勝てない戦い
私は王太子の婚約者だった。公爵令嬢だ。
しかし王太子に婚約解消を申し入れられた。大衆の好む物語とは違い、両親と共に王城の一室で話し合いで解決されたもので、長年の拘束に対する慰謝料として女伯爵の位と金山まで与えられた。
未来の妃として教育を受けるだけでなく長年城に住んでいた。その年月は八年。
屋敷に戻っても両親や兄との仲はぎこちなく、周囲の侍女やメイドも城に住む前に勤めていた者は殆どが辞めている。周囲に気遣われてはいるが、結婚した兄の嫁が優先される為、私は部屋でただぼんやりと過ごす事が増えていった。
伯爵位をもらったのは、新たな結婚相手を選定し易くする為だった。伴侶を得た後には侯爵への昇爵も決まっている。……私が結婚しなければ、王太子が妃を迎えないと言うし、私の結婚相手はかなり幅広く選べる上に選定は城で行われている最中だという。
私は十歳で王太子の婚約者になった。王太子は同じ年齢で、仲睦まじい両陛下に囲まれて笑っていた。
実家である公爵家では、一緒に晩餐を共にする事はあっても、家族でお茶をする時間も取った記憶がない。両親の仲が悪かったのだ。
だから、王家の方々が優しくしてくれる事に幼かった私は甘えてしまった。結果……王太子の認識は婚約者ではなく妹に変わってしまった。つまり王太子は私を異性として見られなくなったのだ。
そして別の令嬢に恋慕を募らせる事になった。
相手は、王太子が騎士として演習の為に半年程滞在した辺境伯家の令嬢で、身分も政略的にも問題の無い……最近情勢不安である隣国を警戒する上でも公爵家と婚約を続けるより利があったのだ。
辺境の地で剣を振るう令嬢は、礼儀や言葉遣い、社交もこれから研鑽を積むという。年齢は同じ十八歳。私の八年は何だったのだろう。
それでも……王太子は彼女を愛した。令嬢も最初は嫌がっていたが、あまりの熱意に絆された。それでも私の存在を知っていた為、手紙は受け取っても返事はせず、贈り物は一切受け取らなかったと言う。
その心根の正しさと王太子の言葉にも屈せず筋を通す強さは私には無かった。その様な強さが王妃に求められていたのだとすれば、私はどう学べば良かったのか。
家族の愛に飢えていた私は、王太子とこのまま夫婦になって王族と家族のまま一生を過ごすのだと信じていた。……だからこれからの事など考えられない。
それで、魔女に願ったのだ。辺境の地へ王太子が出向く前に時間を戻して欲しいと。
この国では、魔女が願いを聞いてくれる。対価は魔女が納得するものであれば何でもいい。
「金山を頂きたく思います」
若い魔女は言った。
「しかし時間を戻したら……」
「あなた様に与えられる筈の金山は、巻き戻った直後に我が家のものになるという出来事が起こります。本来の出来事……運命の力を捻じ曲げるのですから」
この若い魔女は侯爵令嬢だ。魔女の血を受け継ぐため、女が当主になる決まりがある特殊な家系。彼女は次期当主だ。
「私の一族とあなた以外の記憶は消えてしまいます。私の一族は契約に縛られ、あなたが二度目の人生で今日を迎えるまで会う事は出来ません」
事情を知っている彼女に相談する事は出来ないのだ。全てを一人でやらなくてはならない。
「分かったわ」
その後、王太子が辺境へ演習に行く前に戻った私は、王太子の演習先へ未来の王妃として同伴する事を願い出て叶えられた。私が側にいるのに辺境伯の令嬢を好きになる筈が無いと思っていたのだ。
しかし、出迎えられて息を呑んだ。
空色の大きな瞳にピンク色の髪。私よりも背が拳一つ分小さく、愛らしい容姿。鄙びた辺境伯の領地に咲いたバラの様な令嬢だった。
私はこの時になって、一度も彼女を見た事が無かった事に気付いた。
