プロローグ
世界で最も資産を動かしている人間は、国のトップでもなく、大手銀行の総裁でもない。
──それは、ある平凡な日本の住宅街に住む、ごく普通の女子中学生
年齢15歳。投資歴5年。IQは測定不能。
彼女の手にかかれば、株価は踊り、通貨は跪き、企業は「はいっ!」と元気よく買収される。
世界中の経済紙がその動向を追い、各国の首脳が恐れる、まさに“裏世界の支配者”。
彼女は今日も、カフェオレを片手にiPadをポチポチと操作しながら──
「……ふむ。兄さん、今日は雨なのに傘を忘れて学校に行きましたね」
その一言で、某有名傘メーカーの株価が急騰し、即日買収。
数時間後、兄のもとには“妹からの贈り物”として、金箔入りのハイテク傘がヘリで届けられることになる。
「兄さんが困るのは世界の損失ですから。仕方ないですよね♪」
彼女の行動原理はただ一つ。
「兄を守る」
そのためなら、倫理も経済も地球も、全部手段に過ぎない。
──さて、これは。
一人の高校生が、妹の“過保護を超えた愛”によって、日常をぶち壊されながらも、
なぜか誰よりも幸せに暮らしていく──そんな愛と混沌の兄妹ラブコメディである。