第3節
無一郎【手も足も出なかった・・・】
有一郎【おれも何もできなかった】
2人は自らの無力さに肩を落としていた
実践経験のある無一郎でさえ狂三の動きに翻弄され、なにをされたかもわからないままに敗北した
実践経験こそほとんど無い有一郎は何をするまでもなく敗北
その事実ほ2人の心をいたく傷つけた
なによりも大切な存在であるあめあを守ることすら叶わなかったのだ
なんとか退いてくれた、無事だった
それだけであり、実際あの場で連れ去られていてもおかしくは無かった
あめあ【むい君、ゆう君、あまり気にしないで?いつもの事だから】
2人を気づかい励ましながら笑顔見せるあめあ
いつもの事、その言葉の意味を理解すれば2人はあめあをぎゅっと抱きしめる
無一郎【僕はもっと強くなる、あめあを守れるように】
有一郎【俺もだ、好きなやつ一人守れないのは嫌だからな】
あめあ【別にそんな、2人が無理しなくてもいつもの事で・・・】
そんなあめあの言葉を2人は遮る
無一郎、有一郎【僕(俺)達がよくないんだ!】
その2人の気迫に気圧されてあめあは言葉を飲み込む
蜜璃【いいんじゃない?あめあ、たまには完全に守られる側になっても、2人の気持ちを受け取ってもバチは当たらないと思うわ】
そんなあめあに優しく声を掛ける蜜璃
あめあを守ってきた一人としてあめあの事を守ろうとする2人の意思を尊重したいと思い言葉をかけたのである
蜜璃【それに二人共本気よ?その目、絶対離してくれないわよ】
2人の気持ちがこちらまで伝わってきて嬉しそうにくすくすと笑いながら2人の目を指さして
無一郎【うん、離さない】
有一郎【おう、離れねぇ】
あめあ【わかった、わかったから】
2人の目を見る・・・がすぐにふいっと目を逸らしてしまうあめあ
強く2人に抱きしめられているため逃げられずにいるがなぜ目をそらされたのかもよくわからずに首を傾げる2人に蜜璃が助け舟をだす
蜜璃【あめあね、男性に対する抵抗力ほとんど無いから、目を見れないのよ・・・恥ずかしくて】
なるほど、と2人は頷くと悪い笑みを見せる
あめあは嫌な予感がするなぁ、なんて苦笑いしながらその場から逃げようとするも予想以上に2人の力が強い
無一郎【あめあ、こっちむいて?】
悪魔のような笑み浮かべながらそうお願いする無一郎
有一郎【こっちむけよ、少しでいいからよ】
普通を装いながらも内情に面白そうだという心が漏れて溢れている有一郎
あめあ【ちょーっと勘弁かなぁ】
そんなあめあの声を無視して2人はあめあの顔に手をあてて・・・ゆっくりと目を合わせていく
あめあ【ぷしゅぅぅぅぅぅ】
その後真っ赤になり再起不能になったあめあがそこには転がっていたのだとか