白くて丸くてつやつや
明日一日分の米を炊いた。
米櫃から測る時、なにか妙な音がした。
米びつを覗いてみるが、特に問題ないので、そっと閉じた。
朝に炊けるようにタイマーセットする。
次の日朝ごはんを食べようと、炊飯器を開けたら何か丸くて潰れたようなものがところどころあった。
そんなに大きなサイズではなく、触ってみても硬さもない。
備蓄米だからだろうか?
かなり美味しくないしね、これ。
硬いのと柔らかいのが混ざってて、とにかく臭い、ぱさぱさしていて不快まである。
と思いながら炊飯器の米をかき混ぜていく。
そのまま食べるが、特におかしな所はなかった。
お弁当にも持っていく。
帰宅した。
晩御飯で米を食べ終わり、翌日分の米を炊く。
米櫃からまた不穏な音がする。
もう一度見るとつぶつぶした、何かが入ってるように見えなくもない。
手で掬って確認してみる。
なにか白くて丸くて小さなつぶつぶがある気がする。
少し砕ける感覚があった。
備蓄米最悪じゃん、と思いながら洗ってタイマーオン。
次の日も朝食を食べようと掻き混ぜると、そこには昨日より立体的な粒が混じっていた。
朝の情報番組を観る。
画面上ではキャスターが、備蓄米の美味しい食べ方について説明している。
どれももう試したし、美味しくならないし。
と思いながらぼんやり見ていると。
「備蓄米には品質にむらがあるんですよね、硬いのと柔らかいのが混ざるとか普通ですから」
と言っているのが聞こえた。
「ふうん、やっぱりそうなんだな」
と思いながらお弁当を作って片付ける。
その日の夜は新しく入社した新人の歓迎会だった。
程々に楽しく過ごしたあと、タクシーで帰ると炊飯器のスイッチを切ったまま、残りの米を放置していたことを思い出した。
冷凍しようと炊飯器を開けると、今朝見た時より粒が大きくなっている、スプーンでひと匙すくってみる。
触ってみると米が妙に硬い、異物感というより備蓄米感のような気もする。
兎に角、冷凍しておく。
明日のお昼はコンビニでいいか。
そう思いながら眠りにつく。
翌朝、昨日冷凍した米を食べた。
解凍してみると、明らかにつぶが大きい。
白くて、丸っこくて、つやつやと輝いている。
美味しそう……と思いながらひとくち食べる。
途端に口いっぱいに。
じゃりじゃり、しゃりしゃり。
という音が響く。
舌で転がした瞬間、形がわかった。
これは乳歯だ。
私は、乳歯の混ざった米を食べていた。
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