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非粛々  作者: 林幸
遺体
4/8

撤収

時間が限られているので早めに動き始めることにしたのだが、和彦の部屋のトイレが汚すぎて使えないのには困った。駅のトイレは改札口を入らないと使えないし、スーパーにもトイレはなかった。これが治安が悪いということか?と心の中で文句をつけつつ昼食を食べに入ったファミレスに少し長めに居座る。

その間、家宅捜索で見つけた通帳やキャッシュカードを集め、電話で片っ端から問い合わせる唯。


2日目の捜索で新たな発見があった。どうやら和彦の兄と姉達ははかなり仲が悪いようで、親からの相続問題で揉めた形跡の残る書類が出てきたのだ。

その異議申し立ての代表者が法学部出身だからなのか、和彦になっていた。

遺体を誰も引き取らないというのはここから来ているのかもしれない。藪蛇になっては堪らないので、和彦の親族には敢えて連絡を入れないことにした。

事後処理を全て丸投げにしているのだから、口出しは無用という主張だ。


これ以上は無理、というところまで捜索したが、借金関連は出てこない。不安は残るが致し方ない。最新式の家電が至る所に埋まったゴミの巣を後にすることにした。

家電も処分業者に引き渡す理由?そんなのは決まっている。和彦が使っていたものなど、見るのも嫌だし、そもそも持ち帰れない。そして、売り払うにしても時間がない。


そうそう、ずっと書き忘れていたが、彼が倒れたのは出勤途中の駅。病院に運ばれてすぐに死亡が確認された。

これが自宅で発見となると、知り合いも親族もアリバイが求められて面倒なのだが、その辺りは何ともありがたい。

日頃の不摂生が祟ったようだが、享年59歳。30代から脂肪肝だったのを知る私としては「やはりな」といったところ。皆様もお気をつけて。


さて、後のことを大家さんにお願いし、彼の元職場に立ち寄る。大手企業の本社だなんて、滅多に入れるものではないので不謹慎だがワクワクしてしまった。


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