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Strange Hit Man ! !  作者: 赤神裕
第1章:変な殺し屋
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第十一話:ウルフとギジルと赤と青

新たな力を手に入れたウルフは再度ギジルとの戦いに挑みます。

それでは戦いの結末までをごゆっくりお楽しみください。

 ウルフの放った炎は地を這う龍のように身体を躍らせながらギジルに向かって飛んで行った。ギジルは慌てたそぶりを見せる。だがそれも一瞬のことで、ギジルは大いに笑っていた。


「ウルフ。頭に血がのぼりすぎて基本を忘れてはいるまいな。炎は水に弱い」


 ギジルはそう言い、青いオーラをまとって身体を粒子に分散させた。しかしウルフはそのまま地面に拳を押しつけた状態から動こうとはしない。ギジルは彼の顔を見る。彼の眼には黒目がなかった。真っ白でどこを見ているかは分からない。気絶しているのかとギジルは思ったのだが、その考えはすぐに消え去った。ウルフはまっすぐにギジルの方へ顔を向けており、ギジルが少しでも動くとそちらへ首を動かして、それと同時に炎龍も身体をまげて襲ってくるのだった。ギジルは身体を全て粒子に変えてあちらこちらへと飛び回る。どこかでジュッと音がし、ギジルは呻き声を上げる。その声を聞くと白目のウルフが口を開いた。


「その基本は普通の時だ。ただ、俺の炎龍の温度が水の沸点よりも上。つまり100℃以上の高温だとしたら、どうなる?」


 ギジルは身体を元に戻し、ウルフを睨みつけた。やはりこちらから見ると視線がどこを向いているのか解らない。炎龍がギジルに向かって飛んでくる。それを側転でかわす。ギジルは手を液体状にし、炎龍に向かってそれを突き出す。しかし、炎龍は瞬時に身をよじらせギジルの腹へと突進、命中した。ギジルの身体は煙を上げ、彼自身は苦しそうに呻く。その煙は彼の身体から発生する水蒸気であり、また肉体そのものでもある。つまり、燃やしつくされればそこには骨すら残らないのだ。ギジルはそうなる事を悔しがり、意地でもそこから逃げようとする。だが、炎龍は更に火力を増して深く突き刺さって行った。やがて炎龍はギジルの腹を突き破り、後方で微かな爆発音とともに消え去った。ギジルの腹にはぽっかりと穴が開いており向こう側が見えた。


 ギジルは青いオーラをさらに強め、拳に力を込めるとそれを地面にたたきつけた。地面が揺れてひびが入っていく。ウルフは咄嗟とっさに右方向へ飛んで避けるが、地割れの方が一歩早くウルフの着地地点をなくした。ウルフはそのまま下へと落ちていく。ギジルはもう片方の拳を地面にたたきつけ、更に地割れを起こしてウルフを生き埋めにした。地表は酷く荒れ、その傍らに下半身だけ凍ったユーマがいた。ユーマはうつむいて泣いている。沈黙が続き、ギジルは今までにない大声で笑った。その笑い声は空気を振動させ、ユーマの氷にひびを入れた。


 ユーマは両手に力を込めて、ごくわずかながらも炎を作り、下半身の氷を溶かした。ギジルはその様子には全く気付いていない。ユーマは怒りにまかせ、できる限り手に炎を燃え盛らせてギジルに突っ込んでいった。ようやくユーマに気付いた彼は、難なくそれをかわす。すると下からとてつもなく熱い炎が噴き出してきた。そしてその炎は壁を作り、ギジルとユーマの視界を遮った。その炎の壁の中に人影がある。それはユーマの方へと近づいてきた。ユーマは身構える。その人影は走って炎から出てきた。ウルフだった。彼の目は通常に戻っていたが、黒目の部分は赤くルビーのような色をしていた。


「ユーマ、心配かけた。戦えるか?」


 ウルフはまっすぐユーマの目を見る。ユーマは不安そうな顔をしていたが、口をグッと結ぶと力強くうなずいた。それを見るとウルフはユーマの手を握る。ユーマの身体に力がみなぎってきて、赤いオーラをまとい始めた。炎の壁は徐々に力を弱め、その代わりに二人の力を増大させた。ギジルが炎の壁が消えるのと同時に青いオーラを強大に放って両手を前に突き出すと、青い虎が現れて二人の前に立ちふさがった。ギジルの目は青く光っていた。ギジルが片手をも一度前へ突き出すと、虎は大きな口を開け二人を飲み込もうとした。二人は高く跳躍しそれをかわそうとすると、虎は上を向き飲み込もうと襲ってきた。ウルフはユーマの手を離し銃をサックから抜くと連射する。その弾は赤いオーラをまとって一直線に虎に向かって飛んでいくと、虎の体内ではじけ飛び煙を上げる。虎は一度地面に着地し、また襲いかかってくる。今度はユーマが手を燃え盛らせて胸の前でその手を合わせる。その後右手を前へ突き出し炎の弾を飛ばした。全弾命中すると虎はバランスを崩し地面にたたきつけられる。虎は小さな粒になると二人に向かって飛んでいった。その連射率はサブマシンガンをはるかに上回り、二人を弱らせた。二人とも地面に落ちる。


 小さな粒はまた集まり虎の姿に変わった。そしてまたまた襲いかかる。ウルフは咄嗟とっさに銃を連射した。先ほどよりも威力が強くなっていたのか爆発が激しく、虎は四散した。ギジルは右腹のあたりを押さえていた。どうやら彼は、自分の身体を武器として操れるらしい。


「それなら話が早い」


 ウルフは銃をギジルに向けて連射し、ユーマもまた火の弾を連射した。ギジルはそれを身体を分散させてかわす。だがダメージを負っていたためか、わずかの差でその弾を避けられなかった。


 そしてついにギジルは仰向けに倒れた。



 いかがでしたか? 今回は結構長かったですね。

赤の力を手に入れなかったらギジルを倒せていなかったと思います。今後の展開がどうなるのか、楽しみにしていてください。


Strange Hit Man ぷち


ウルフ「頭いてぇ……」

ヨルゲス「飲みすぎたか? 今日こそお前に勝てる気がするぞい」

ウルフ「それはズルじゃねぇか?」

ヨルゲス「うっさいわい、勝てばいいのじゃ」

ウルフ「うっ、ヤベぇ、ヨルゲスよげッ……P----」

ヨルゲス「こりゃああああ。なにするんじゃあああああ!!!!」


何が起こったかは想像にお任せします。(苦笑)


 次回の予告を少々。


ギジルを倒したウルフだが、ウルフはどうも浮かない顔をしている。そのわけとは?


次回 Strange Hit Man 真の始まり~前編~ 乞うご期待!!


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