そんな彼女が騎士服を着て男に混ざって演習に参加するのだ。令嬢のお遊びとは言えなかった。素人の私から見ても強かったからだ。しかも政治の話も王太子と対等に語り合う。妃教育で習った様な事を実地で覚えていたのだ。経験がある分、話の掘り下げは学んだだけの私では遠く及ばなかった。……領主の仕事を数年前から率先して令嬢が負担していたからだ。
王太子が令嬢に特別な目を向けるのに大して時間はかからなかった。
礼儀作法や言葉遣い、社交など後付けでいくらでも学べると思わせるだけのものを持ち合わせていた。八年妃教育を受けた私の努力をあざ笑うかのような資質。頭でっかちな私よりも遥かに貴重な存在だった。
そして、私と令嬢への気持ちで板挟みになった王太子が苦しそうな表情で私を見ているのに気づき、物凄く惨めになったが、結局どうにもできなかった。
前は衝撃で唖然とするだけだったが、今度は心に大きな傷を負って婚約を解消する事になった。
前回と違い直轄地に金山が無い為、私は女侯爵になる事が決まった。
魔女令嬢の元に訪れると、彼女は困った様に言った。
「また……時を巻き戻すのですか?」
「ええ」
私の即答に対して、魔女令嬢は言った。
「一つお聞きしてもいいですか?」
「何かしら」
「王太子殿下を、愛していらっしゃいますか?」
私は言葉に詰まる。
「勿論よ」
そうでなければどうして彼に執着するというのか。心の中で、愛なんて知らないと小さな女の子が泣いていたが無視した。
魔女令嬢は更に困った様に言った。
「……今度は侯爵位を報酬として頂く事になります。金山と同じで、運命力で我が家の領地になる様な出来事が起こります。再び婚約を解消された場合、王家があなたに報いる報酬がどうなるか分からないのですが……いいのですか?」
まるで、次も婚約が無くなる様な物言いが不安であり勘に触った。
「今度は上手くやるわ!」
「実際に彼の令嬢を見たのに、そう思われるのですか?」
魔女令嬢の言葉に反論が止まる。
勝てない戦い。
そんな言葉が脳裏に浮かんだが、認める訳にはいかなかった。
そこで魔女令嬢が意を決したように言う。
「我が家は代々王族の婚姻の運命を占っています。十歳の誕生式典がその場となります。しかし王太子殿下の婚約者は十歳の時に見えなかったのです。彼の令嬢は、十歳の誕生日の式典に出席しなかった。だから分からなかったのです」
辺境からの移動で到着が三日遅れたので式典に出られなかったのだ。
「では、どうして私は……」
「ここ百年、十歳の誕生日に婚約者を指名しなかった王太子は存在しません」
貴族の挨拶が一通り終われば、それで魔女には分かるのだ。
「両陛下は、王太子殿下の未来に瑕疵が付かぬ様に身分の一番高いあなたを指名したのです。万一、本当の婚約者が見つかった場合の取り決めもした後で。公爵家は最初からこの婚約がどう転んでも、あなたが困らないだけの契約を交わしていたのです」
絶望しかなかった。執着しても得るものなど無かったのだ。
心の中の小さな女の子は悲鳴を上げて崩れた足元から底なしの闇へと落ちて行った。
「だったら全てあげる。私の全てを辺境のお方に。公爵令嬢の立場も殿下の婚約者の立場も」
こんな運命そのものを無くせばいい。彼女にこそふさわしい。死んでいく心を抱えて私は言った。
「もう二度とお願いしないから……私の願いを叶えて」
頬を伝う涙を感じながら目を閉じて開くと、私は見慣れない鏡台の前に座っていた。
周囲には見慣れないのに知っている部屋があった。立ち上がって窓の外を見れば、広大な森が拡がっていた。
「辺境伯領……」
訳が分からずに戸惑っていると、侍女が入って来た。
「お嬢様!どうされたのですか?何故お泣きになっておられるのですか?」
「……目にゴミが入ってしまったの」
