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その1「適当神降臨!?」

ここは埼玉県のとある高校の屋上


そこに少年1人少女1人が居る


なにやら長テーブルを広げ少年が少女の話しを聞いている


「それでですね……

 テニス部の部長と私のご縁はどれ位ありますか……?」


頬を赤く染め少女は妄想世界に入りつつも少年にそんな相談を打ち明ける


「貴女のお悩みは分かりました

 早速占をはじめましょう!」


僕の名前は占・信汰うらない・しんた18歳


奈良時代から続く占を得意とする一族占家うらないけの三男


今僕はこの高校


私立・新来高校しりつ・しんらいこうこうに通っていて


たまにこうやって悩める学友の為に占いをしてあげている


「準備が整いました

 どれでも好きな線をお選び下さい」


そう言って手渡したのはB4用紙の下が折られ上の方には4つの線が引いてある


それを見た少女はぽかんとしながら尋ねてくる


「えぇーと……これって阿弥陀くじですか?

 これも占いなんでしょうか……?」


聞かれると思った……随分経つけどこの質問にはあまり答えたくない……


「はい!どうぞお選び下さい!

 大丈夫!自分を信じて選んで下さい!」


はぁ~我ながら臭い台詞を沢山覚えたよ……


それもこれも原因は後ろに居るこいつのせいだ……


信汰が後ろを振り向くとそこには着物姿の幼い少女が金平糖を食べながら


占の様子をまじまじ見ている


「ふむ!ではそろそろ妾も仕事するかのう!」


少女は腰を上げ扇子を持ち宙高く舞い上がると舞を始める


どうして少女は驚かないかって?


だってそれはこの子が僕や占家の人しか見えない特別な存在


神様だからだよ


さかのぼる事信汰の18歳の誕生日


長野県のとある一角に聳え立つとても大きな1階建の家


ここが占家の総本山である


ここでは日々己の占の力を高める為占家の一族が修行をしたり


大事な事があると一族全員が集合する場所である


そして今日は大切なとても大切な日


占・信汰18歳の誕生日と信汰の成人の儀式である神卸しかみおろし


執り行われる日である


占家では18歳を成人として認め成人した者はその身に1体


占の神様を卸す事になっている


占の神様をその身に宿す事によりその者の真の占いの才を覚醒させる事が出来る


更に付け加えると信汰は過去まれに見る占の才能を持つ子供である


水占、星占、手相占と言った数々の占をほぼ確実に当てる事が出来る


占家の人間の占の的中率は世界が認める物でありその的中率は最高で85%


その記録を収めているのが現占家345代当主の占・桐子うらない・きりこばあ様


しかし信汰のその的中率は桐子を凌ぐほどでありその的中率は93%


その驚異的な的中率に世界全土が注目している


故に信汰の成人の儀式には一族の中でも特に偉い者が呼ばれている


「いや~信汰様ももう18歳ですか

 速い物ですな」


「そうね

 当主様もさぞ鼻が高いでしょうに」


そんな会話が大広間で囁かれている


僕はと言うと今ばあ様の個室で一族への挨拶や神卸しの儀式の決まりを聞いている


「信汰よ

 皆お前に過度な期待をしておるようじゃが

 お前はいつもどおりにやればよい

 どんな神様が降りて来られようとしっかり受け入れるのじゃぞ?」


当主の威厳と言う物なのだろうか顔は信汰の緊張を解す為笑顔ではいる物の


その言葉の1つ1つに17歳の僕でも分るほどの重みが篭められていた


すると使用人の1人が大広間に一族が集合した事を伝える


それを聞いたばあ様は「さて!」と声を立て立ち上がる


僕もそれに合わせ立ち上がる


大広間に入るとそれまで騒いでいた一族の人達は一斉にばあ様と僕を見る


この大広間に集められている人達は一族の中でも長に当る人達で社会での地位も高い


その為こう言った時の切り替えは物凄く早い


「皆よう集まった

 では最初に信汰から皆に挨拶をする

 では信汰よ皆に挨拶を」


皆の視線が全部僕に集まる


出来る限り礼儀正しく挨拶を終えた僕はばあ様の隣に座る


ばあ様はまあ仕方ない事ではあると思うが長い長い話しを始める


話しを初めて30分が経過


ようやく話しが終わると丁度僕が生まれた日にちの時間になる


「では信汰お前はこれよりこの家の裏山にある社で神卸しをして参れ

 私達は慣わしに従いこの大広間でお前の成功を祈る」


ばあ様が手を3回叩くと皆は目を閉じただただ僕の成功を祈るのを始める


僕は一礼をし部屋を後にする


裏山の社は神卸しをする時に代々使われる神聖な場所


それだけではなくその建物自体が国宝級らしい


幼い頃から思ってはいたがどんだけこの家は金持ちなんだ!!!


そんな事を考えながら山を登ると目の前に社が見えてくる


流石に辺りは暗く使用人が先に来て用意して置いてくれたのか


蝋燭の火だけが道を照らしてくれる


社の扉を開くと中央に祭壇があり僕はそこに正座しまず用意された神剣で指を切る


流れ出る血を祭壇に捧げ手を合わせて祈りを始める


初めて数分あたりの空気が若干振動している事に気づく


流石の僕も少し怖い……


でもこの儀式が終われば念願の神様をその身に宿す事が出来る


僕は「絶対に成功させる!」「絶対に凄い神様を卸してみせる!」


その気持ちを高め祈りを続ける


そして次の瞬間蝋燭の光が一斉に消え祭壇が輝く


これは神卸しの成功を意味する


僕はそのあまりに美しい光に見惚れてしまい声が出なかった


一瞬物凄い輝きを放つと光は消えてしまった


僕は目を開けると急いで周りを確認する


すると目の前に真っ白な着物姿の幼い少女が扇子を仰ぎ立っていた


「ん?御主が妾の契約者かえ?」


透き通るような美しい声に一瞬何て言われたか分らなくなった


だがすぐさま僕は返事を返す


「はい!占家の占・信汰と申します

 貴女様はどんな占の神様なんでしょうか!?」


我ながら図々しい態度だとは思ったが夢にまで見た神様を前にこの興奮は抑えきれない!


そんな僕の嬉しさ満点の顔を見て神様はクスリと笑う


「やれやれどうやら御主は物凄くついておるみたいじゃな

 よく聞け!妾の名は阿弥陀!!!

 阿弥陀くじの神様じゃ!!!」


………え?


胸を張り「参上!!!」と書かれた扇子を空高く掲げる


しかし僕は一瞬何とこの神様が言ったのか分らなかった


いや聞き間違いであって欲しいとすら思った


そうこれこそが僕の運命を180度大きく変えてしまった日の出来事である

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