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Strange Hit Man ! !  作者: 赤神裕
第1章:変な殺し屋
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第十話:火炎の狼

 ギジルの手によって凍らされてしまったウルフ。

ウルフの旅はここで終ってしまうのか!?


第十話、火炎の狼

ごゆっくりお楽しみください。


 

 ギジルは森を抜けて町に来ていた。辺りをキョロキョロと見回し何かをさがしているようだ。そんなギジルの目の前を人力車が通りかかり目の前で止まった。


「ご利用しますかな?」


 灰色っぽいロングヘアーに派手なはっぴを着て、足袋たびをはいた歳のとった小さな男がその場で足踏みをしながら尋ねる。ギジルは首を振り乗らない事を告げたが、男はまだその場で足踏みをし行こうとはしない。ギジルは仕方なく人力車の横を通り過ぎようとした時、人力車が後ろへバックし、ギジルの足に乗り上げた。


「ぐあッ!? 痛ぇだろうが。何しやがんだ、このクソじじい!!」

「申し訳ありんせん。あっしは頼まれてここに来てる者で」

「お喋りはいいから早くその人力車を俺の足からどけろ!!」


 ギジルが痛がって告げると男は一礼し、人力車を進ませた。ギジルはかがみこんで踏まれた足をさすった。そして男を睨みつける。しかし男は怖がっておらず堂々としており、知らん顔をしていた。その態度に腹が立ったのか、ギジルはいきなりその男に殴りかかった。結果、ギジルは人力車にもろに突っ込みそのまま逆側へとずっこけた。男の姿は既にそこにはなく人力車の荷台に立っていた。いつ着替えたのか、先ほどまでの服装は一変し、赤をベースに金箔がまぶしてあるような柄と金色の糸か何かで翔龍の絵が描かれた中国風の服装になっていた。髪もまた後ろで一つに結ばれており、中国を思わせるような姿に見えた。

 

 ギジルが目を丸くしていると、男はそこから高く跳躍しギジルの頭にちょこんと乗った。ギジルは頭の上にいる男を落とそうとするが、全てかわされ挙句の果てには自分で自分の頭を思い切り叩いてしまった。ふらふらしてようやく落ち着くと男が口を開く。


「無駄なあがきだヨ。そんな事より、ウルフの始末は終わったのカ?」

「俺に命令するなクソ爺。何者だ、お前は」


 男は『しぇっしぇ』と笑い、ギジルの方に手を突き出した。ピッとギジルの横を何かが通りすぎ、その後ギジルの頬をヒリヒリとした痛みが襲った。手をやると小さく、細かく一直線に切れており、そこから血がにじみだしていた。何が起こったか解らないギジルはただ目を丸くしているだけだった。そしてハッと気づき、彼を恐怖が襲う。そいつは噂に聞く、ベルモンドの右腕。ギジル自身ベルモンドに会ったことはないが、最近噂にだけは聞いていた。その右腕の奴こそ、この目の前にいる男――――


 从到ツォンダオだ。从到は彼を見てまた笑う。


「ウルフはまだ生きていル。もう一度行って来イ」


 从到はそう言うと、ギジルを右手でポンと押した。途端、ギジルは目の前が真っ暗になりその場に倒れた。気がついたときにはウルフと再会した場所……。森の頂上で寝転がっていた。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 ギジルがその場を立ち去ってからどれくらい経っただろう。少なくとも一時間は経過していた。太陽が少し南寄りに上がった時、一人の男が氷漬けになったウルフに近寄る。しかしそれは黒く、立体ではあるのだが顔も何もないものだった。影だ。ウルフの影が勝手に地面からはがれ、じっとウルフを見つめている。次にその姿はウルフそっくりの姿になった。そして彼に話しかける。


「お前はこのまま凍ったままでいいのか? もう立ち向かう気力もないのか? 現実から逃げようとしていないか? このまま、死んでもいいのか?」


 色々な質問をウルフに投げかけてくる。しかしウルフはびくともしない。


「ほら、敵が来たぞ。そのまま凍ってていいのか? それなら俺はお前を見捨て、新たな主人の元へ行くぞ?」


 ウルフの手がわずかに赤く光る。


「そうだ、それでいい。お前は俺の仲間を見つけた、その赤き力お前に授けよう」


 地面が激しく揺れだす。氷にひびが入った。


「なんだ、これは」


 先ほど目を覚ましたギジルが目を丸くしていた。冷凍されたはずのウルフが、氷を突き破って出てきたからだ。ウルフの身体は赤く燃え盛る炎をまとっていた。ウルフは無言のまま拳を上へつきあげて、地に叩きつける。すると炎は地を這う龍のように身を躍らせながらギジルに向かって飛んで行った。


今回はギジルとウルフの両方にカメラを向けて、最後にまた一つのカメラにするといった方法で書いてみました。分かりづらいかと思いますが、こうすることしか思いつかなかったんですね~。


<Strange Hit Man プチ>


ウルフ「はぁ……」

ペティ「どうかした?」

ウルフ「いや、最近どうも変な声が聞こえてな」

ペティ「耳鳴りかしら?」

ウルフ「分からない。ただ、俺の事を主人とか言ってたような……」

ユーマ「そ、それって……」

ウルフ「どうした、ユーマ?」

ユーマ「私も同じ事があったの。よく分からないんだけどね」

ウルフ「そうか、何か悪い事が起きなきゃいいがな」

ペティ「……。」

ウルフ「お、おい。どこ行くんだよペティ!! 酒代は? ペティいいいいい!」


次回の予告を少々。


 再び、ウルフとギジルの二人は相見えることになる。赤き力を手に入れたウルフと青いオーラをまとい始めたギジルとの真剣勝負。その勝負の結末は……。


次回、Strange Hit Man ウルフとギジルと赤と青 乞うご期待!!


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