慌てて取り繕うと、侍女はハンカチで目をそっと拭う。
「もうすぐ王太子殿下が到着されます。お出迎えの前に目が赤いのは困りますわ」
されるがままに身支度を整えている内に、自分の過去がじんわりと蘇って来る。容姿が全く変わらないのに私は辺境伯の娘としてここにずっといた事になっている。彼女の様に騎士と剣技を磨く事はしておらず、刺繍が趣味の内向的な令嬢として。
殿下は一人でこの辺境の地に来る。辺境にまで聞こえて来る最愛の婚約者と別れての演習は半年と決められていたのに三か月に短縮されたと辺境伯……今の父が言っていた。
公爵家の家族の様な冷めた関係ではなく、父は私を溺愛している。母が私を産んですぐに亡くなっているからだ。辺境では再婚の話はなかなか来ないと言って父は再婚しない。だから将来婿を取ってこの辺境伯領を継ぐ事が決まっている。
私が彼女の代わりに選ばれる事はない。
彼女も一人っ子だったが、彼女の従弟が辺境伯を継ぐという話がすぐに決まっていた。
彼女は辺境伯の娘として自らを鍛え、万一に備えて自分だけではなく従弟にも当主教育を施すように父に提案していた。
私はそんな事を一切していない。時間が巻き戻った瞬間が今だったからではなく、私にそんな強い責任感も行動力もないからだ。
やって来た王太子は、八年過ごした家族ではなく初対面の令嬢として私を扱った。
それでも、消えてしまった時間で受けた教育の賜物で己の感情を殺して接するうちに親しくなった。そして婚約者の自慢話やのろけ話を聞く事になった。
公爵令嬢はピンク色の髪の毛に空色の瞳をしており、公爵一家に愛されている。城に迎えて教育をさせたかったが、公爵が許さなかったので通っている。来る都度茶会をしているが、それだけでは時間が足りない。早く結婚したい。君にはとても親しみを感じる。是非結婚式には出席して欲しい。
鉛を飲み込むような重苦しい気持ちと裏腹の笑顔を張り付けて過ごす三か月はまるで拷問の様だった。王太子が王都へ戻ってくれた事に安堵と同時に胸が痛くて、その夜は大泣きした。
何も知らずに衝撃を受けた一度目、選ばれない事に打ちのめされた二度目よりも辛かった。
王都の魔女令嬢に会いに行く事も出来ず、辺境で過ごしている内に日々が過ぎて、王太子の結婚式の招待状が届いた。不敬に当たるので欠席は出来ない。
父と一緒に王都に向かう事になった。
「王都でお前の婿を探す事になるが……望まぬ結婚をさせる気はない」
父は目を伏せて続けた。
「今まで伏せていたが……お前の母は産褥で亡くなったのではなく、望まぬ結婚に絶望して命を断った」
思いがけない言葉と共に、何処にも飾られていなかった母の絵姿を父が懐から出した細密画で見せてくれた。それは……公爵家の母と同じ顔だった。
信じられない事に目を丸くするしかない。
「公爵をずっと愛していたのだ。しかし公爵には愛する婚約者が居た。思い詰める娘を心配し、王都に居たのでは命を断ってしまうと……あちらの家からの嘆願の様な申し込みで結婚する事になった。……私は彼女に会って一目惚れしたから公爵を忘れさせて幸せにしたいと思っていた。しかし田舎の無骨な男だから……彼女の心を慰めきれなかった」
公爵家に居た母を思い出す。彼女は思い込みが激しく頑なだった。一度の過ちで人生が大きく変わるのだと口癖の様に語り、間違わない振る舞いを周囲に強制した。娘の私だけでなく使用人にも苦手とされていた。公爵の父も兄も彼女の側に近づかなくなっていた。
「……お父様のせいではありませんわ」
王都に着くとすぐに結婚式だった。日程が狂い到着が遅れたのだ。
ピンクの髪の美しい公爵令嬢は、王太子と笑顔で大勢に祝福されて結婚した。彼女の父となった公爵の隣には美しいピンク髪で空色の瞳の女性が寄り添い、前と変らぬ兄と兄嫁も家族と笑い合っている。兄の色は父と同じだが、夫人や彼の令嬢に顔立ちは良く似ていた。
