!」
目の前の兵士を、爆砕符を握った右拳で殴る。
僕の右腕と共に兵士の頭が炸裂した。
これしかないのだ。
微量な魔力ですら、手から放つ事ができない。
だから直接、魔力符に触れなければ発動できなかったのだ。
首から上がない警備兵の死体に、
回りの警備兵が怯む。
その瞬間、胸に強い衝撃を受けた。
見ると、そこには、僕の胸には、
矢が刺さっていた……。




