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非粛々  作者: 林幸
遺体
5/8

急転直下

「ここだよね?」

旅行カートをゴロゴロと引きずりながら社屋に入場。

アポはちゃんと取っておいたので、受付で事情を話すと中に案内してくれた。

部屋までの間、商品のディスプレイをついキョロキョロ見てしまう。スーパー以外で、しかもディスプレイ状態なんて本当にレアだ。写真撮りたい!

そんな気持ちをグッと抑え込みながらついていく。


小さめの会議室で、和彦の元同僚や上司の方から、まずはお悔やみの挨拶を受ける。が、私は家族ではないので、どう受け答えしたものやらしどろもどろだ。ええい!もう娘の唯に任せてしまえ!ということを態度で示し、ささっと後退する。

何故だか唯は物心つく前からこういう事には大人の対応ができるてしまうのだ。


事務の担当の方に交代し、手続きの説明を聞く。勿論、唯がメインなので、私は隣でコクコクと小さく首を振るだけだ。唯は納得できるまで聞くタイプなので、私なんかよりもずっと頼りになる。


そして話題がお金に絡む段になって驚いた。

大手企業に新卒で入社し、定年間際まで働いたのだから、相当な額の退職金が出るのでは?と思ってはいたが、それだけではなかった。

持株会、生命保険、積立等々、唯も「え?まだあるんですか?」などとメモを取りながらも呆れ気味だ。横でざっと目算しただけで合計額は退職金の2倍になっている。全く現実味のない額だ。


今後の段取りなどの打ち合わせを済ませて退出。莫大なお金をいただくのにお見送りまでしていただいて申し訳ない気持ちになる。

怒涛のような2日目も何とかこなし、あとは帰路に着くだけだ。大きめの駅で惣菜を買い込み、空港へと向かう。

飛行機を待ちがてらの夕食時、

「何だか金銭感覚が狂うよねえ」

「ほんと、自販機でいつもは買わない高いドリンク買っちゃったよ」

「私も高級惣菜買っちゃった。」

まだ大金を手にした訳ではないし、そもそも私には相続権がないというのに、頭がどうかしてしまったようだ。早く今までの感覚に戻らなければ!




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