ここはどこ?私は誰?
目が覚めたら森のなかでした。
はい。意味不明。
それでも私は落ち着いていた。
なぜなら…さっきまで一通り騒ぎ散らしたからだ。
「なんなのここ!あり得ない!百合は?つーか、あの占い師、今度あったら〆る!てか、ここどこよー!」
とまぁ、こんな具合に。
大声で騒ぎ散らしたにもかかわらず、聞こえるのは鳥の鳴き声だけ。
少なくとも周囲に人は居ないらしい。
ならばどうするか?
この森を抜けるために体力温存するべきである。
荷物は学校のかばん、着ているのはセーラー服。
はっきりいって、サバイバルには不適切な格好と装備だ。
しかも食料はポッ○ー一箱とかなり心もとない。
「とりあえず歩くか…」
現状を確認した私は森を抜けるべく歩き出した。
どっちに行けばいいのかは全くわからないが、人の気配がしない場所でじっとしていたところで救助が来るとは思えない。
こんなところで死ぬのは真っ平ごめんだ。
まだ17歳だし、あの占い師だって一度殴ってやらなきゃ気がすまない。
「意気込んだはいいものの…森から出られる気がしない…ん?」
日が傾き、森の様相が変わったこともあって、弱気になりかけてた頃、私のもとへ人の話し声が聞こえてきた。
「やった!人が居る!」
私は走った。声の聞こえた方へ。
どうやら自分で思うより人恋しかったらしい。
声が近づくにつれ、様子がおかしいことに気づく。
(なんか言い争ってる?)
そう感じた私は木の陰から様子をうかがってみた。
(男が四人…五人?女の子が一人…って女の子!?なんでこんなところに?)
中学生くらいの西洋人形のような女の子が森のなかに居ることに違和感を感じながら、会話を盗み聞きすることにした。
情報収集は大事なのだ。
「フィーナ様、覚悟!」
「させない!王女様!お逃げください!早く!」
「お前一人で我らに敵うと思ったか‥愚かな‥」
「マティス!」
「お逃げください!今のうちに!」
「おい!フィーナ様を逃がすな!」
(えーっと…何事?映画の撮影…にしてはカメラもないし…)
思わずポカーンと口を開けてしまった私は悪くないはずだ。
そんなとき、フィーナと呼ばれていた女の子に剣の切っ先が向かった。
「危ない!」
咄嗟に叫んでしまったのをすぐさま後悔した。
なぜなら今現在、全員の視線が私に向いているからだ。
「誰だ!貴様!」
忍者スーツのような服を着ている男が苛立ったように私に尋ねる。
「えーっと、迷子?です」
「ふざけるな!珍妙な格好をしおって!」
珍妙な格好と言われても、私だって好き好んでこんな格好で森をさ迷っているわけではない。
「あの、森の出口を教えて欲しいんですが…」
脳内パニック中の私は、何とかそう言うのが精一杯だった。
そんな私に忍者スーツAは鼻で笑う。
「ふっ、お前は馬鹿か?見られたからには生かしておけん!死ね!」
「はぁ?いや、殺されるのは困るんだけど…」
「問答無用!」
私に向かって剣先が迫る。
もうだめだ、そう思った時、私の体から出た閃光が森を包んだ。