何かが繋がった気がした。……推測でしかないから、やはり魔女令嬢に会わねばならないだろう。
そう思っていると、魔女令嬢の方から手紙が送られてきて、そちらに行きたいと請われた。話をしたかったので、いつでもいいと了承の返事をすると彼女はやって来た。
「申し訳ありませんでした」
彼女の言葉の意味は、私の推測を裏付けた。
「……お母様が願ったのね?未来を入れ替えるように」
魔女令嬢は、憔悴した表情で頭を上げて頷いた。
「私の母は、夜会で襲われそうになった所をあなたのお母様に助けられました。その恩を返す為、当時当主だった祖母が運命を入れ替えました」
魔女侯爵家は必ず女性が産まれるが一人しか生まれない。そういう家系だという。魔女は望まぬ男性に穢されると魔力を喪う。つまり家の断絶に繋がりかねい出来事だったらしい。
「では公爵家の夫人になった母は、記憶を持っていたの?」
「……はい。結果、夫人は夫に愛されない事に苦しみ、恋敵に似た息子を産み育てるという苦痛を味わい、この未来を正そうとこちらに来られました。今から十年前です」
「お母様が」
「生憎、祖母は亡くなっていました。魔女の魔法は使った本人しか修正できません。夫人にはそう申し上げてお帰り頂きました。ご自分の願いを酷く悔いておられました。……そしてあなたがいらっしゃいました。夫人には話しませんでしたが、祖母の使った魔法の歪みを正す方法はありました」
魔女令嬢は一旦言葉を切ってから続ける。
「歪みの影響の出た者が、別の魔女に未来の修正を願う事です」
私は魔女令嬢をまじまじと見た。
「だから……あなたの苦しみを分かっていながら私は……」
彼女は私の苦しみを放置して逃げ出す様に促し、祖母の魔法を正したのだ。彼女の謝罪の理由が分かり、私は妙に納得していた。
「謝罪を受け入れます。……思い詰めたら周りが見えないお母様に、私はとても良く似ていたのね」
母を亡くし、父に溺愛されて育つ内向的な辺境伯令嬢。これが本来の私だったのだ。そう思うと公爵令嬢だった記憶が遠ざかり、辺境で過ごした時間が実体験を伴って記憶に色が付く。公爵令嬢として味わった苦しみ、辛さがゆっくりと溶けるように消えていく。
「まるで、歪んでいた人生が悪夢だったみたい」
「あの時間は消滅します。もう思い出す事はありません」
「良かった。本当に辛かったの。そんな風に思うのは身勝手かしら?」
母はそれだけ真剣に公爵との未来を考えて必死だったのに。
魔女令嬢は笑顔で言った。
「いいえ。あなたのお母様は恋では不器用でしたが、母を助けてくれました。問題は祖母がお礼を間違えて不幸にしてしまった事です。あの方に必要だったのは恋を忘れる事だったのに、押し切られてしまったのです。それで娘のあなたにまで悲しく辛い思いをさせてしまいました。……歪みを正して下さったあなたには感謝しかありません。あなたが忘れても私達の一族は忘れません。このお礼はきっと……」
「あら?寝ていたのかしら?嫌だ!お客様が居たの?」
私は応接間で向かいの席に置かれた手の付けられていないカップを見て私は慌てていたが、執事にテーブルマナーの先生が出て行った後で、疲れて寝ていただけだと言われて安堵した。
「どうして先生なんてお父様は頼んだの?長旅に殿下の結婚式まであって、物凄く疲れていたのに」
「お嬢様に結婚の申し込みがあったのです。殿下の結婚式で見かけて一目ぼれされたとか。面会の申し込みがあったので、旦那様がマナーのおさらいをする様にと」
「どなたなの?」
「魔女侯爵の御長男です。妹君が爵位を継がれるので婿入りは問題ないそうです。……今は城で御殿医をされています。子爵位をお持ちで肥沃な領地と金山があるので子供を二人以上作って継がせるとおっしゃっておいでです。婿入りの持参金が金山のある子爵領です。凄い大物を釣り上げましたね」
「そんな凄い人が私に?嘘よ」
しかし現実だった。後日、顔合わせをすると何処かで見た気のする顔立ちの男性が現れて、本当に慕われている様にしか見えなくて戸惑う事になった。
紡がれる言葉は情熱的なものばかり。
「私の運命。ああ、ようやく出会えた。もう絶対に離さない」
心臓のドキドキ音ばかり気にしていたから、夢見心地で婚約をすっ飛ばした結婚に了承の返事をしてしまった事に、この時の私は気づいていなかった。
結果、王都に居る内に挙式を行って一緒に辺境に戻る事になった。私にぴったりなサイズのウェディングドレスまで用意されていたので少し背筋が寒くなったが、結婚の準備が忙しい上に誰もが祝福してくれる結婚だったのですっかり忘れてしまった。
兄との別れを惜しんでいるのか、見る都度号泣している彼の妹にも少し心の距離があった。近づくのが怖かったのだ。次期当主があんなに泣き虫でいいのだろうか。もしかしたらお兄さんが好きすぎて自分は害されるのだろうか。そんな妄想をしていたがそんな事は無かった。
彼女から頻繁に来る手紙は、いつの間にか私の楽しみになっていた。
夫は辺境の事を良く知っていて、森の薄暗い場所に希少な薬草を数種類植えて増やし、流通させて領を潤わせた。他の土地では気候も森の生態系も違う事から、同じことは難しい。
隣国との小競り合いもそれで消滅した。技術を提供した事で、隣国の辺境も薬草販売を始めたからだ。二国間の協定も出来た今、世界でも有数の薬草の産地として二つの辺境は協力して薬草泥棒を取り締まっている。
平和で世界的な薬草の産地となった辺境領は発展し、鄙びていた領都は地方都市としては大きくなり、貿易拠点としても栄えるようになった。
王家に王子が産まれた年、私も女の子を産んだ。
父は孫娘を溺愛した。私の母に年々似て来ると言っていた。私もよく似ていると思う。
そして娘が産まれて九年が経過した。
娘の後に息子が産まれて今三歳だ。息子が辺境伯を継ぎ、娘は夫の持って来た子爵位を継ぐ事が決まっている。
「どうしてかしらね……王都に連れて行きたくないわ。王子の十歳の誕生式典を欠席したいだなんて」
娘は初めての王都行きを楽しみにしているのに。隣に座っている夫が私の手を握ってくれた。何故か、溢れる涙を堪えきれず延々と泣いてしまった。その間、夫は寄り添ってくれた。夫は私を分かってくれているのだと、そう思うと波打った気持ちがゆっくりと落ち着いて行った。
不思議な事に、泣いた後にはどうしてそんなに不安になったのか全く覚えていなかった。
「涙と一緒に体の中にあった苦しみが出て行ったんだよ。長い間、辛かったね」
夫はそう言って私の頭を撫でて抱きしめてくれた。そうなのかも知れない。
その後、娘は式典で王子の婚約者には選ばれず、王都観光をしっかりと楽しんで辺境に戻って来た。泣く程不安になった事は笑い話になった。
そして新設された貴族の集まる学校に娘は入学し、公爵家の次男と縁づいて婚約を交わす事になった。公爵家の次男は文武両道で、美しい空色の瞳とピンク色の髪をしていた。
そして孫が生まれた。ピンク色の髪をした愛らしい女の子だった。
ピンク髪は見目は良いものの、平民レベルの知能と所作で貴族世界を滅茶苦茶にする破壊者として書かれている事が多いので、あえて素敵貴族にして、悪役令嬢の家系を浸食した上で増殖させてみました。
たまに誤字脱字・表現などで加筆修正がありますが、ストーリーは変わりません。
お付き合い頂きありがとうございました。